新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント

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出版日
2023年06月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

この変化の激しい時代に一体どんなスキルを習得すれば良いのか。本書はこの問いに答えてくれる。

広告代理店、外資系コンサルティング企業でプロジェクトを主導してきた著者は、今後ビジネスパーソンに強く求められるスキルはプロジェクトマネジメントだという。昨今のビジネス環境の変化は極めて急速で、ルール通りに仕事をこなすルーチンワークでは対応できなくなっている。

ルールに従うのではなく、目的を定めてメンバーに動機付けをして動かし、最大の成果を出すプロジェクトマネジメントの能力が求められているのだ。

このプロジェクトマネジメントスキルは、あらゆる業種で使える業界横断的なスキルでもある。他の業界横断的なスキルとしては論理思考やプレゼンテーションなどもあるが、特にプロジェクトマネジメントスキルは「持つ者」と「持たざる者」との間に大きな差を生むと著者は語る。なぜなら論理思考やプレゼンテーションスキルはあくまでも「個人として成果を出すためのスキル」であるのに対し、プロジェクトマネジメントスキルは「組織として成果を出すためのスキル」だからだ。身につければ強力な武器となるだろう。

本書に書かれているプロジェクトマネジメントの要諦を掴めば、新たなスキルセットとして自分の仕事にも応用できるはずだ。すべてのビジネスパーソンに一読をおすすめする。

著者

山口周(やまぐちしゅう)
1970年、東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。電通、ボストン・コンサルティンググループ、コーン・フェリー等で企業戦略策定、文化政策立案、組織開発・風土改革等に従事した後、株式会社ライプニッツ設立。現在、同社代表。株式会社中川政七商店、株式会社モバイルファクトリー社外取締役。著書の『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』は2018年ビジネス書大賞準大賞受賞。慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修士課程修了。

本書の要点

  • 要点
    1
    すべてのビジネスパーソンには目的と価値観に立脚し、自分の判断で物事を進めていくプロジェクトマネジメントの能力が求められるようになる。
  • 要点
    2
    「勝てるプロジェクト」を見極め、自分の身をそこに置くのはプロジェクトリーダーとして成功するために重要なポイントである。
  • 要点
    3
    プロジェクトの目的をメンバーに浸透させるのはプロジェクト初期段階における最も重要なリーダーの仕事である。
  • 要点
    4
    プロジェクトマネージャーが管理できるリソースのうち、配分にデリケートな配慮が必要なのが「メンバーの時間」である。

要約

【必読ポイント!】 プロジェクトは始まる前にすべてが決まる

すべてのビジネスパーソンに求められるプロジェクトマネジメント

今後すべてのビジネスパーソンにプロジェクトマネージャーとしての力量が求められるだろう。これまでホワイトカラーの仕事の多くは、ルールやマニュアルに沿ってルーチンワークをこなせばよかった。しかし、ここ10年ほど状況の変化は加速度的であり、従来のルールでは対応できない事象が頻発している。

機能不全のルールに判断基準を置き、目の前の仕事を処理していく業務能力は、無価値となりつつある。

一方で目的と価値観に立脚し、自分の判断で物事を進めていくプロジェクトマネジメントの能力が一層求められるようになっている。

「勝てるプロジェクト」を選ぶ
NicoElNino/gettyimages

「勝てるプロジェクト」を見極め、自分の身をそこに置くのはプロジェクトリーダーとして成功するために重要なポイントである。軍事でもマーケティングでも同じことが言える。たとえば連戦連勝で知られた「作戦の天才」ナポレオン・ボナパルトの「強さ」の秘密について『戦争論』で知られる軍事学者クラウゼビッツは「勝てる闘いしかやらなかったから」と指摘している。

1793年、英仏両軍は重要拠点のトゥーロン港をめぐって消耗戦をくり返していた。ここで若きナポレオンはトゥーロン港を直接攻撃するのではなくトゥーロンの内港と外港をつなぐ位置にあるレギエットの要塞を攻略し、イギリス軍にとって不可欠な海からの補給を断つ作戦を将軍に進言した。この進言は一度は断られたが、最終的に採択され、フランス軍は勝利している。

ナポレオンがやったことは「勝てない闘い」を避け、「勝てる」かつ「意味がある」戦場を見つけ出すことだったのだ。

「勝てないプロジェクト」のチェックポイント

どうやって「勝てるプロジェクト」と「勝てないプロジェクト」を見極めるのか。まず知っておきたいのが「目的が不明確なプロジェクトはポシャる可能性が高い」ことだ。「そもそも、何のためにやるのか?」という問いに明確な答えがないプロジェクトは危険だ。たとえば「複線型人事制度を導入する」「サプライヤーを集約する」「管理会計システムを導入する」などはすべて「手段」であり「目的」ではない。しかし、こうした「手段」が「目的」になってしまっているケースは多い。

目的がないことによって引き起こされる問題は、大きく分けて2つある。

1つは目的が明確でない場合、プロジェクトに問題が起きた際に迂回路を取れないことだ。目的が明確なら、最初にやろうとしていた手段に何か問題があるとわかった場合でも代替手段を採用し、目的を達成できれば何も問題はない。しかし目的が明確でなく手段だけが合意されていると、他の手段を取れずプロジェクトが暗礁に乗り上げてしまう。

2つ目の問題は、メンバーの管理が難しくなることだ。メンバーに裁量を委ね、実力を発揮してもらうには「○○をやれ」という具体的な行動の指示ではなく、「○○を達成しろ」という目的を伝達することが重要となる。そのため、目的の明確化が欠かせない。

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要約公開日 2023.06.21
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