ビジネススクールで身につける 会計×戦略思考

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出版社
日経BP 日本経済新聞出版本部

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出版日
2021年01月06日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

決算書の読み方がわからないと悩む読者は多いのではないだろうか。書店にあふれる解説書を読みはしたものの、いまひとつぴんと来ない。その理由は、本書を一読するとよくわかる。いくら決算書の構造を理解できたとしても、それは「読める」ということにならない。企業が採用する経営戦略から仮説を立て、その仮説を検証するために決算書と向き合うことで、初めて「読む」ことができるのだ。

したがって本書は、経営戦略フレームワークと、採用した経営戦略がどのように数字に表れるか、という2点についての解説に重点を置いている。本書を一読すれば、数値から会社の実情を把握できるようになるだけではなく、決算書を読むだけでそれがどのような企業なのかあたりをつけることも可能になるだろう。もう一歩踏み込んで、その企業の改善ポイントを見つけ出すこともできるかもしれない。

「数字は嘘をつかない」と言われるように、決算書には会社の実情が正しく反映されている。にもかかわらず、よくわからないからという理由で決算書と距離を置いているようでは、これからの時代、正しい判断がますますくもってしまうかもしれない。会社の中で戦略を立案する、新しい取引先を決める、そして自分の就職先を決める――。さまざまなシーンで、決算書を読んで判断するケースは少なくない。本書は、その一助になるはずだ。

ライター画像
香川大輔

著者

大津広一(おおつ こういち)
株式会社オオツ・オンターナショナル代表
米国公認会計士
1989年、慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。米国ニューヨーク州ロチェスター大学経営学修士(MBA)、富士銀行(現みずほ銀行)、英バークレイズ証券、ベンチャーキャピタルを経て、2004年に(株)オオツ・オンターナショナルを設立、代表取締役。
会計・財務に関わるコンサルティングや、年間40社の起業を訪問し、アカウンティング(財務会計、管理会計)、コーポレート・ファイナンスを中心に、日本語、英語によるマネジメント教育に従事。
グロービス・マネジメント・スクール講師、中央大学アカウンティング・スクールにて講師を経て、現在は多摩大学大学院経営情報学研究科客員教授。早稲田大学大学院ビジネススクール、慶應義塾大学理工学部でも、非常勤教員として指導している。
ピジョン株式会社社外監査役、株式会社スプリックス取締役監査等委員。
主な著書に、『ビジネススクールで身につけるファイナンスと事業数値化力』(日経ビジネス人文庫)、『企業価値を創造する会計指標入門』、『戦略思考で読み解く経営分析入門』、『英語の決算書を読むスキル』、『会計プロフェッショナルの英単語100』(以上、ダイヤモンド社)がある。
会計・財務コンサルティング、企業内研修、セミナーに関する問い合わせ先
joho@otsuinternational.com

本書の要点

  • 要点
    1
    損益計算書と貸借対照表の構造が理解できたら、対象とする企業の仮説を立て、仮説を検証するために決算書をみるとよい。
  • 要点
    2
    競争環境を理解するための「5つの力」の各要素を確認することで、業界の実情を把握することができる。
  • 要点
    3
    企業の内部環境を「バリューチェーン」で把握し、それが決算書上の数値にどのような影響を与えるのかを考察しよう。
  • 要点
    4
    マーケティングの「4P」を使って分析した企業戦略を仮説として、決算書上の数字の意味を理解しよう。

要約

【必読ポイント!】 会計と経営戦略の密な関係

損益計算書の構造を理解
echoevg/gettyimages

会計と経営戦略を結びつけるためには、決算書などで読み取った数値に対して、「WHY?」(なぜそうなったのか?)を問いかけ、「SO WHAT」(そこから何が言えるのか?)を追求する必要がある。そこで初めて「HOW」(どうすべきか?)というアクションに結びつけることができるのだ。

損益計算書(以下、PL)にふれる経験を積むことで、会計用語やその使い方も学んでいける。PLは1年間の「利益と損失の計算書」だ。これを読んでいくには「本業」「本業でない」という軸と、毎年行っている「経常的な活動」なのか今年限りの「特別な活動」なのかという軸を意識すると理解しやすい。実際のPLの記載順で考えると、一番上の「売上高」から始まり、「売上原価」と「販売管理費及び一般管理費(以下、販管費)」を引いた営業利益までが本業であり経常的な活動だ。これは会社にとってもっとも根幹である。その次に、「営業外収益」「営業外費用」という、本業ではないが経常的である活動が出てくる。ここまでで経常利益が算出される。

そして、今年限りの臨時的な「特別利益」「特別損失」も考慮して「税引前当期純利益」が算出される。そこから法人税等を引いたものが「当期純利益」だ。

貸借対照表を読む

日々の業務に伴って連続的に発生する1年間の損益データを記録するPLがビデオテープだとすると、貸借対照表(以下、BS)は、決算日の瞬間における企業の状態を撮影した写真だといえる。

BSは右側と左側に分かれており、その名の示す通り左右が対照(一致)している。右側には、どのようにお金を調達したのかの明細が記載される。そして左側には、調達したお金の投資、運用状態が写し出される。

BSは、次の3つの基本原則を守ると効率的かつ効果的に読めるようになるはずだ。

1つめは大局観を持つこと。全体像を先につかみ、森から林、そして木々から枝葉をみていくようにする。具体的にBSを見てみよう。左側全体は「総資産」で、「流動資産」と「固定資産」に区分けされている。1年超動かないものが後者だ。一方、右側の資金の調達先は「負債」と「純資産」に分かれる。細かな項目を見る前に、こうした大きな固まりで読むようにしたい。

2つめは優先順位をつけること。左上の現預金から順に眺めるのではなく、目的をもって数値を確認するのがよい。目的が明確でない場合は、企業の特徴が表れる大きな数値から読んでみよう。

3つめは仮説思考を貫くこと。ある企業の分析をしようとするなら、その企業や業界について一定の知識は持っているはずだ。見てから考えるのではなく、考えてから読むことが重要となる。

すなわち実際にBSを読むときには、まず仮説を立て、かたまりで読み、大きな数値から仮説を検証するように読み進めていく。

決算書を読み解く
andrei_r/gettyimages

BSとPLの構造が理解できたら、実際の決算書を読み解いていこう。ここでは、トヨタ自動車を例に考えてみたい。まずは、トヨタの特徴から仮説を立ててみる。

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要約公開日 2021.05.24
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