「いそがない人」が、いい人生を送る

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「いそがない人」が、いい人生を送る
出版社
出版日
2021年05月05日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書に出てくる「人生後半」という言葉が他人事でなくなってきている要約者は、「これからの生き方」を考える機会が増えてきた。中高年と言われる世代になった。何かを諦めるつもりはない。ただ、若いころのような能率やスピード感を重視して結果を求める生き方に、なんとなく違和感を抱くようになってきたのだ。本書を読み、その答えがわかったような気がする。

著者の斎藤茂太氏は、本当にいい結果を得るためには急いではいけないという。物事にゆっくりと向き合うと、最初はなかなか成果が見えてこない。ここで焦ってはいけない。時間はかかるかもしれないが、ゆっくりと日々を積み重ねていくことで、思いがけない成果が生まれる。それが斎藤氏の推奨する「ゆっくり力」だ。

また、歩く速度を変えることで今まで見えなかったものが見えるようになり、新しい発見にもつながっていくだろう。

「ゆっくり力」は、情報に振り回されがちな今の時代こそ必要な力なのかもしれない。ゆっくりでもいいから、自分を見失わずに生きていくことの大切さに、本書は気づかせてくれる。

そんな「ゆっくり力」は中高年だけのものではないはずだ。伸び悩みや行き詰まりを感じているビジネスパーソンや確実に結果を出したい若い人にも本書をおすすめしたい。すぐには成果が見えなくとも、焦ることはない。地道に、マイペースで歩みを進めるよう、切々と説いている一冊だ。

ライター画像
中山寒稀

著者

斎藤茂太(さいとう しげた)
精神科医。医学博士。斎藤病院名誉院長。悩める現代人を安らぎにいざなう「心の名医」として、また、日本精神科病院協会名誉会長、日本ペンクラブ名誉会長、日本旅行作家協会会長など、いくつもの顔を持ち、多方面で活躍。「人生は悠々と、急がずあせらず」をモットーに、おだやかな人柄で知られ、「モタさん」の愛称で親しまれている。歌人・斎藤茂吉の長男、作家・北杜夫の実兄。2006年逝去。
著書に『老いへの「ケジメ」』『気持ちの整理 不思議なくらい前向きになる94のヒント』(以上、三笠書房≪知的生きかた文庫≫)のほか、『いい言葉は、いい人生をつくる』(成美堂出版)、『グズをなおせば人生はうまくいく』(大和書房)、『「なぜか人に好かれる人」の共通点』(PHP研究所)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ゆっくりと時間をかけて努力をしていても、最初はなかなか結果が出ない。しかし地道に積み重ねていくことで、思いがけないほどの成果になっていく。
  • 要点
    2
    「一怒一老」といって、怒りは老化を加速させる。カタツムリの速度でのんびりと老いるために「一笑一若」でいよう。
  • 要点
    3
    妬んだり、口論したり、憎しみ合ったりと、他人のことで頭を悩ませていると、人生を謳歌することはできない。人との良い関係があってこそ、「ゆうゆうと遊ぶ」生き方ができるようになる。

要約

人生が変わる「ゆっくり力」とは?

いい結果を導くには時間がかかる
maruco/gettyimages

ある日、朝刊の一面広告が著者の目にとまった。そこには、一生を平和運動に捧げたインドの哲人マハトマ・ガンジーの足跡とともに、「善きことはカタツムリの速度で動く」と書かれていた。

ガンジーの運動を象徴しているのは「塩の行進」である。イギリス人による塩の専売に反対し、ガンジーらは自分たちで塩を作るために385キロを24日かけて歩いたのだ。

そのゆっくりとした歩みは、やがて数百万もの人が参加する奇跡の大運動になった。ゆっくりでも積み重なれば、必ず大きな力になり、いい結果に結びつく。それが著者のすすめる「ゆっくり力」である。

芳醇なワインを作るためには、長い時間が必要である。人間も同じだ。急いでばかりではゆったりとした豊かな人間は育たない。人間は、促成栽培することができないのだ。

効率よく早く結果を望む気持ちは、誰にでもあるだろう。しかし本当にいい結果を生むためには、焦らず、急がないことが求められる。

焦りは余計なプレッシャーを生み、そのストレスは悪影響をおよぼす。たとえば、興味深く熱中できるはずの勉強であっても、焦りはそれを苦しいものにゆがめてしまうのだ。

ゆっくりと時間をかけると、最初は努力をしてもなかなか結果は出ない。しかし、やがて思いがけないほどの成果になっているのだ。

モタモタは誰にでもできる

まわりがモタモタと段取りが悪いと、著者は人一倍にイライラするという。せわしない気持ちになり、息が浅くなってくる。体はセカセカと動き、頭の中がクルクルとまわりだす。

そんな気持ちは他人にも伝染してしまう。セカセカした人がひとりいるだけで、そばにいる人までセカセカしてくる。それにより、さらに段取りが悪くなるという悪循環に陥ってしまう。

そんな時は、「急いでもしょうがない。ゆっくりやろう」と自分に語りかけることをすすめている。深呼吸をし、肩の力を抜く。ことさらにゆっくりと動くようにし、テキパキをやめてみるのだ。

すると、いつのまにか気持ちがゆったりとしてくる。緊張から寛(くつろ)ぎへと変化し、表情がやわらいでくる。やがて焦る気持ちは消えていく。

その気持ちはまわりの人にも伝染し、ゆったりとしてくる。そうなると、いいアイデアが生まれるようになり、失敗が減る。物事がスムーズに運ぶようになる。

そのため、著者は人に余計なプレッシャーを与えないように心がけているという。生来、セカセカした性格であっても、心がけしだいでモタモタできるのだ。

【必読ポイント!】 人生後半こそゆっくり力

カタツムリの速度で老いる
Nuthawut Somsuk/gettyimages

年をとると、自然とゆっくり力が身につくと考えるのは大きな間違いだ。それどころか、せっかちに拍車がかかり、ますますせっかちになっていく。

たとえばレストランで注文した品が出てこないと、すぐに催促したくなる。さらに、店員から「お待ちを」と言われ、後回しにされると腹が立ってくる。せっかちは年齢とともにエスカレートしてくのだ。

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要約公開日 2021.06.17
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