指導者とは

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指導者とは
ジャンル
著者
リチャード・ニクソン 徳岡孝夫(訳)
出版社
文藝春秋(文春学藝ライブラリー)
定価
1,793円
出版日
2013年12月18日
評点(5点満点)
総合
4.3
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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レビュー

本書は第2次世界大戦中および戦後に活躍した「偉大な指導者」と、その背景となる歴史について、ニクソンが副大統領、大統領として交流した私的な話を交えながらまとめた1冊である。原書には「現代世界を作った人々の横顔と回想」という副題がついている。その副題が指し示すとおり、本書を読むことで、20世紀という変革の時代において指導者が果たした役割について深く知り、指導者とはいかにあるべきかを考えることができるだろう。  

各指導者は、周囲の反対にあいながらも、未来を見通した政策を断固として導入している。その姿がじつに印象的である。特に、「マッカーサーと吉田茂」の章では、戦後の混乱期にあって、両人が素晴らしい先見性を持って、民主主義と国民主権を日本に根付かせた様子が描かれている。もし彼らがいなければ、日本は共産主義国となっていたかもしれないのだ。また、ソ連のフルシチョフの話は、その強烈な個性と信念に驚かされる。なぜ大戦後、現在に至るまで世界のソ連に対する疑心が解けないかが実感出来るだろう。筆者ニクソンが「われらが時代の最大の人物」と語るチャーチルも加え、4人の指導者に関わる部分をここでは要約した。

本書で紹介されていることは過去のことだが、政策の考え方は現代に通じており、多くを学ぶことができるだろう。ニクソンは語る。われわれが彼らから多くを学べば、世界はこのさき、それだけよい方向に進む希望がある、と。

著者

リチャード・ニクソン
1913-1994年。第37代アメリカ合衆国大統領。デューク大学ロースクール修了後、弁護士を経て、1946年に共和党より下院議員に初当選。上院議員に転じた後、1953年よりアイゼンハワー政権で副大統領を務めた。1960年の大統領選挙ではジョン・F・ケネディに敗れたが、1968年の大統領選挙で勝利し、第37代大統領に就任。ベトナム戦争からの完全撤退、冷戦下のソ連とのデタント(緊張緩和)、中国との国交樹立などに尽力する。しかし、ウォーターゲート事件(民主党本部盗聴事件)により1974年に二期目の任期半ばで辞職する。

本書の要点

  • 要点
    1
    筆者ニクソンが出会った偉大な指導者とは、必ずしも善良な人ではない。しかし、おしなべて、きわめて英明、自己を律するに厳しく勤勉で、満々たる自信を持ち、夢に駆り立てられ、他人を駆り立てる人であった。全員が地平線より先を見通す眼力を持っていた。
  • 要点
    2
    偉大な指導者は、自分の見通す未来に確固たる自信を持ち、そのための政策を正しいタイミングで断行することができた。

要約

ウィンストン・チャーチル

豪胆さと才能の持ち主
Comstock/Stockbyte/Thinkstock

「僕たちは、みんな虫だ。しかし、僕だけは…蛍だと思うんだ」チャーチルが少年の頃友人と人生について議論していたときの言葉だ。チャーチルは、死ぬまで自分が特別な人間だと信じて疑わなかった。

類まれなる文才を持っていたチャーチルは、英国陸軍として勤務中に、新聞に戦地の様子を寄稿し、その記事はルポルタージュ作品として出版もされている。しかしその行動は若い士官としてはあまりに型破りで、上官や同僚には疎まれたという。

チャーチルは、決して人好きのする性格ではなかったが、自分が手に入れたいと思ったものは何としても手に入れる肝っ玉があった。そして、この肝っ玉と直感力、さらに正しい瞬間に断行する決断力が、政界で成功する上で何ものにも代え難いものであったのだ。

チャーチルの大胆さを示す最初の例は、議会に初当選してから数年後、議場を横断して保守党から自由党に鞍替えしたことだ。その当時、保守党は英国製品を守るための保護関税法を提案していた。しかし、雇用や生活水準の改善が20世紀のイギリス政府最大の課題になると見抜き、そのために自由貿易こそがとるべき政策であると、チャーチルは結論を出したのだ。

入閣を果たしてからは、炭坑夫の8時間労働制の確立や、坑内の安全設備の義務化を決定した。14歳以下の少年の坑内労働を禁止し、さらに、商店労働者には休憩時間を与え、最低賃金制を導入し、監獄での待遇を改善した。こうした政策は、英国が福祉国家となる第一歩に通じるものであった。

「ライオンよ吼えよ」
Ingram Publishing/Thinkstock

第二次世界大戦は、チャーチルの超人的な能力と個性にふさわしい舞台だった。偉大な指導者が戦争の脚光を浴びて光るのは悲しい皮肉だが、と付け加えつつ、筆者ニクソンは述べる。

チャーチルは、ヒトラーに対抗するため英国の軍備を増強し、民主主義国は団結すべしと訴えていたものの、1939年のナチスのポーランド侵攻以前は、誰もそれを真面目に考えていなかった。チャーチルはじつに正しく、具眼の士であったのだ。

「イギリス人は世界に冠たる民族であり、ライオンの心を持つ民である。私は幸運にも、それに吼えよと命じる役を与えられた」

そう叫び、首相に就任したチャーチルは、一種の伝説となった。

チャーチルの雄弁はイギリス国民を奮い立たせ、勝利へと導いた。戦場にいた筆者ニクソンは、米国のルーズベルト大統領の演説よりもチャーチルの声に酔ったという。

チャーチルこそ、20世紀の歴史の中にそびえる偉大な指導者だった、と筆者は讃える。

【必読ポイント!】マッカーサーと吉田茂

東と西の出会い

1945年、マッカーサーは、日本の精神と肉体を支配下におさめた。250万人が戦死し、街は焦土となっていた。さらに、日本人を内から支えていた天皇制の信念は崩壊していた。

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ジャンル
リーダーシップ・マネジメント 経営戦略 政治・経済
著者
リチャード・ニクソン 徳岡孝夫(訳)
出版社
文藝春秋(文春学藝ライブラリー)
定価
1,793円
出版日
2013年12月18日
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