アフターコロナのニュービジネス大全

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出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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定価
1,870円(税込)
出版日
2021年07月20日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

2020年は、世界中がコロナショックに見舞われた一年であった。海外ではロックダウンによる厳しい外出制限が課された都市も多い中、新しいビジネスやサービスが続々と生まれているという。逆境をはねのけ、少しでも楽しみを見出して前進しようとする試みが、世界のあちこちでなされている。未曾有の災難は、人間の底力を試しているかのようだ。

もちろん日本でもさまざまな方策が行われているし、アイデアも誕生している。しかし著者も指摘しているように、それらは嵐が過ぎるまでのつなぎであり、完全なる変容ではないようにも見える。そろそろ変わってしまった日常を受け入れ、発想を転換し、新しい未来に向けて舵を切り直してもいい頃ではないだろうか。

本書では、コロナ禍に誕生した海外の新ビジネス&サービス全69事例を題材に、専門家による分析と国内マーケット向けアドバイスを合わせて紹介する。著者は日本の若者研究の第一人者である原田曜平氏と、世界70カ国100地域600人の海外日本人女性ネットワークを取りまとめる、海外マーケティングプロデューサーの小祝誉士夫氏だ。異なる分野のスペシャリストがタッグを組み、「海外×若者」という切り口でアフターコロナのビジネスを読み解いていく。

これからの時代を勝ち抜くためには、新しい視点が欠かせない。そのヒントやアイデアが詰まった本書は、ビジネスチャンス探しに大いに役立つことだろう。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

原田曜平(はらだ ようへい)
マーケティングアナリスト、信州大学特任教授
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーを務める。退社後、信州大学特任教授、マーケティングアナリストとして活動。若者研究とメディア研究を中心に、次世代にかかわる様々な研究を実施。「マイルドヤンキー」や「伊達マスク」などの言葉の名づけ親としても知られる。著書に『さとり世代』『ヤンキー経済』『平成トレンド史』『それ、なんで流行っているの?』『Z世代』など。日本テレビ「バンキシャ」などテレビ出演多数。

小祝誉士夫(こいわい よしお)
株式会社TNC代表取締役社長、プロデューサー
1973年生まれ。大学卒業後、5年間のインドネシア勤務を経て、2004年から株式会社TNCの創業メンバーとしてマーケティング業界に従事。2008年に同社、代表取締役社長に就任。70カ国100地域600人の海外日本人女性のネットワーク『ライフスタイル・リサーチャー®』を主軸とした海外リサーチ、マーケティング業務のプロデューサーとして現在に至る。海外コンセプトの商品開発、海外トレンド視点の新規事業開発、海外市場におけるマーケティング戦略業務などの実績多数。東京・神楽坂に「食」をテーマに海外と日本をつなげるテイスティングサロン「メゾンド・ツユキ」を運営。

本書の要点

  • 要点
    1
    仕事のオンライン化が加速する中、VRヘッドセットを使った「オフィスワークのVR化」が進むだろう。
  • 要点
    2
    コロナ禍において、贅沢の形が変わった。オランダの食材キットデリバリーサービス「Cook Like a Chef」は、そこに着目した。
  • 要点
    3
    アフターコロナにおいてもビジネスを存続させるには、世界の動向をウォッチし続けることと、国内の若者の間で流行っているものに常にアンテナを張り、その理由を自分なりに分析することが求められる。

要約

リアルに近づくオンライン

リアル感倍増のVRオンライン会議

コロナ禍において、オンライン会議やセミナーが急速に広まった。ウェブ会議システムやビジネスチャットツールが普及し、国内外で仕事のオンライン化が加速している。

そうした中、次のステップとして注目されているのがオフィスワークのVR化だ。VRヘッドセットを使ってオフィスを仮想空間上で再現し、よりリアルなコミュニケーションを実現する。

「Meetin VR」は、仮想空間内で同僚と共同作業を行えるプラットフォームだ。仮想のオフィスに“出社”し、自身を模したデジタルアバターを通じて打ち合わせやプレゼンテーションをする。3Dペンで空間に文字を書いたり、付箋を貼ったりする動作も可能だ。

オンライン会議でよりリアルなコミュニケーションをとれるようになれば、コロナ収束後もオンライン重視の傾向は続くだろう。エンターテインメント分野で先行していたVRだが、VRヘッドセットの低価格化も追い風となり、ビジネス分野で重宝される日は近いはずだ。日常的にはVRで仕事をこなし、「ここぞ」というときだけ対面で会合するなど、コミュニケーションの使い分けが進んでいくだろう。

スマートミラーを使って自宅エクササイズ
skynesher/gettyimages

外出禁止令でジムに行けなくなった米国では、スマートミラーを使った自宅エクササイズサービスが注目された。スマートミラーとは、映像やデータが表示される、通信機能付きの鏡である。

米国の「Mirror」は、鏡に自分の姿を映し、鏡内の映像に登場するインストラクターの動きに合わせてワークアウトができるサービスを提供している。手首に装着したスマートウォッチとリンクさせて、心拍数を確認することも可能だ。「フィットネス界のNetflix」の異名をとる自宅トレーニングバイク「Peloton」も、健康志向の高い米国人の間でブームを起こしている。

日本でも自宅で過ごすことが当たり前となり、自宅にいるユーザーに対してよりリッチなワークアウト体験を提供できるサービスが求められるだろう。既に国内ITベンチャー「ジーエルシー」が「Smart Mirror 2045 for Fitness」の販売を開始するなど、普及の兆しが出てきている。

友達の意見を聞きながらネットショッピング

外出できなくても友人と買い物を楽しみたい――。米国の「Squadded Shopping Party」は、そんな願いを叶えてくれるサービスだ。

ターゲットは15〜25歳のZ世代。複数のECサイトでグループショッピング体験を楽しめる。既にNetflix PartyやInstagramのCo-Watching機能など、友人同士で楽しめるオンラインサービスが登場しているが、それがECに波及した形だ。

友人からの率直なアドバイスは、服選びに役立つ。だが従来のECサイトには、その機能はなかった。同サービスでは、チャット機能を使って友人とあれこれ感想を言いながら買い物ができると、Z世代に大いに受けている。

あらゆる商品がネットで購入できるようになった今、次に考えるべきは「リアルに近い購買体験を提供すること」だ。日本の若い世代は、コロナ禍でも消費金額がさほど落ちておらず、特にアパレルへの興味や消費は上の世代に比べて大きい。今後は、オンラインでの利便性や感染リスクを回避する安全性を担保しつつ、エンターテインメントとしての買い物を楽しんだり近しい人たちと体験価値をシェアできたりする、“ハイブリッドなショッピング”が主流になっていくだろう。

【必読ポイント!】 新しい贅沢

コース料理を自宅で再現
wundervisuals/gettyimages

オランダでは、ミシュラン星付きレストランのコース料理が自宅で簡単に“完全再現”できる食材キットのデリバリーサービス「Cook Like a Chef」が話題となった。「Cook Like a Chef」では、フォアグラやトリュフ、キャビア、ロブスターなどの高級食材と、調理の手順を簡単に指示したカードを同梱する。パーティーコースやビーガンコース、クリスマスコースなど、レシピの種類も豊富だ。ウェブサイトで公開されている調理動画を参考にしながら家族で料理をつくり、自宅にいながら贅沢なコース料理を楽しめる。

特筆すべきは、料理ではなく食材キットを届けている点だ。

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