CMプランナー福里真一が書きました 困っている人のためのアイデアとプレゼンの本

未読
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未読
CMプランナー福里真一が書きました 困っている人のためのアイデアとプレゼンの本
出版社
日本実業出版社
出版日
2014年06月19日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

ジョージア「明日があるさ」、サントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、トヨタ自動車「こども店長」。聞いただけで「あぁ、あれ!」と多くの人が想起でき、長年にわたって支持されるテレビCMを企画・制作する名CMプランナーが実は「電信柱の陰から見てるタイプ」と自称するほどの暗い性格というのは信じられないのではないだろうか。コミュニケーションがとことん苦手で、自分の中に表現したいものがあるわけではなく、受注してから考える「ノンクリエイター・タイプ」という著者・福里氏の特性が、かえって企画や制作に活かせるというのだから驚きだ。

本書は少し自虐的で、くすっと笑いがこぼれてしまうような、ユーモア溢れる福里氏の語り口にグイグイ引き込まれ、あっという間に気楽に読めてしまう。その一方で、明日からの企画やプレゼンに取り入れられるヒントが確実に心に刻まれていく。さらには、「人は自分にできることしかできない。今の自分でいい」というメッセージによって、肩の力が抜け、自己肯定感を得られる。そんな思いがけない副産物もついてくる「お得感」に満ちた一冊だ。

有名なCMのコンセプトやストーリーをどのように発想し、企画に磨きをかけていったのかが克明に描かれているため、まさに福里氏の脳内を追体験できるのも本書の魅力ではないだろうか。具体的なプロセスについては、ぜひ本書を読んでじっくりと味わってほしい。

ライター画像
松尾美里

著者

福里 真一
ワンスカイ CMプランナー・コピーライター。
1968年鎌倉生まれ。一橋大学社会学部卒業。92年電通入社。01年よりワンスカイ所属。今まで1000本以上のテレビCMを企画・制作している。
主な仕事に、吉本興業のタレント総出演で話題になったジョージア「明日があるさ」、樹木希林らの 富士フイルム「フジカラーのお店」、トミー・リー・ジョーンズ主演によるサントリーBOSS「宇宙人ジョーンズ」、BOSS贅沢微糖「贅沢していい人」、トヨタ自動車「こども店長」「ReBORN 信長と秀吉」「TOYOTOWN」、タウンページ「良純さんが行く」、ENEOS「エネゴリくん」、ダイハツ「日本のどこかで」、東洋水産「マルちゃん正麺」など。ACC(全日本CM放送連盟)グランプリ、TCC(東京コピーライターズクラブ)グランプリ、クリエイター・オブ・ザ・イヤー、など受賞。その暗い性格からは想像がつかない、親しみのわくCMを、数多くつくりだしている。
著書に『電信柱の陰から見てるタイプの企画術』(宣伝会議)。

本書の要点

  • 要点
    1
    無理に背伸びしてプレゼンが上手そうという印象を与えてはいけない。ひと言で伝えられる「わかりやすいシンプルな企画」を心がけることが大切だ。プレゼンしやすい企画を考えることは、いい企画づくりの肝でもある。
  • 要点
    2
    気負わずに自分に才能なんてないと開き直ることで、企画をどんどん思いつけるようになる。そのことが結果的に心の余裕につながるため、質の高い企画を生み出しやすくなる。
  • 要点
    3
    日常の中でふれてきた本やテレビ、映画、誰かに言われたひと言といった過去の経験や、生い立ち・性格などの全てが、企画を生み出すきっかけになっていく。

要約

困っている人のためのプレゼン術

プレゼン上手な空気を出さない

CMプランナーという立場上プレゼンの機会は多いが、「プレゼンがうまそう」という空気を出さないように心がけている。むしろ「あまり得意ではない」と最初から明言しておけば、ハードルが一気に下がり、プレゼンが下手でも許してもらえるという効用があるからだ。さらには、プレゼンする側も自分の話しやすい話し方で話せばいいと気が楽になり、緊張を和らげることができる。

とはいえ、プレゼンの内容自体はわかりやすい方がよい。福里氏が意識しているのは、「脳内のプロセスをそのまま話す」ことだ。アイデアを感覚的にパッとひらめくのではなく、理屈で考えていくタイプなので、自分の考えた過程を順番通り話していると、受け手は「なぜそのCM案なのか」を理解しやすくなる。脳内のプロセスを順序立てて説明することは、感性や立場が違う多くの人を納得させるコツだといえる。

ひと言でいえる企画に
maglyvi/iStock/Thinkstock

そもそもプレゼンしやすい企画を考えるというのも重要だ。邪道っぽく聞こえるかもしれない。しかし、ほとんどのCMは「話題になり商品がヒットすること」を目的に作られるため、話題にしやすいということは「人に説明しやすい」という証なのだ。「ひと言でいえる企画はよい企画」という広告業界の金言の通り、企画の根本はシンプルであった方がよい。実際、ヒットして話題になるCMは、ひと言でいえる企画になっていることが多い。それゆえ、プレゼンしやすい企画を考えることは、実際に創る広告もいいものになり、プレゼンも楽になるという一石二鳥の秘訣だといえる。

テレビCMの企画をプレゼンするときは、企画書のお供に絵コンテ(CMのストーリーを絵にして、左側にト書きを、右側にセリフなど音声要素を書いたもの)という四コマ漫画のようなものを用意する。そんな絵コンテで、何十億のお金が動くのがCMの世界だ。CMは実写で作られるので、福里氏は絵に力を入れず、「写真をできるだけ多用すること」を心がけている。実際に撮影されるCMに近い写真を使うことで、出来上がりをイメージしやすくなるからだ。

へたでも本気でプレゼンしないと失礼

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プレゼンのやり方は人それぞれであり、その人に合ったやり方をすればよいと考えている。福里氏のような「電信柱の陰から見てるタイプ」は、エンターテイメント性の高いプレゼンや熱い思いがたぎるようなプレゼンはできないという自分を受け入れ、淡々と行うようにしている。

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要約公開日 2014.09.17
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