京大 おどろきのウイルス学講義

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京大 おどろきのウイルス学講義
出版社
定価
1,023円(税込)
出版日
2021年04月29日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、ウイルスについて考える機会が増えてきた。しかし、改めてウイルスとは何か、変異とは何かと問われると、うまく答えられないという方も多いだろう。今回の感染症拡大は、私たちがウイルスに対していかに無知で無防備だったかを明らかにしたといえるだろう。

本書は、獣医であり、ウイルス学の研究者である著者の立場から、感染症を引き起こすウイルスにとどまらない、ウイルスの本質について明らかにした一冊である。著者によれば、コロナウイルス自体は動物の世界では一般的なウイルスであり、新型コロナウイルスも「既知」のウイルスと言ってよいのだという。本書の解説によって感染症を起こすウイルスの変異について知っていくと、新たな感染症に備えるためには、今問題を起こしていないウイルスについても広く研究していく必要があるという著者の主張にも納得できる。

また、ウイルスというと病気を引き起こすものというイメージがあるが、ウイルスは長年生物と共存してきており、生物の進化にも重要な役割を果たしている。そうした研究成果についての紹介を読んでいると、知的好奇心を刺激され、ウイルス学の面白さにワクワクさせられることだろう。

ウイルスの本質を見つめ、感染症に対しても冷静な対処を促す本書は、多くの人にとって、今の時代を生きる道しるべとなることだろう。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

宮沢孝幸(みやざわ たかゆき)
京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授。1964年東京都生まれ。兵庫県西宮市出身。東京大学農学部畜産獣医学科にて獣医師免許を取得。同大学院で動物由来ウイルスを研究。東大初の飛び級で博士号を取得。大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター助手、帯広畜産大学畜産学部獣医学科助教授などを経て現職。日本獣医学学会賞、ヤンソン賞を受賞。
2020年、新型コロナウイルス感染症の蔓延に対し、「1/100作戦」を提唱して注目を得る。本書が初の単著。共著に『公衆免疫強靭化論』(藤井聡との共著、啓文社書房)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    世界で大きな混乱を引き起こした新型コロナウイルスのような新興ウイルスは、まったく無警戒なところから突然やってくる。その理由は、現状で問題を起こしていないウイルスは研究対象になりにくいためだ。
  • 要点
    2
    DNA型とRNA型に分けられるウイルスは、生物の体内にあるタンパク質の工場、リボソームを使って増殖していく。
  • 要点
    3
    病原性のウイルスだけでなく、長年生物と共存してきたウイルスもある。レトロウイルスと呼ばれるウイルスは病気を引き起こすものもあるが、生物の進化に重要な貢献をしてきたものもある。

要約

次にくる可能性がある「動物界」のウイルス

新興ウイルス感染症は予期せぬところからやってくる

2019年末から広がった新型コロナウイルス感染症は、本書が出版された2021年4月の時点でも収束を見せていない。同じような混乱は過去にも起こっている。2002年から2003年にかけてSARSコロナウイルス、2012年にMERSコロナウイルスが出てきたときも、世界は大騒ぎになった。これらのウイルスに共通しているのは、動物由来のウイルスが人に感染して病気を引き起こしたということだ。

新たな感染症を引き起こす新興ウイルスは、まったく無警戒なところから突然やってくる。予算が削減され、目先の成果が問われるようになった研究の分野では、今問題になっていることにしか研究対象にできない。現在の日本のウイルス研究では、研究されるウイルスの種類が偏り、研究者も少なくなってきている。しかし、選択と集中をせずに、どのウイルスについても万遍なく研究しておかないと、新興ウイルスの問題には対応できない。

危険なウイルスはほとんど研究されていない
Nuthawut Somsuk/gettyimages

医師が勉強するウイルスの数は、獣医が勉強するウイルスに比べるとはるかに少ない。動物にはそれぞれの種ごとにウイルスがあるため、動物のウイルスは非常に多いのだ。

その中には、変異して人に感染したら恐ろしいことになるウイルスがいくつもある。やっかいなことに、新興ウイルス感染症を引き起こすウイルスは、もともとの動物にいるときは何の病気も起こさないのに、種を超えて人に感染するようになったとたん、強毒性を発揮する。チンパンジーから人に感染するようになったエイズの原因となるHIV-1や、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス、そして新型コロナウイルスもこれにあたる。

ニワトリに感染し、リンパ腫(リンパ球ががん化した病気)を引き起こすトリヘルペスウイルスは空気感染する。同じことが人のヘルペスウイルスで起きたら大変なことになるだろう。

しかし、現段階で人にも動物にも病気を起こしていないウイルスは、ほとんど研究されていない。

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