勝てるデザイン

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勝てるデザイン
出版社
出版日
2021年03月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

どの世界でも、仕事で活躍し、結果を出している人は、輝いているように見えるものだ。成功が自信を高め、自信が魅力を強めている面もあるが、それだけではない。良い仕事、勝てる仕事をしている人は、仕事を楽しみ、自分なりの意義や熱中できるポイントを見出しているのだ。そこには、小手先の技術や実践的な方法論以上に、あらゆる仕事に共通する、ものの考え方が存在するのだろう。

元・任天堂デザイナーである著者が本書で提示しているのは、まさに、あらゆる仕事に共通する、仕事に向き合い、人生と仕事を充実させるための、ものの考え方である。「勝てるデザイン」をするための実践的な方法や、考え方、若いデザイナーやこれからデザイナーを目指す人たちに向けた心構えなども多く書かれているが、デザイナー以外の人たちも、学ぶところが多いのではないだろうか。特に、仕事をいかに楽しくするか、「自分ごと」にするか、「ならでは」の仕事をできるようになるためにどうすれば良いか、情報発信で多くの人の興味を集めるためにはどうすれば良いかなど、著者が実践してきた方法を学ぶことは、あらゆる仕事に活用できるはずだ。

これからの時代、単に効率よく仕事ができるだけでなく、いかに自分にしかできない仕事をできるようになるかが重要となってくる。仕事におけるクリエイティビティーを高めることが、クリエイター以外の職業にも求められる時代に、本書から学べることは、大いに有用な武器となるだろう。

ライター画像
大賀祐樹

著者

前田高志(まえだ たかし)
デザイナー/株式会社NASU 代表取締役/株式会社VIEW 代表取締役/前田デザイン室 室長
1977年兵庫県生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、任天堂株式会社へ入社。約15年プロモーションに携わったのち、父の病気をきっかけに独立を決意。
2016年2月からNASU(ナス)という屋号でフリーランスとしてスタート。NASUとは、デザインで成(為)すの意。
同年4月から専門学校HALにて非常勤講師に。2017年から大阪芸術大学非常勤講師に(現在はいずれも退任)。
幻冬舎・箕輪厚介氏のオンラインサロン「箕輪編集室」でのデザインワークで注目を集めたのち、2018年、自身のコミュニティ「前田デザイン室」を設立。2018年に雑誌『マエボン』、2019年に自身の集大成となる書籍『NASU本 前田高志のデザイン』を前田デザイン室として出版。
前田デザイン室でのコミュニティ作りの経験を活かし、2019年10月よりNASUの新事業としてコミュニティ事業を開始する。
2020年1月よりレディオブック株式会社のクリエイティブディレクターに就任。 NASUで手がけた名刺が、レディオブックが「スクーデリア・フェラーリ」と日本企業として13年ぶりのパートナーシップ契約を結ぶきっかけとなる。
ブログ、学校、デザイン会社、コミュニティにて、デザインの価値を伝えるべく日々発信中。
Twitter:@DESIGN_NASU
HP:https://nasu.design/

本書の要点

  • 要点
    1
    「勝てるデザイン」は、人を喜ばせ、人の心を動かす「一撃でわかるデザイン」「ポリシーがあるデザイン」「ならではのデザイン」「興味を奪うデザイン」「捨てられないデザイン」のことである。
  • 要点
    2
    自分で企画した仕事だけでなく、人から依頼された仕事でも「自分ごと」にしてしまえば、質の高い仕事を楽しくできるようになり、多くの笑顔を生み出せる。
  • 要点
    3
    知ってもらうことはお金より価値がある。自分が認知されるならばタダで仕事をして、ノウハウの全てを無料で公開することは、より大きな結果につながる。

要約

多くの人の笑顔を生み出すデザイン

「勝てる」デザインとは
smile3377/gettyimages

本書が扱う「勝てる」デザインとは、具体的には「クライアントが勝てる」「ライバルデザイナーに勝てる」「美大コンプレックスに勝てる」ことを対象とする。自分の心に打ち勝ち、デザインを通して周りの人を笑顔にするのが、勝てるデザインだ。

勝てるデザインをするためには、次の5つの点を満たすことが条件だ。まずは伝えたいことを一瞬で伝えられる「一撃でわかるデザイン」であること。次に、企画内容や世界観を大事にしてコンセプトと矛盾やズレがない「ポリシーがあるデザイン」であること。そして、他の何かにまるまる転用できないような「ならではのデザイン」であること。さらに、見る人の「興味を奪うデザイン」であること。最後に、飾りたくなるような「捨てられないデザイン」であることだ。

「勝てるデザイン」は、企画をすることで人を喜ばせ、人の心を動かすものだ。良いデザイナーであるためには、デザインだけをするのではなく、企画そのものを考え、企画を「自分の企画にする」という意識を持たなければならない。人は誰でも、自分ごとに対しては大きな力を出せるからだ。良い企画とは、「幸せになる人の数が多い」企画のことである。

人に何かをお願いするときは、相手に「参加することが楽しみ」と感じてもらえるかを考えることが重要だ。幸せになる人の人数を増やすにはどうすればいいかと考えていけば、多くの人に支持され、笑顔を生み出すデザインができるはずだ。

仕事を面白くして、良いものを作る
Yagi-Studio/gettyimages

仕事を面白くするためには、常に童心を持つことが大切だ。著者は、任天堂に勤めていた頃、Jリーグ京都サンガのオフィシャルイヤーブックに掲載する広告デザインを担当することになった。ゲーム機Wiiが発売された直後だったので、Wiiの写真と本体価格だけを出しても広告としては成り立つ。しかし、それだけではつまらない。何か面白くて宣伝になることをしたいと考えた。そこで、選手やコーチの写真を取り寄せ、Miiで作った全員の似顔絵を広告にした。ファンの間で「似ている似ていない」と話題になり、面白さと宣伝を両立させることができた。

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要約公開日 2021.05.19
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