本書の要点

  • CEOの仕事で最優先なのは自己管理だ。権限委譲を行い、時間の使い方を振り返るとともに、本質的に重要でない仕事には「ノー」という回数を増やす必要がある。

  • 爆速成長中の企業では採用が課題となる。ジョブ・ディスクリプションを明確にする、候補者のスコア評価システムをつくるといった仕組みを導入する必要がある。

  • 組織構造に正解はない。爆速成長期の企業は6~12か月ごとに、まったく別の会社に変貌する。CEOは12~18か月先を見据えて、実用性に基づいた判断を積み重ねるしかない。

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CEOの役割

CEOの3つの責務

PeopleImages/gettyimages

CEOの役割は重要な領域で責任をとることだといわれるが、話題に上りにくい大事な役割が3つある。それは自己管理、直属メンバーの管理、そして取締役会の管理だ。最優先なのは自己管理である。会社の拡大に合わせて、CEOの仕事は加速度的に増えていく。そのため自分の時間で最もレバレッジが効くものを判断しなければならない。必要なのは権限委譲、振り返りの習慣、「ノー」といえるようになること、これまでの働き方が通用しないことを自覚すること、意識的に休暇をとって人生で本当に大切なものに時間を充てることの5つだ。権限委譲の能力を身につけるには、経験豊富なマネジャーの仕事ぶりを見て学ぶ、メンターをつけるといった方法がある。また、定期的にカレンダーを確認して、時間の使い方を確認するとよい。CEOとして本質的に重要でない仕事には、はっきり「ノー」といい、切り離すようにすべきだ。

行動指針や望ましい態度を明文化する

ストライプのCOOクレア・ヒューズ・ジョンソンは、創業者が自分自身の「取扱説明書」を作成することを推奨している。何を求めているのか、好ましいコミュニケーション手段は何か、自分をいら立たせるものは何か、常に情報を得たい業務領域は何か。こうしたことを社員に理解してもらえると、非常に仕事がしやすくなる。会社が成長するにつれ、あらゆることで「これが足りない。対応しなければ」と思うようになる。そこで、あらかじめ「業務の取り組み方への期待」を説明する資料を作っておくとよい。すると、あらゆる階層の社員が、その資料をベースに仕事への取り組み方を柔軟に変えられるようになる。さらには、会社のミッション、ビジョン、全体戦略目標が書かれた「創業資料」とともに、行動指針や望ましい態度などを明文化し、企業文化として定着させることも重要だ。

取締役会のマネジメント

共同創業者が配偶者にたとえられるなら、取締役は義理の母や父といえる。会社の未来に良くも悪くも多大な影響を及ぼす存在だ。

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要約公開日 2021.05.31
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