成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?

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成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?
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成城石井はなぜ安くないのに選ばれるのか?
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出版社
出版日
2014年07月14日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

都心に住んでいる方にはおなじみの成城石井。ワイン・チーズなどのこだわりの食材、路面店やエキナカなどの多様な店舗フォーマット、親身な接客というイメージを持っている方が多いことだろう。質の高い食材を扱う成城石井は、長いデフレ不況の中でも成長を続け、既に110店舗を超える規模に達したという点は驚きだ。もともと世田谷区成城という国内屈指の高級住宅街に位置し、優れた感性を持つ顧客に成城石井を育てていただいたと、成城石井の社員は口を揃える。ただ本書を読めば、成城石井は現場から経営まで一貫した価値観を持っていることこそが、その成長を実現してきたように思える。

特に印象的なのが、まだ6店舗と小規模だった頃から大規模チェーンに見られるような「セントラルキッチン」を立ち上げ、30年近くも前からワインの定温配送を行うなど、常に「お客様のために」を追求した結果、今の成城石井の姿になっている。これらの施策は、その時々の顧客のニーズに真に応えるためだけになされてきたという。まさに、小売業の原点を地でいく企業なのである。

今ではおしゃれな住宅街の代名詞とも言える、成城石井の店舗。日常使いから、パーティーに差し入れる食材など、利用シーンも人それぞれだろう。ただ、顧客の誰もが他のスーパーとは一線を画する存在であることを認めているのではないだろうか。小売・流通業に関わる方はもちろんのこと、プレミアムサービスを手掛ける方は、是非本書をご一読いただきたい。

本書を読み終えるころには、各章の初めに書かれた成城石井の総菜を食べたくなってしまうに違いない。

ライター画像
大賀康史

著者

上阪 徹(うえさか とおる)
1966年、兵庫県生まれ。89年、早稲田大学商学部卒。アパレルメーカーのワールド、リクルート・グループを経て、95年よりフリーランスのライターとして独立。雑誌や書籍などで執筆。経営、経済、金融、ベンチャー、就職などの最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論をわかりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超える。

本書の要点

  • 要点
    1
    成城石井の特徴は品揃えにある。ワイン、チーズ、生ハム、紅茶、コーヒー、オリーブオイルなどの品揃えの多彩さが、成城石井というお店を独特な雰囲気にしている。
  • 要点
    2
    成城石井のセントラルキッチンでは、一流ホテルや一流レストラン、和食店などで働いていたプロの料理人が中心になり総菜を作っている。
  • 要点
    3
    保存料や添加物を使わないのは、自分の子供に食べさせたい料理を作る、という考え方に基づいている。

要約

熱狂的に支持されるスーパー

Rosanna_P/iStock/Thinkstock
「近くにできて良かった。ありがとう」といわれるお店

東京麻布十番にオープンしたスーパーの売場面積は59坪。そのスペースに6000から7000もの商品が並び、来店客の多さでひしめいていた。売上も当初の予測の約2倍で推移しており、消費不況のご時世に驚きの反響である。

その店の名前は「成城石井」麻布十番店。近隣の大手スーパーや地元スーパー、コンビニエンスストアなどをものともせず、快進撃を続けている。

その出店範囲は幅広い。路面店、駅ビル、デパ地下、ショッピングセンター、オフィスビルなど、店舗フォーマットは多彩そのもの。20坪という小型店から190坪の大型店まであり、2014年3月時点で店舗数は112店にもおよんでいる。

店がオープンすると、顧客から次のような声が届く。

「成城石井ができるのを待っていた。本当にうれしい」「これから毎日、来ます」など。

多くの人が出店を待っているスーパー、それが成城石井なのだ。

「成城石井でしか買えない」商品がずらりと並ぶ

成城石井の特徴は品揃えの独特さにある。輸入商材、隠れた名品、地方の名産品などの独自商材に強みを持つ。ワイン、チーズ、生ハム、紅茶、コーヒー、オリーブオイルなどが成城石井とともに思い出される方も多いだろう。

なぜそのような多彩な品揃えが可能になっているのか。成城石井は貿易会社を持っているため、特に直輸入品が多いからだ。1店舗だったころからバイヤーが直に世界の商品を探し出し、買い付けていた。

そして、もう一つ特徴を与えているのが、売り場で大きな存在感を誇っている総菜である。大手スーパーでは一般的に揚げ物が大きなスペースを取っているが、成城石井には揚げ物がほとんどない。バラエティ豊かな総菜を作っているのは、自社の「セントラルキッチン」である。その総菜開発を担うのは、元有名ホテルや有名レストランのプロフェッショナルが中心で、調理もほとんどが手作りなのだ。その品質の高さから、顧客からは「これだけいいものなら、この値段は決して高くない」という声が集まるのである。

成城石井のワインを求め、3時間かけて店に来た人も

成城石井の人気商品として、象徴的な品目はワインである。1980年代にワインを扱い始めたころに、顧客から「ヨーロッパのワインはもっとおいしいよ」と言われたのだそうだ。実際にヨーロッパで日本と同じラベルのワインを飲むと、まったく味が違っていたという。

なぜ味が違うのかというと、常温による普通のコンテナでの運搬が原因だった。

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要約公開日 2014.09.09
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