孤独と不安のレッスン

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孤独と不安のレッスン
出版社
出版日
2011年02月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

本書には、「シラフの時は頼れる仲間なのに、酒に酔うと彼女を殴る最低の男」という話が出てくる。あなたなら、このような男とどのようにつきあうだろうか? 簡単に関係を断つことができれば話は簡単だが、必ずしもそうはいかないこともあるだろう。

著者は、自分と関係のない人は「他人」であるが、自分に喜びや幸せと同時に孤独や不安を与える人は「他者」だという。「他者」とどのようにつきあうかによって、人間的成熟度が測られるといっていい。

「他者」とのつきあい方に熟達するには、まず「本当の孤独」を理解することが重要だ。孤独はみじめなことでも、みっともないことでもない。みじめだと思い、ネットや周囲の人になぐさめを求める状態は、「ニセモノの孤独」だ。自分との対話を重ね、「自分は何がしたいのか?」「本当は何を考えているのか?」を理解できれば、そうした苦しみから解放され、のびのびと生きられるはずだ。

もちろん日本で「本当の孤独」を生きるのは難しい。世間とは、私たちにとって神のような存在だからだ。世間に従い、「みんな仲良く」と迫ってくる圧力はとても強い。しかしそれを振り切って、「1人でもかまわない」と思ったほうがいい。世間はあなたの人生に最終責任を取ってはくれないからだ。

孤独や不安から逃れることはできない。しかし練習によって、孤独や不安と向き合い、うまくつきあうことはできる。そのための実践的なスキルを、本書から学んでみてはいかがだろうか。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

鴻上尚史(こうかみ しょうじ)
1958年愛媛県生まれ。早稲田大学 法学部卒業。在学中に劇団「第三舞台」を結成、以降、作・演出を手掛ける。1987年「朝日のような夕日をつれて」で紀伊國屋演劇賞、1992年「天使は瞳を閉じて」でゴールデン・アロー賞、1994年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞、2009年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞を受賞する。日本劇作家協会会長。また、舞台公演のかたわら、 映画監督、ラジオパーソナリティ、小説家、エッセイスト、など幅広く活動中。NHK BSの「発掘! かっこいいニッポン」では、2006年の番組開始から司会者を務める。主な著書に『鴻上尚史のほがらか人生相談』(朝日新聞出版)、『親の期待に応えなくていい』(小学館)、『「空気」を読んでも従わない』(岩波ジュニア新書)、『コミュニケイションのレッスン』『幸福のヒント』(以上だいわ文庫)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    「本当の孤独」を知れば、自分を理解し、成長し、今まで気づかなかったネットワークに気づくことができる。
  • 要点
    2
    あなたと関係のない人は「他人」だが、大きな喜びや幸福を与えてくれる反面、激しい孤独と不安も生み出す人は「他者」である。他者とのつきあいは、人間的成熟度のバロメーターだ。
  • 要点
    3
    つらいとき、不安なときに支えてくれる人がほしければ、まずは何かの「おみやげ」を渡して受け取ってくれる人間関係をつくるとよい。

要約

【必読ポイント!】 本当の孤独を知る

どうして1人じゃいけないのか?
recep-bg/gettyimages

1人でいることは、みじめで恥ずかしい。はたしてそうなのだろうか。本当は、1人がみじめなのではなく、「1人はみじめだ」と思い込んでいることに苦しめられているだけだ。

もし「1人はみじめじゃない」と思えればどうか。1人の時間は、びっくりするくらい豊かな時間となり、さまざまな発見を経験する時間となる。逆に「1人はみじめだ」と思い悩み、心を忙しくし、とにかく他人を求める状態は「ニセモノの孤独」である。

これに対して「本当の孤独」とは、自分とちゃんと対話することだ。1人で一週間以上旅をして、やることが何もないと、自分の一番深い部分と対話できるようになる。自分が「本当は何をしたいのか?」「本当は何を考えているのか?」を知るためには、一定の時間何もせず、退屈し、孤独になることが必要だ。

本当の孤独を生きると新しいネットワークが見つかる

「1人でいてもいい」と思うだけで、あなたは「ニセモノの孤独」の苦しみからも、うっとうしい人間関係からも解放される。晴れ晴れとした、楽な気持ちになれるだろう。

あなたは、「じゃあ、一生、1人のままなのか」と心配するかもしれない。そんなときは、誰かで気を紛らわさずに、孤独の中で自分自身のことを考えてみるといい。自分の深い部分と本音の対話をすることで、あなたは成長する。そして成長した結果、今まで気づかなかった新しいネットワークを発見するだろう。

あなたが「本当の孤独」に生きていれば、出会う人は同じく「本当の孤独」を生きている人である。あなたが出会う人は、あなたの水準と対応する人だからだ。あなたがアマチュアレベルなら、出会う人もアマチュアレベルである。あなたが「ニセモノの孤独」に苦しんでいれば、出会う人も「ニセモノの孤独」に苦しんでいる人なのだ。

中途半端に壊れた共同体

私たちが1人でいることをみじめだと思うのは、日本人にとって「世間」が神だからだ。一神教を信じる人たちにとって、神を裏切ることは心を殺すことである。それと同じように、私たちは世間、つまり共同体に逆らうことを、社会的生命を断たれることと同じように考えている。

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要約公開日 2021.05.23
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