ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2の表紙

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2


本書の要点

  • 社会の多様化が進んでいるのは移民の多い英国だけではない。日本にも外国人労働者は増えている。日本で働く外国人のいる風景は、特別なことではなく、日常になりつつある。

  • 「第三の性」と言われる「ノンバイナリー」やLGBTQ、「PC(ポリティカル・コレクトネス)」の問題は、テレビや新聞の中だけの話題ではなく、日常とつながっている。

  • 自分の決定に、後悔する日もしない日もある。日々起こる出来事は変化し、自分自身も変化している。その繰り返しが「ライフ」だ。

1 / 4

ミクロとマクロのリサイクル

移民と鉄くずとベビー服

著者の一家は大規模な家の片付けを始めることになった。著者の配偶者は「DIYするする詐欺常習犯」であるため、不用品はゴミ袋に収まるような規模ではなく、建設機器レンタル会社から「スキップ」を借りることになった。スキップとは廃棄物入れのコンテナだ。英国では家の建て替えをする際など、これに廃棄物を入れて、クレーンで持ち上げ、トラックで運び去る。自宅前にスキップが運び込まれたが、配偶者は物を捨てるのが苦手な性分で作業がなかなか進まず、スキップの底に20%くらい廃棄物が溜まっている段階で止まっていた。そんなある日の朝、家の前で大きな物音がした。著者は反射的に誰かがスキップにゴミを入れたのだと思ったが、そうではなかった。鉄くずを集めているルーマニア移民が、スキップの中の物を持っていこうとしていたのだ。配偶者は彼らに古い自転車を渡し、まだ不用品が出るからまた来るように伝えていた。翌日からルーマニア移民たちは毎朝著者の家を訪れるようになった。配偶者は鉄のついたもののほか、安全ベストや、「思い出があるから」とずっと捨てられなかった息子のベビー服まで彼らに譲った。近々子供が生まれるのだという。ルーマニア移民たちの中には子供もいたので、配偶者は息子にも不要な服があればまとめるように言った。著者が通りかかると、息子は不要な服をまとめる手を止め、考え込んでいた。

ごみをあげようとしているのかな?

Nalin Prutimongkol/gettyimages

「僕は自分のごみを誰かにあげようとしているのかな?」

もっと見る
この続きを見るには...
残り3987/4629文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2021.09.16
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

室町は今日もハードボイルド
室町は今日もハードボイルド
清水克行
失敗を語ろう。
失敗を語ろう。
辻庸介
FREE, FLAT, FUN
FREE, FLAT, FUN
伊藤羊一
ナラティブカンパニー
ナラティブカンパニー
本田哲也
超入門カーボンニュートラル
超入門カーボンニュートラル
夫馬賢治
45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気
45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気
木下紫乃
不安な時代をどう生きるか
不安な時代をどう生きるか
本田健
スタンフォードの権力のレッスン
スタンフォードの権力のレッスン
御立英史(訳)デボラ・グルーンフェルド

同じカテゴリーの要約

経営者のための正しい多角化論
経営者のための正しい多角化論
松岡真宏
超新版ティッピング・ポイント
超新版ティッピング・ポイント
マルコム・グラッドウェル土方奈美(訳)
西洋近代の罪
西洋近代の罪
大澤真幸
となりの陰謀論
となりの陰謀論
烏谷昌幸
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ブレイディみかこ
サピエンス全史(上)
サピエンス全史(上)
ユヴァル・ノア・ハラリ柴田裕之(訳)
グーグル社員はなぜ日曜日に山で過ごすのか
グーグル社員はなぜ日曜日に山で過ごすのか
河原千賀
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
リンダ・グラットンアンドリュー・スコット池村千秋(訳)
無料
世界の今がわかる「地理」の本
世界の今がわかる「地理」の本
井田仁康(編著)
デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか
デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか
針貝有佳