グレート・リセット

ダボス会議で語られるアフターコロナの世界
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私たちが生活を営むこの社会は、幸せを享受できるものとなっているだろうか。持つ者と持たざる者の格差は拡大し、環境問題も深刻化して自然災害が増加している。ナショナリズムが台頭する世界情勢は、緊迫の度合いを強めている。コロナ前から深刻化していたさまざまな問題が、パンデミックにより顕在化しているのだ。このまま問題を放置していては、持続可能な社会は訪れない。しかし、新型コロナウイルス感染症がもたらしたこの世界規模の「破壊」により、私たちは社会を未来に向けてリセットできる選択肢を持っている。

本書では、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、以前より潜在化していた問題はさらに悪化し、多くのことがもう元に戻ることはないとする。どんな産業や企業も、訪れる変化とは無関係ではいられない。当たり前の生活は失われ、個人のレベルでも変化は訪れる。そのうえで、ニューノーマルに向かう世界がどのようなものになるのか、2020年6月時点でのマクロとミクロの視点から、客観的データや知見に基づいてわかりやすく説明する。そして、世界規模のパンデミックを契機として、世界のイメージを描きなおすべきだと主張する。

近い将来訪れるのは、連帯なのか個人主義なのか。少数のための利益か、集団の利益なのか。私たちは、本当に大切なものを見つめなおし、価値観を社会と共有しなければならない。選択肢は私たち自身の手にある。

ライター画像
香川大輔

著者

クラウス・シュワブ
1938年、ドイツ、ラーベンスブルグ生まれ。世界経済フォーラムの創設者で現在も会長を務める。1971年に発表した『機械工学分野の最新企業経営』で、企業は株主だけでなく、すべての利害関係者、すなわちステークホルダーのために、長期的成長と繁栄を実現する使命があると説き、このステークホルダー尊重主義を推し進めるために、同年、世界経済フォーラムを設立した。
フライブルク大学で経済学博士号、スイス連邦工科大学で工学博士号、ハーバード大学ケネディ行政大学院で行政学修士号を取得。1972年には、同フォーラムの主宰に加え、ジュネーブ大学の教授にも就任。これまで国内外で17の名誉博士号を含む、数多くの賞を受賞している。近年の著作には、30言語に翻訳される世界的ベストセラーとなった2016年発表の『第四次革命産業 ダボス会議が予測する未来』(日本経済新聞出版、2016年)と2018年発表の『「第四次産業革命」を生き抜く ダボス会議が予測する混乱とチャンス』(日本経済新聞出版、2019年)がある。

ティエリ・マルレ
1961年、フランス、パリ生まれ。個人投資家、グローバル企業のトップ、オピニオンリーダーや政策決定者向けに簡潔な予測分析を提供するオンラインメディア『マンスリー・バロメーター』の創設者であり、現在も代表を務める。世界経済フォーラムとの関わりも深く、グローバルリスクネットワークを設立し、そのプログラムのリーダーを務めるほか、さまざまな役職を兼任している。
フランス国立社会科学高等研究院(パリ)と英国オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジで、経済学と歴史学の修士号ならびに経済学博士号を取得。これまでに投資銀行、シンクタンク、学界や政府機関(パリの首相官邸で過ごした3年間を含む)でキャリアを積んできた。数冊のビジネス本や学術書、そして四冊の小説の著者でもある。現在、フランスのシャモニーで妻マリー・アンと暮らしている。

本書の要点

  • 要点
    1
    新型コロナウイルス感染症は、リセットせざるを得ないほどの激動を経済や社会基盤にもたらし、社会不安の波が世界中に広がっている。
  • 要点
    2
    パンデミックは、グローバルガバナンスや環境問題への対応を考える契機となる。デジタルトランスフォーメーションも急激に進んだが、「テクノロジーによる監視」も今後消えることはないだろう。
  • 要点
    3
    企業や個人にも変化が訪れている。行動を起こして社会をリセットしなければ、私たちの未来は深刻なダメージを受ける。

要約

社会に与えた影響

現代社会を形作る三つの力

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックが終息した後の世界はどうなるべきだろうか。

マクロ規模のリセットは、現代社会を形作る三つの力の流れの中で起きる。

一つ目の力は相互依存だ。グローバリゼーションの技術の進歩は、社会システムの深いところまでつながった世界を生み出した。その結果、経済、地政学、社会、環境それぞれのリスクが他のリスクを刺激し、飛び火効果を生む可能性を持っている。

二つ目の力がスピードだ。生活のペースがどんどん速くなる世界において、スピードに執着した「急ぐ文化」があらゆる面に現れる。新型コロナウイルスの感染拡大も驚異的なスピードで広がった。政策決定者は、より短時間で決断を迫られるようになっている。

そして三つ目が複雑性だ。複雑な社会は、構成要素の間に明確な因果関係がなく、予測することが難しい。それゆえ物事は悪い方へ転がる。複雑性は人々の物事の理解を超えたことを引き起こす。

経済的繁栄状況を示す指標の見直し
ffikretow/gettyimages

歴史を見ると、感染症は国の経済や社会機構を組み直す大きな契機となってきた。過去のパンデミックでは、終息後に資本家がコストをかけてでも再建を目指すため、労働者側の力が強まった。現代では、世界の大半で高齢化が進んでいるし、テクノロジーによって構図は変わるだろう。新型コロナウイルスには未知の部分が多すぎるため、リスクを的確に評価するのも難しい。

2020年に世界を直撃したパンデミックは、記録に残る限り最も打撃が大きく、最も短期間のうちにおきた。世界中の政府が熟慮を重ね、経済の大部分を閉鎖する決断を下した。特に被害が大きかった労働市場においては、世界の失業率は各国で二桁かそれを超える記録的な数字になることは間違いない。

ポストコロナ時代の経済成長率は、復興により一時的に目を見張る数字になり得るが、人口減少や高齢化と相まって低成長時代がほぼ確実に訪れる。このような今こそ社会全体が一度立ち止まり、経済をより公平で環境に優しい形に生まれ変わらせるチャンスだ。

私たちの幸福度は、一人当たりGDPで定義される富のレベルだけでは正確に測ることはできない。私たちが幸福かどうかは、物質的な豊かさよりも、利用可能な医療サービスの充実度や社会構造の安定性といった無形の要素にかかっている。それに気づけば、環境保護や他人への寛容といったものが新しい社会規範の特徴になっていくかもしれない。

社会が直面するリスク

新型コロナウイルス感染症は、経済や地政学的な激動にも匹敵する大変動を社会にもたらした。少なくとも短期的には不平等を悪化させることが予想される。人々の命を救い続ける看護師や介護士、経済を動かす配達員や倉庫の労働者などの労働階級は、リスクに見合う報酬を得られていない。ただし、危機を乗り越えた後でこの認識が世の中に広まり、不平等縮小の方向に動く可能性もある。

パンデミック収束後に社会が直面する最も深刻なリスクの一つが社会不安だ。反政府抗議運動やデモは以前より増加傾向にあった。パンデミック封じ込めのために冬眠していた社会的不満が、さらに勢いを増して噴出する恐れがある。

社会不安が増大すると、相対的に政府の役割は大きくなる。新型コロナウイルスほどの重大な外的ショックに対しては、市場原理に基づく対策では限界がある。実際、多くの国で景気刺激策や国民への現金給付などが行われた。ステークホルダー資本主義が優位となり、企業幹部は強まる政府の介入にも適応しなければならない。医療や環境の回復力を高めるために、増税する可能性も高いだろう。

マクロ環境への影響

真のグローバル化とは
metamorworks/gettyimages

グローバリゼーションによって何億もの人々が貧困から脱出したが、何年も前からその有効性が疑問視されている。

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