ソニー再生
ソニー再生
変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」
ソニー再生
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2025年04月04日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ソニーが元気になった。ソニーは要約者の世代で言えば、ウォークマン、ハンディカム、VAIO、AIBOなど革新的でとにかくカッコ良くて、みんなから「へぇー」と言われる製品を世に出していた会社だ。今で言うと、アップルのような会社だったのではないか。

そんなソニーが主力のエレクトロニクス部門の構造的な赤字に苦しみ続け、プレイステーション 3の失敗などもあり、「このままじゃ潰れる」という時代が2000年代に続いた。そんな中、異端のキャリアを経て社長になったのが、著者の平井一夫氏だ。

「平井氏に社長が務まるはずがない」――2012年に社長に就任して以来、これでもかというほどのバッシングに平井氏はさらされてきた。そんなソニーが復活したのだ。

この本は、ソニー社員が持つ情熱のマグマに再び火をつけ、力強く前を向く会社に蘇らせた、本物の企業リーダーの迫力あるストーリーになっている。奇をてらわない。戦術や戦略を実行する社員との信頼関係をどう築くか。ソニーの元経営トップの経営哲学と魂からほとばしる言葉に、我々は多くの学びや気づきをもらえるはずだ。

「この人といっしょに働きたい」と思われるリーダーになるためには、何を考え、どう行動すべきか。そのヒントがあふれんばかりに詰まっている一冊である。

※本要約は、過去に作成した要約を最新版に合わせて一部再編集したものです。

ライター画像
たばたま

著者

平井一夫(ひらい かずお)
ソニー元社長兼CEO。
一般社団法人プロジェクト希望 代表理事。
1 9 6 0 年東京生まれ。
84年国際基督教大学(ICU)卒業後、CBS・ソニー入社。ソニー・コンピュータエンタテインメント米国法人(SCEA)社長などを経て、2006年SCEⅠ社長。
09年ソニーEVP、11年副社長、12年社長兼CEO、18年会長。
19年より24年までソニーグループ シニアアドバイザー。
21年には子どもたちの未来創造のきっかけとなる感動体験を提供する目的で、一般社団法人プロジェクト希望を設立。代表理事を務める。著書に『仕事を人生の目的にするな』(SB新書)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    異邦人としての体験が、「異見」を取り入れる経営哲学を生み出した。
  • 要点
    2
    方向性を決め、責任を取ることがリーダーに必要な資質である。
  • 要点
    3
    コストカットは、いつまでにどうやればコストがいくら下がるのかを繰り返し検討し、実行する。近道などない。
  • 要点
    4
    リーダーはまずは聞き役に徹する。結論が出ない場合も、期限を決めて考える。そして一度決めたらぶれないことが大切だ。
  • 要点
    5
    つらい決断を先送りせず、この道が正しいと判断したことは、何があっても最後までやり抜く。そして結果を出す。

要約

異邦人

「異なるもの」の見方や考え方に触れる

銀行で働く父の転勤で、ニューヨークに引っ越したのは、小学校1年生の頃だ。学校の授業では、何日たっても周りの子たちが何をしゃべっているのか分からない。この当時から、40年以上も後にソニーのかじ取りを託されるまで、著者はこのような「異」なる場所を転々と動き続けてきた。その中で、常に「異なるもの」の見方や考え方に触れ、その「異見」を取り入れようとしてきた。

異邦人としての体験はニューヨークにとどまらなかった。小学4年生になり、日本に帰国することになったのだ。この時の方が、カルチャーショックは大きかった。

その後も地元の中学に進学する直前にカナダへ渡り、2年半後にまた帰国した。今度は東京にあるアメリカンスクールに通い、大学も留学生や帰国子女の多い国際基督教大学(ICU)を選んだのだった。

日本人として日本で生きる

海外で育った時間が長いからこそ、日本人として日本で生きると真剣に考えていた。父の助言もあり、CBS・ソニーに入った。

入社した1984年、ソニーはすでに世界的なブランドへと駆け上がっていた。ウォークマンは1979年に発売されていた。CBS・ソニーでは、外国部に配属、主に海外アーティストの日本でのプロモーションを手伝った。

丸山茂雄さんとの出会い
Bim /gettyimages

ソニー本体に忖度する気など一切ない雰囲気の会社の中で、後に著者の人生を大きく変えることになる大先輩に会う。丸山茂雄さんだ。プレイステーションの誕生を陰で支えた功労者であり、新しいイノベーションの種を育てる先駆者だった。

新生活が軌道に乗り始めた1994年の年明け、上司に呼ばれ、「君にはニューヨークに行ってもらう」と告げられた。

後に経営者としての土台を創ることになるこのニューヨーク行きには、実は丸山さんが一枚かんでいたのだった。

プレイステーションとの出会い

人生最大のターニング・ポイント

「プレステの仕事さ。ちょっと手伝ってくんない?」そんな軽い口調でCBS・ソニーの丸山茂雄さんから電話がかかってきた。「ええ。いいですけど」とこんな返事をしたはずだ。これが会社員人生で最大のターニング・ポイントになった。

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要約公開日 2025.05.16
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