東京藝大美術学部 究極の思考

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東京藝大美術学部 究極の思考
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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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定価
1,738円(税込)
出版日
2021年06月01日
評点
総合
3.3
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.0
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おすすめポイント

芸術分野の思考法をビジネスに活かす「デザイン思考」「アート思考」が知られるようになって、しばらく経った。かつて異分野だった「アート」と「ビジネス」を結びつけた最も有名な人物は、アップルのスティーブ・ジョブズだろう。2007年、ジョブズはiPhoneを発表し、その無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインや直感的に操作できるインターフェイスで世界中を驚かせた。アーティストでもあった彼は、テクノロジーとアートを見事に融合させて、人々の意識を変えたのである。

私たちは今、先の見えない不確かな時代を生きている。社会は目まぐるしく変化し、昨日までの常識が通用しないことすら「当たり前」になっている。誰もが「変わらなきゃ」ともがいている一方で、本書に登場する東京藝術大学出身のあるアーティストは「やることは一切、変わっていない」という。別の藝大出身者も「結果の見通しを立てず、永遠を受け入れる」という言葉を残している。彼らは周りの環境が変わっても、自らの意志に基づき、ブレることなく自身の“仕事”をし続けている。現実を受け入れつつ、常に「自分への問い」を発しながら過ごしているのである。

東京藝術大学は芸術分野の最高学府であると同時に、特に美術学部は入学者の偏差値・学歴が不揃いで、浪人経験者や社会人入学する人も多いユニークな学校だ。本書を通して、日々「新たな価値を創り上げる」ことに情熱を傾けている藝大生の姿勢を知れば、生きるヒントが得られることだろう。彼らの「究極の思考」を覗いてみてはいかがだろうか。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

増村岳史(ますむら たけし)
アート・アンド・ロジック株式会社 取締役社長
学習院大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。マーケティング・営業を経て映画・音楽の製作および出版事業を経験。リクルート退社後、音楽配信事業に携わったのち、テレビ局や出版社とのコンテンツ事業の共同開発に従事する。
2015年、アートと人々との垣根を越えるべく誰もが驚異的に短期間で絵が描けるプログラムを開発、企業向けにアートやデザインを通して脳を活性化し、新たな知覚と気づきの扉を開くアート・アンド・ロジック株式会社を立ち上げ、現在に至る。
代々のアート家系で、人間国宝・増村氏の血筋。著書に『ビジネスの限界はアートで超えろ!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    東京藝術大学の美術学部では、入学試験の傾向はなく、本質を問うような問題が出題される。
  • 要点
    2
    東京藝大以外の美大では、卒業のために必要な単位の4~6割が実技であることが一般的だ。しかし東京藝大では、その割合が7割にものぼる。
  • 要点
    3
    東京藝大でアートを学んだ人たちは、「理力(ことわりの力)」を備えている。具体的には、「言語と非言語、具象と抽象を網羅する理力」と「好奇心を持ち、問う理力」、そして「熱狂的に没頭できる理力」だ。

要約

究極のダイバーシティ学校「東京藝術大学」

偏差値40〜70台が集う芸術の最高学府

日本には795もの大学があるが、芸術系の国立大学は、東京・上野にある東京藝術大学(以下、東京藝大または藝大)1校のみだ。

一般的な大学入試においては、受験偏差値が物を言う。実際、偏差値40台の高校から東大に合格した例はほとんどないだろう。その結果、日本の大学には基本的に、受験偏差値で括られた「同程度の学力を持つ、よく似た傾向の人々」が集う。

東京藝大、特に美術学部は、その点、一般的な日本の大学とは異なる。著者がこれまで知り合った美術学部生や卒業生の出身校は、農業高校などの専門学科高校から超進学校までさまざまだった。東京藝大は、偏差値40台から70台までの人々が集う、日本で唯一の学び舎だといえる。

アートを学ぶ=「自分ごと化」を突き詰める
Zbynek Pospisil/gettyimages

ここ数年、ビジネス分野において、デザイナーやアーティストの持つ「デザイン思考」や「アート思考」を取り入れようとする動きがある。実際、美術系の大学院への入学を希望するビジネスパーソンも増えている。そうした人たちの多くは、ロジカルシンキングを軸とした「課題解決のみの世界」に行き詰まりを感じているようだ。

では、アーティストたちはどのようにアートと向き合っているのか。彼らは日々、自身の内から湧き上がる「純粋なる衝動」によって作品に向き合っている。彼らの究極の目標は、今までにない表現を発明することだ。彼らはすべてを「自分ごと」として捉え、制作活動という“仕事”を通して、自らの信念に働きかけている。アートを学び、制作する行為そのものが「自分ごと化」を突き詰めていくことなのである。

アーティストは、おおよそ以下のプロセスで作品を制作する。

(1)作品のビジョン・アイデアが浮かぶ

(2)具現化するために思考を巡らせたり、取材・リサーチをしたりする

(3)作品制作をする

(4)作品展示をするため、さまざまな人と協働する

この過程で最も重要なのは、「どう描くか」ではなく「何を描く(表現する)のか」、つまりビジョンを実現させるための「本質的な思考力」だ。ビジョンを実現させるための「本質的な思考力」が、作品としてアウトプットされるのである。

東京藝大の入試と学校生活

「傾向」のない超難関入試
diego_cervo/gettyimages

東京藝大の絵画科油画専攻(以下、油絵科)の受験競争率は常時17〜20倍、年によっては30倍にのぼることもある。競争率が高いといわれる早稲田大学でも6~7倍だから、その高さがわかるだろう。

浪人を経て入学する人の割合も際だって高い。2020年、日本の大学入試全体の現役合格者率は77.6%である一方、東京藝大美術学部ではわずか22.5%だ。これだけ浪人生の多い理由は、入試問題にある。

一般的に入学試験には必ず学校ごとの傾向があり、受験生は過去の傾向を把握し、試験対策をする。しかし、東京藝大の美術学部、特に油絵科においては、入試問題に明らかな傾向がみられない。

令和2年度とその前年度の実技試験は、次のとおりである(一部省略・編集)。

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