ボイステック革命の表紙

ボイステック革命

GAFAも狙う新市場争奪戦


本書の要点

  • ボイステックは、「画面に縛られた生活からの解放」を意味する。音声は情報を得るための究極形である。

  • コロナ禍でリモートワーカーが増加し、ワイヤレスイヤホンが広く普及した。それにより「絶えず何かを聴く習慣」が広がった。また、2021年に上陸した「クラブハウス」により、音声に注目が一気に集まっている。

  • 音声は、動画やテキストより一人当たりの可処分時間が長く、「ながら聴き」ができるのが音声コンテンツの特徴だ。発信も容易なため、忙しい人にこそマッチする。

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ボイステックは「画面からの解放」を意味する

ボイステックの萌芽

ボイステックの源流は、2011年にiPhoneに搭載された音声アシスタント「Siri(シリ)」にさかのぼる。これは音声によるコンピューターへの情報入力を可能にした。その後、2014年にアマゾンの「Alexa(アレクサ)」、2016年にはGoogleの「Googleアシスタント」が相次いでスマートスピーカーに搭載された。現在も各社はその精度を高め、新型スマートスピーカーを次々にリリースしている。

スマートスピーカーのように、音声による情報入手を可能にする技術は、「画面に縛られた生活からの解放」につながるという点で実に革新的だ。そして2020年にはボイステック革命の第一波がついに日本にもやってきた。

人と情報との接点は時代とともに変化する

kyonntra/gettyimages

人類はこれまで情報との接点を、技術革新によってアップデートしてきた。大昔は会話を通じて情報伝達をしていたが、文字ができたことで情報を書き残せるようになった。印刷技術が誕生すると、情報を複製し拡散することが容易になり、本、雑誌、新聞などのメディアが台頭するようになる。さらには音声や映像の記録技術も進歩し、ラジオ、テレビといったマスメディアが時代を席巻した。

そして次に登場したのがパソコンやスマホだ。ITデバイスにより、誰もが情報を発信し能動的に情報収集できるようになった。パソコンやスマホはパーソナライズが可能なため、広告のあり方も変化し、マネタイズもより高度化・加速化していくこととなる。

音声は「楽に情報を得る」究極の形

この情報インターフェイスの変遷は、「流通する情報量の増加」と同時に、「情報へのアクセシビリティの変化」も意味している。

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要約公開日 2021.07.30
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