絶対忘れない勉強法

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絶対忘れない勉強法
出版社
出版日
2021年03月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

学生の頃、試験勉強を始めようと思うと、ふと散らかった机の上や部屋の隅のホコリが気になってしまったという経験はないだろうか。ついつい先延ばしにしてきたのに、そういうときに限って掃除が面白いようにはかどる一方で、勉強はまったく進んでいない――ということが。

なぜ、試験前になると掃除がはかどるのか。そして、掃除をしてしまう時間や労力を勉強に向けるためには、どうしたらいいのか。本書を読めば、きっとその方法がわかるはずだ。

本書で紹介されているのは、「最強の勉強法」である。「やらなきゃいけない」と思いつつも、やる気が起きない、集中力が続かない、覚えられないなど、さまざまな悩みが勉強の邪魔をしてくるものだ。だが本書を読めば、そうした悩みを解消し、より効率よく勉強する方法がわかる。ちょっと意外な方法もあるが、どれも脳科学、認知心理学、心理言語学などの科学的研究に裏付けされており、しかも今すぐ気軽に試せるものばかりだ。逆に、今まで「正しい勉強法」と思われてきたものには、脳や認知システムの性質から考えると、逆効果になるものもあるという。

学生はもちろん、社会人になっても、勉強から逃げることはできない。本書を読むだけでも、自分の脳が持つ可能性になんだかワクワクしてきて、「もっと勉強したい」という思いがわいてくるはずだ。楽しく、効率よく勉強したい人におすすめの一冊である。

ライター画像
中山寒稀

著者

堀田秀吾(ほった しゅうご)
1968年、熊本県生まれ。明治大学法学部教授。
シカゴ大学博士課程、ヨーク大学ロースクール修士課程修了、同博士課程単位取得満期退学。言語学博士。立命館大学准教授、明治大学准教授などを経て、2010年より現職。専門は司法におけるコミュニケーション分析。脳科学、言語学、法学、社会心理学などのさまざまな分野を横断した研究を展開している。『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)など著書多数。コメンテーターとしても活躍中で、メディア出演も多い。

本書の要点

  • 要点
    1
    勉強を始める前や休憩時間などに、軽い運動や散歩をしよう。運動によって体の血液を巡らせることで、脳にどんどん血液が送られて勉強の効率がアップする。
  • 要点
    2
    「覚えられない」「一度は覚えたのに忘れてしまう」のは、脳がその情報を重要ではないと判断しているからだ。「重要だ」と自分に言い聞かせ、何度も復習して記憶を定着させることが大切だ。
  • 要点
    3
    「やる気がでない」を解決するには、「やる」しかない。「やる気スイッチ」である脳の側坐核は、体から送られてくる刺激を受けて作動する。

要約

「覚えられない」を解決する

勉強前に運動する
shironosov/gettyimages

優秀な人がみんな、机にかじりついて勉強ばかりしているとは限らない。勉強の効率を上げたいなら、勉強を始める前や休憩時間などに、軽い運動や散歩をしてみよう。運動によって脳の血流がよくなり、脳が活性化すれば、集中力や記憶力が高まり、インスピレーションが豊かになり、インプットやアウトプットが最大化する。

イリノイ大学のサラスらは、被験者群を2つに分けて、名詞を記憶させるテストを実施した。片方のグループには、名詞を覚える前と後に10分間歩かせ、もう一方のグループは、同じ時間、座って風景写真を見せる。その結果をテストしたところ、歩いたグループのほうが25%よい成績を残したという。

脳の燃料は、酸素と糖分である。酸素は血液に乗って脳に運ばれるため、勉強する前に歩いて体の血液を巡らせれば、脳にどんどん血液が送られて勉強の効率がアップするのだ。さまざまな運動があるが、勉強する前に疲れきってしまってはいけないので、散歩から始めるといいだろう。

暗記は風呂の中でする

単語を覚えようとするとき、机に向かうよりも風呂につかったほうがはかどると実感している人もいるだろう。これには、脳波の一種である、シータ波が影響している。

カリフォルニア工科大学のルティスハウザーらの研究では、シータ波が出ているときに海馬などの脳の部位が最も活性化していることがわかった。また、東京大学の戸塚らは、海馬にシータ波が伝わると、ニューロンへの分化を促進すると報告している。神経幹細胞が脳を構成する神経細胞・ニューロンへ分化することを「ニューロン新生」という。ニューロンは、大人になってからも増やせる。

この2つの研究により、「勉強するほど頭がよくなる」のは、シータ波の働きに関係があることが証明された。シータ波は、勉強などの作業に集中しているときだけでなく、ソファに座っているときや入浴中などのリラックスしているときにも発生し、増える。だから、風呂に入っているときに暗記がはかどると感じられるのだ。入浴中だけでなく、お気に入りのソファに座るなどして、ゆったりとした気持ちで暗記するのもおすすめである。

モニターではなく紙で読む
Nastasic/gettyimages

「電子書籍で読むより、紙の本で読んだほうが記憶に残りやすい気がする」と感じたことはないだろうか。実際、スマホやパソコンの画面でテキストを読むよりも、紙で読むほうがインプットされやすいことがわかっている。

スタヴァンゲル大学のマンガンらは、紙と画面というデバイスの違いに着目した実験を行った。被験者に紙とモニター上のPDFとで、物語文と説明文の読解問題、単語理解問題、語彙力の問題を出題した。この結果、紙で読んだほうが内容に入り込みやすく、理解度も高く、覚えやすいという結果が出た。

この論文は、

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要約公開日 2021.06.10
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