著者はリーダーを、「自分を導く(Lead the self)」生き方をする存在ととらえている。自分を導くとは、自らの意思で選び、決断する生き方であり、いわば自分に対してリーダーシップを発揮することだ。理想的なリーダーシップがどこかに存在するのではなく、すべてのリーダーシップの原点は「自分を知り、自分を導くこと」にあると考えている。
リーダーは自分を導いて生きるのと同時に、「他者を導く(Lead the people)」存在でもある。また、自分や自分のまわりだけでなく、多くの人々が笑顔で生きられる幸せな社会を創る、「社会を導く(Lead the society)」存在でもある。
これら3つのリーダーシップの根底にある「ウェイ(あり方・価値観)」が、「FREE, FLAT, FUN」だ。FREEとは、常識から解放され、一人の人間として自由に生きること。FLATは、一人ひとりが、異なる意思を持つリスペクトされるべき存在であること。FUNは、一人ひとりが意思を決めて生きられれば、楽しく幸せな社会になるということ。このように働き生きることができれば、個人も社会も幸せになるに違いない。
新型コロナウイルスの感染拡大により、毎日通うのが当然だったオフィスは「必要があれば行く」場所になった。そして、リモートワークという表面的な働き方の変化以上に、オフィスで働く人たちの内面も変化を遂げた。
私たちはいま、これまでの「常識」から解放されてFREEになり、「こうありたい」と思える生き方ができる状態に変わりつつある。そうすれば、一人ひとりが自分のありたい姿を見つめる機会が増え、誰もが「ちがう」、つまりFLATな存在であることを認める社会に近づいていくはずだ。
今後私たちは、「リモート中心で働く」という選択肢を、自らの意思で選んでいくだろう。もちろん、リモートよりも対面を好む人もいるはずだ。それは一人ひとりの考え方や意思のちがいである。
この「意思に基づく決断」が「自分で自分を導く(Lead the self)」生き方につながる。多様な選択肢の中から自らの意思で選び決断することができたなら、どんどん「FUN(楽しい状態)」になっていく。逆に、自分の意思を持てなければ、苦痛を感じることが増えていくかもしれない。自分の意思で行動や人生を決められる人こそが、楽しく生きられるのだ。
自分の人生を生きるためには、「自分はなんのためにそれを選ぶのだろう?」と問いを立てて考え続けることがとても大切だ。自分が目指すゴールやありたい姿を明確にイメージできていなければ、他人の指示のままに生きてしまうことになりかねない。それはもはや他人の人生を生きているのと同じである。
自分の人生を生きるとは、自分が大事にしている想いを知り、目指しているゴールを見据えて「自分を導く(Lead the self)」ということだ。それこそがリーダーシップの原点であり、「他者を導く(Lead the people)」リーダーシップにつながる。そうして一人からチームになれば、一人では成し得なかったような大きなことができるようになり、「社会を導く(Lead the society)」リーダーシップが発揮できるようになる。
「仕事力」として求められるのは、なにより「アクション(行動)」だ。しかしそれは氷山の一角に過ぎず、水面下には他人からは見えない「スキル」と「マインド」が存在する。スキルがなければアクションを支えきれないし、特に有事(非常事態)の際には、土台としての確固たるマインドがなければアクションにブレが生じる。
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