リフレクション REFLECTION

自分とチームの成長を加速させる内省の技術
未読
リフレクション REFLECTION
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自分とチームの成長を加速させる内省の技術
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リフレクション REFLECTION
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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定価
1,980円(税込)
出版日
2021年03月20日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「VUCAの時代」と呼ばれて久しいが、特にここ1年は急な労働環境の変化や社会変動に見舞われた、稀有な年であった。しかし、そんな中でも生き残りをかけ、業績を上げていかなければならないのが、組織人の定めである。

常時課題に追われる中、解決のための新しい技法を取り入れてみては「イマイチ使いこなせない」と手放し、また違うものを取り入れて……を繰り返してはいないだろうか。このような状況で足りないのは、新しい知識でもメンバーでもなく、「自分自身に向き合うこと」であると本書は語る。

本書のタイトル「リフレクション(Reflection)」とは、自分の内面を客観的、批判的に振り返る行為であり、日本語では「内省」が最も近い。リフレクションは古代ギリシャ時代から受け継がれてきた行為だが、20世紀の終わり頃からは人材育成メソッドとして、世界的な広がりを見せているという。

リフレクションの目的は「あらゆる経験から学び、未来に活かすこと」である。成功も失敗も、どのような経験にもたくさんの「叡智」が詰まっている。経験を客観視することで新たな学びを得て、未来の意思決定と行動に活かしていく。それがリフレクションである。

なんだか難しそう……と尻込んだ方もいるかもしれない。しかし方法はいたってシンプルで、紙とペンさえあれば、たった数分でもできる。詳細については本要約を一読し、ぜひ気軽に実践していただきたい。リフレクションの効果が実感できるはずだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

熊平美香(くまひら みか)
昭和女子大学キャリアカレッジ 学院長
一般社団法人21世紀学び研究所 代表理事

ハーバード大学経営大学院でMBA取得後、金融機関金庫設備の熊平製作所・取締役経営企画室長などを務めた後、日本マクドナルド創業者に師事し、新規事業開発を行う。1997年に独立し、リーダーシップおよび組織開発に従事する。2009年より日本教育大学院大学で教員養成に取り組む傍ら、未来教育会議を立ち上げ、教育ビジョンの形成に尽力。2015年に一般社団法人21世紀学び研究所を設立し、リフレクションの普及活動を行う。昭和女子大学キャリアカレッジではダイバシティおよび働き方改革の推進、一般財団法人クマヒラセキュリティ財団ではシチズンシップ教育に取り組む。Learning For All等教育NPO活動にも参画。文部科学省中央教育審議会委員、内閣官房教育再生実行会議高等教育ワーキンググループ委員、国立大学法人評価委員会委員、経済産業省『未来の教室』とEdTech研究会委員などを務める。2018年には、経済産業省の社会人基礎力に、「リフレクション」を提案し、採択される。著書に 『チーム・ダーウィン「学習する組織」だけが生き残る』(英治出版)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    リフレクションとは自己の内面を客観的・批判的に振り返る行為であり、「あらゆる経験から学び、未来に活かす」ことを目的とする。
  • 要点
    2
    事実や経験に対する自分の判断を「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つに切り分けて可視化する「認知の4点セット」で、メタ認知力を高められる。
  • 要点
    3
    リフレクションと反省は違う。良質なリフレクションによって、過去の失敗体験も叡智に変えられる。
  • 要点
    4
    フラットな組織で力を発揮するチーム型リーダーの育成にも、リフレクションは役に立つ。

要約

メタ認知力を高める

意見・経験・感情・価値観を切り分ける
ThitareeSarmkasat/gettyimages

自分の内面を客観的、批判的に振り返るリフレクションは、あらゆる経験を学びに変え、自分をアップデートし続ける力がある。しかし、ただやみくもに取り組んでも意味はない。リフレクションを実践する前に、「認知」の枠組みを整理するフレームワーク「認知の4点セット」を押さえよう。

このフレームワークでは、事実や経験に対する自分の判断を「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つに切り分けて可視化する。それによって、メタ認知(認知していることを認知する)力を高めることができる。

経験を振り返るとき、その経験をどう意味づけるかは、それぞれの人の認知が決めている。認知は事実や経験の中から、ある特定の事実を知覚するところから始まる。そして、知覚した事実をどう捉えるか(判断)は、過去の経験や知識によって蓄積されたものの見方に依存している。

たとえば、犬を「好き」という認知に「認知の4点セット」を適応してみよう。犬が好き(意見)な人は、犬に接する(経験)などのポジティブな経験より、「犬はかわいい」というものの見方(価値観)が形成される。そして犬を見ると喜び(感情)を感じ、近づきたくなる。しかし犬が嫌いな人は、噛まれる・追いかけられるなどの怖い経験から「犬は危険」と捉え、犬を見ると逃げたくなる。同じ犬を見ても、認知は人によって異なるのである。

リフレクションも認知の影響を受けている。自分が何を知覚しどのような判断をしたか、その背景にある認知の4セットを知ることで、自分のリフレクションを俯瞰することが可能になる。

「認知の4点セット」で自分を変える

「認知の4点セット」は、日常では一緒くたに考えてしまいがちな、意見の背景にある経験・感情・価値観を切り分けて考える。この4つを切り分ける習慣は、自己理解を深め、自分を変える力を高める効果がある。

たとえば、リモートワーク下で久しぶりに部下と1on1を行った上司の経験は、次のような切り分けになる。

意見:リモートワークの方がコミュニケーションを大事にする意識が働き、部下との信頼関係が高まったかもしれない。

経験:互いの自宅からリモートで行い、ゆったりとした気持ちで話すことができた。いつもより丁寧に質問し、傾聴もできた。

感情:驚き、安心

価値観:支援、信頼関係

「意見」には「考えや学び、思ったこと」を、「経験」は「意見の背景にある経験」を記入する。「感情」は「その経験に対して抱いた感情」を入れる。ここは意見を入れずに、感じたことを書こう。そして最後の「価値観」では、「判断に用いた基準、ものの見方」を定義する。

【必読ポイント!】 リフレクションの基本メソッド

自分の「動機の源」を知る
HAKINMHAN/gettyimages

ここからは「認知の4点セット」を使ったリフレクションの基本メソッドを紹介する。5つのメソッドのうち、要約では3つを抜粋する。

まず「自分を知る」である。自分を突き動かす大切な価値観は何か? 動機の源である「内発的動機」を把握しておけば、どんなときでもモチベーションを自ら動かすことが可能になる。

動機の源とは、やりがいや喜びを感じる理由である。私たちは一人ひとり異なる動機の源を持っている。たとえばチームのプロジェクトが成功したとき、誰もが成功を喜んでいても、その理由はそれぞれ違っているはずだ。

動機の源が何か、「心」はすでにわかっている。それが満たされたときは「やりがいや喜び」を感じ、満たされなければネガティブな気持ちを感じているはずだ。自分を知るリフレクションでは、「なぜそんな気持ちになったか」を言語化する。

動機の源を探る方法の一つに、「日常の出来事を題材にしたリフレクション」がある。まずは取り組みやすい題材である「やりがいを感じた仕事」でリフレクションをしてみよう。たとえば、次のような例になる。

意見:やりがいを感じた仕事をひとつ挙げる→受注獲得

経験:それはどのような経験だったか→初の大型案件、部内メンバーの応援もあり成果を出せた。

感情:どのような気持ちだったか→嬉しい、達成感

価値観:そこから見える、自分が大切にしている価値観→協力、仲間、感謝

ここで大切なのは、感情の理由、価値観を探求することだ。これを習慣化すると、自分が大切にしているものが見えてくる。

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要約公開日 2021.05.12
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