スタンフォードの権力のレッスン

未読
スタンフォードの権力のレッスン
スタンフォードの権力のレッスン
未読
スタンフォードの権力のレッスン
出版社
ダイヤモンド社

出版社ページへ

定価
1,980円(税込)
出版日
2021年07月27日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.5
応用性
4.0
要約全文を読むには会員登録ログインが必要です
ログイン
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

私たちは権力を「個人が自由に使える資産」であり「自分を強くするための資源」だと考えるようになった。その結果、権力の獲得がいつのまにか自己目的化してしまった。そう著者は指摘する。

しかし、多くの動物の集団では、尊敬や賞賛、大きな権力を得るのは、力や強みを自分のために使う者ではなく、集団の問題を解決するために使った者である。これは人間の集団でもまったく同じことが言えるのだ。

本書は、世界でも有数のビジネスエリートが集まるスタンフォード大学MBAの人気コース「パワフルに行動する方法(Acting with Power)」から生まれた。権力について正しく理解し、正しく使うためのレッスンだ。そこでは、永続する真の権力は、個人的な地位の追求や権力への執着で得られるのではないと教えられている。

要約者にとって印象的だったのは、次のような著者の言葉だ。「権力を持った人間がしてはいけないことなら、誰でも知っている。しかし、権力を持った人間がすべきことについて、明確に答えた者はいない」。本書はこの問いに答えるために、権力を再定義しながら、権力を上手に使うための個々人の「役割」という視点を導入する。

一見、一部のビジネスエリートのために書かれたように感じられるかもしれない。しかし、私たち誰もが社会生活を営んでいる以上、「権力」と「役割」という視点で自分の行動を振り返ることは、人間関係や組織マネジメントに極めてポジティブな効果をもたらすだろう。

ライター画像
しいたに

著者

デボラ・グルーンフェルド
(Deborah Gruenfeld)
スタンフォード大学経営大学院社会心理学教授。コーネル大学で学士号(心理学)、ニューヨーク大学で修士号(ジャーナリズム)、イリノイ大学でPh.D.(心理学)を取得。権力と組織行動について研究、多数の論文を発表しており、集団と権力についてのコースで25年以上指導している。本書のもととなったコース「パワフルに行動する方法」は、スタンフォード大学経営大学院の最も人気の高い講座の1つ。スタンフォード大学経営大学院ジョセフ・マクドナルド・チェアド・プロフェッサー、リーンイン財団理事、スタンフォード大学女性リーダーシップ推進センター理事。その研究は学術誌に留まらず、「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙、「ワシントンポスト」紙、「ニューヨーカー」誌ほか、多くのメディアで取り上げられている。

本書の要点

  • 要点
    1
    権力には二つの顔がある。自分の権力を前面に押し出す「パワーアップ」と、自分の権力を慎み深く控える「パワーダウン」である。
  • 要点
    2
    権力を適切に使うためには、それぞれのシチュエーションにおけるプロット(筋書き)を把握し、個々の役割に応じて適切にパワーアップ&ダウンを使いこなすことが大切だ。
  • 要点
    3
    リーダーは、権力を好き勝手に使ってよい資源としてではなく、他者のために投資する資源として扱う「与益原則」に沿って行動すべきだ。これからのリーダーに求められるのは、人間としてのあたたかさである。

要約

何のための権力か

権力はあらゆる関係性の中に存在する

私たちは誰でも、与えられた役割に応じて他者に対して権力を持っている。

そう言われると、戸惑う人が多いかもしれない。しかし、私たちは他者との関わりの中で、互いに必要としあい、相手に提供する何かを持っている。

そうした人と人のあいだを行き交うリソース(資源)が権力であり、一方だけに絶対的に存在するものではない。権力はあらゆる役割や、人と人との関係性の中に存在しているのである。

こうした誰もが持っている権力を上手に使うために、私たちは自分の権力にともなう責任について、いま以上に真剣に考える必要があるのではないだろうか。

無力感が権力を求める
recep-bg/gettyimages

人間は自分の無力さを感じるほど、権力を求めるということを知っておこう。つまり、権力を強く求める人ほど、強い無力感を抱えているということだ。しかし、どんなに権力を持ったところで、その無力感が和らぐことはない。

私たちが抱く無力感は、権力の不足が原因ではない。それは、生存本能であり、自分は永遠に生き続けるわけではないという事実に対する反応だ。私たちにできる最善のことは、この現実と折り合いをつけ、有限の時間の中で他者のために生きようとすることだ。

そのような考え方の変化は、年齢とともに、ある程度は自然に起こる。知恵と人生経験、そして死が近づいているという自覚によって、将来の世代に意識を向け、彼らの繁栄のために自分に何ができるかを考え始める。

だが、そのような心境に至るのを待つ必要はない。私たちは何歳であっても、このような知恵と成熟を身につけることができる。そのために必要なのは、権力についてこれまでと違う見方をすることのみである。

【必読ポイント!】 パワーアップ&パワーダウン

自分を強く見せる戦略

どんな人にでも、その権力には二つの顔がある。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2634/3395文字
会員登録(7日間無料)

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.09.20
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
人間をかんがえる
人間をかんがえる
アルフレッド・アドラー山下肇(訳)山下萬里(訳)
未読
ナラティブカンパニー
ナラティブカンパニー
本田哲也
未読
クオンタム思考
クオンタム思考
村上憲郎
未読
ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方
ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方
山口揚平
未読
サーバント・リーダー
サーバント・リーダー
髙山祥子(訳)ジェームズ・ハンター
未読
世界初のビジネス書
世界初のビジネス書
ベネデット・コトルリアレッサンドロ・ヴァグナー(編)伊藤博明(訳)
未読
FREE, FLAT, FUN
FREE, FLAT, FUN
伊藤羊一
未読
京大 おどろきのウイルス学講義
京大 おどろきのウイルス学講義
宮沢孝幸
未読
法人導入をお考えのお客様