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おすすめポイント

テクノロジーの進歩が進み、世界には新たな巨大企業が生まれ、その波は規制が強い銀行業にも及んで久しい。Fintechの活用で多くのプレイヤーが金融業に参入し、銀行業界は大きく変革せざるを得ない状況に追い込まれている。

著者、西川善文氏はラストバンカー、稀代の銀行家と呼ばれる人物である。銀行の安定期からバブル崩壊、銀行合併や国策の新会社社長就任など、それぞれが小説になりそうな波乱万丈な人生を送ってきた。そんな著者の「遺言」とも言えるのが本書だ。先の読めない混迷の時代に、ラストバンカーはどんな言葉を遺したのか。

仕事ができる人は頭の中を整理整頓し、シンプルに物事を考えてポイントを絞る。できること、できないこと、自分だけでは難しいことを把握し、必要に応じて人の手を借りる。もちろん、借りるだけでなく人の手助けも積極的に行う。新入社員の頃にはとにかく仕事に集中する。仕事に向き合う中で自分の武器も見えてくる。上司が行うべきは率先垂範。自ら動く人でないと部下はついてこない。成功には落とし穴がある。それに備えるのがトップの仕事だ。著者が本書に遺したのはそんな仕事術や心構えの数々だった。

特に奇抜なことを書いているわけではない。長い銀行員生活で培った流儀や人物眼、先を読む力などを体験談を交えて述べている。ビジネスパーソンとしての心得が分かりやすく書かれているので、新社会人や上に立つリーダーなど、幅広い層の読者に手に取っていただきたい。

著者

西川善文(にしかわ よしふみ)
三井住友銀行元頭取、日本郵政元社長。1938年奈良県生まれ。1961年大阪大学法学部卒業後、住友銀行に入行。大正区支店、本店調査部、融資第三部長、取締役企画部長、常務企画部長、専務等を経て、1997年に58歳で頭取に就任し8年間務める。2006年1月に民営化された日本郵政の社長に就任するも、政権交代で郵政民営化が後退したため2009年に退任。著書に『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』(講談社文庫)などがある。2020年に死去、享年82。

本書の要点

  • 要点
    1
    できる人は、物事をシンプルに考え、本質をつかむ。本質をつかむ時は完璧を求めず70点で割り切り、80%の検討で決断を下すことが大事だ。
  • 要点
    2
    会社に入って7、8年経つと会社全体が見えてくる。その中で自分の役割、つまり見取り図を描けるか描けないかで、その後の社会人人生が変わる。
  • 要点
    3
    一度部下に仕事を任せたら、最後まで任せきる。任せた以上、その責任は上司にある。丸投げし、失敗したら叱責するなど言語道断だ。
  • 要点
    4
    人間が安住しがちな良い状態は永続しないものだ。良い状態を持続させる努力とともに、最悪の事態に備える心構えがトップには求められる。

要約

【必読ポイント!】 「できる人」とは

整理整頓して考える
Kostikova/gettyimages

仕事ができる人は、頭の中を整理整頓することができる。様々な要素の中から本質を見抜き、必要なポイントに絞り込んで取り組むことができるのだ。忘れてならないのは、自分で「出来ること」「出来ないこと」「自分には難しいこと」を区別する視点だ。自分にとって難しいことに一人で取り組むと、完成までに時間がかかる。だから仕事ができる人は、間に合わないと判断したら助力を求める。このようにまず整理をすれば、仕事の進め方が分かり、スピードアップして成果が上がる。

何にでも手を出すと、結果は「成果ゼロ」になる。徹底的にシンプルに考えることはビジネスパーソンにとって欠かせない。シンプルに考えるには、頭の中を整理整頓し、本質をつかみ、それを基点に絞り込めばいい。ポイントは多くても3つだ。ポイントが4つや5つも残れば、それは絞り込めていないということになる。明快にして十分、シンプルに考えれば絞り込める。

完璧は求めない

本質をつかむのは簡単ではないが、深刻に考えず70点で割り切り、満点を求めないことだ。仕事のスピードを上げるということは、大事なプロセスを選択することでもある。

選択とは決断。そして決断には80%の検討で下す勇気が必要だ。70点と80%は矛盾するように見えるが、70点は目標値で、決断の目安が80%と考えればいい。

70点を目標値とするものの、70点は無難にやるという意味ではない。ミスを怖がる優等生タイプの中にはハッキリ結論を出さない人もいる。リスクを怖がる人は出世もしていない。

人の手を借りる

できないことを無理にやってはいけない。付け焼刃で取り組んでも見透かされる。

例えば英語が話せなければ通訳を雇えばいいし、知識がなければ社内の専門家に聞けばいい。

もちろん一人で取り組む仕事もあるが、多くの仕事はたくさんの人の中で進む。人の手を借りる力は重要な能力の1つなのだ。社内の人的ネットワークを自在に駆使できる人は有能なビジネスパーソンだと言える。

人の手を借りるということは、自分も人に力を貸せる存在でなければならない。人間関係はギブアンドテイクで成り立つものだ。力を貸すことを積み上げれば、社内の評価は上がる。自分が誰かの手を借りたい場合も積極的に助けてくれるだろう。「情けは人のためならず」はビジネス社会の法則だ。

新入社員の心得

仕事に集中する
kazuma seki/gettyimages

新入社員がまずやること、それは余計なことを考えずに仕事に集中することだ。自分が何に向いているのかは、仕事に集中していれば見えてくる。自分の武器も仕事の中で磨く。とにかく一生懸命さが道を拓くのだ。仕事の意味が分からなくても懸命に取り組めば、それが自分の財産になったことが後で分かる時が来る。

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要約公開日 2021.06.03
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.Copyright © 2021 西川善文 All Rights Reserved. 本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権は西川善文、株式会社フライヤーに帰属し、事前に西川善文、株式会社フライヤーへの書面による承諾を得ることなく本資料の活用、およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられています。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。
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