ナラティブカンパニー

企業を変革する「物語」の力
未読
日本語
ナラティブカンパニー
ナラティブカンパニー
企業を変革する「物語」の力
未読
日本語
ナラティブカンパニー
出版社
東洋経済新報社

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定価
2,640円(税込)
出版日
2021年05月27日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書は、戦略PRの第一人者である著者が、ビジネスの視点からナラティブを解説した画期的な書である。ナラティブとは「物語的な共創構造」である。ナラティブを生み出してその構造の中で活動を行い、企業価値の向上を果たしている企業は、ナラティブカンパニーと呼ばれる。

私たちは今、新型コロナウイルス感染症の拡大という世界共通の体験をしている。そして私たちが直面する「ニューノーマル」の世界において、企業と社会の関係性に新たな変化が起きているという。この変化への対応として注目されているのがナラティブだ。

本書では、ナラティブとは何かという説明から始まるが、抽象的な内容にとどまらない。たとえば、ナラティブの実現には、ナラティブスクリプトを作成する必要があるが、その助けとなるワークシートについても詳細に述べられている。また、デジタルトランスフォーメーションやSDGsといったキーワードが、ナラティブと紐付けて理解できるのもありがたい。正体をつかみづらかった用語を体系的に理解し、企業活動に落とし込むためのヒントが得られるだろう。また、ネットフリックスやナイキなど、ナラティブカンパニーの成功事例の多様性にふれられるのも本書ならではの魅力だ。

ナラティブの理論と実践的なノウハウがバランスよく記載された一冊だ。経営者や企業価値向上、サービス開発を担う方々にとって、これからの時代を生き抜くための手引きとなるのではないだろうか。

ライター画像
藤平泰徳

著者

本田哲也(ほんだ てつや)
本田事務所代表取締役/PRストラテジスト
「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に 『PR WEEK』 誌によって選出されたPR専門家。1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードに入社。2006年にブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。2009年に『戦略PR――空気をつくる。世論で売る。』(アスキー新書)を上梓。P&G、花王、ユニリーバ、サントリー、トヨタ、資生堂、ロッテ、味の素など国内外の企業との実績多数。2019年より株式会社本田事務所としての活動を開始。著書に『その1人が30万人を動かす!』(東洋経済新報社)、『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、共著に『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。国連機関や外務省のアドバイザー、Jリーグのマーケティング委員などを歴任。海外での活動も多岐にわたり、世界最大の広告祭カンヌライオンズでは、公式スピーカーや審査員を務めている。公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)理事。

本書の要点

  • 要点
    1
    ナラティブとは、「物語的な共創構造」である。ナラティブを生み出し、その構造の中で活動を行い、企業価値の向上を果たしている企業を、ナラティブカンパニーと呼ぶ。
  • 要点
    2
    ナラティブを実践するステップは、パーパスの設定、パーセプションの形成、ナラティブスクリプトの作成、マルチエンゲージの展開、効果の測定の5つである。
  • 要点
    3
    ナラティブを企業にインストールする際には、「ソーシャル・レスポンシビリティ」「ビジネス・トランスフォーメーション」「ビヘイビア・プリンシプル」の3つの領域がある。

要約

ナラティブの時代――なぜナラティブは求められるのか

ナラティブとは「物語的な共創構造」

この数年、世界的なマーケティングやブランドコミュニケーションの領域で、「ナラティブ」というワードの出現率が上がっている。「ナラティブ・マーケティング」「ストラテジック・ナラティブ」などのバズワードも見かけるようになった。

従来、これらに最も近い業界用語は、「ストーリーテリング」「ブランドストーリー」であった。ストーリーと呼ばれた領域が、ナラティブという概念にとって代わられようとしている。

ナラティブとは、ひと言で言えば「物語的な共創構造」である。ストーリーでは企業やブランドが主役であるのに対し、ナラティブでは生活者が物語の主人公となる。またナラティブは、ストーリーのように終わりはなく常に現在進行形であり、「これから起こること」を含む。そして企業が属する業界や競合環境を舞台とするストーリーとは違って、社会全体を舞台とする。

ビジネスにおけるナラティブは、消費者やユーザーはもちろん、従業員や取引先などのあらゆるステークホルダー(利害関係者)を、物語の「聴衆」としてではなく「当事者」として巻き込む考え方である。そうしたナラティブを生み出し、その構造の中でマーケティングや広告・PR活動を行うことで、業績や企業価値の向上を果たしている企業を、ナラティブカンパニーと呼ぶ。

ナラティブが求められる3つの変化
Nuthawut Somsuk/gettyimages

なぜナラティブはこれからの時代に重要な概念なのか。それは私たちが直面している「ニューノーマル」の世界に起きている、「共体験」価値の高まり、「社会的距離」の見極め、「自分らしさ」が問われるという3つの変化にある。

ここでは「共体験」価値の高まりを例にあげよう。共体験とは、ある集団内、あるグループ内で同じ体験価値を共有することを指す。スポーツをスタジアムで観戦していると、どこからともなく観客がウェーブを起こし、それが次々に他の観客に伝播していって、スタジアム全体に一体感が生まれることがある。これも共体験の1つだ。

最近ではSNSの浸透により、ある特定の興味・関心で結びついた層がミルフィーユのように多層に重なる世界になっている。新型コロナウイルス感染症の影響で、同じ価値観、情報リテラシーを持つ人たちの共体験は深まっている。一方で、ウイルスへの恐怖、情報リテラシー格差による分断、細分化も加速している。

こうした共体験のマルチ化にうまく対応し、特定のターゲットに向けて共体験をデザインできるようになると、多くの人から共感、感動を得ることができる。しかしそのためには、企業やブランド自らも共体験者の一人になって共体験の輪に入らなければならない。こうした3つの変化を超えて生き残るのがナラティブカンパニーである。

【必読ポイント!】 ナラティブを実践する5つのステップ

STEP1 パーパスの設定:ナラティブの「起点」を定める

ナラティブは5つのステップで実践される。パーパスとは、企業やブランドの「存在意義」である。たとえば、P&Gは「より多くの消費者の生活を少しずつ意味ある方法で日々向上させる」をパーパスとしている。

ナラティブの起点は「創業者や企業の強い思い」である。

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