ビジネス小説 もしも徳川家康が総理大臣になったら

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出版社
サンマーク出版

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出版日
2021年03月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.0
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おすすめポイント

本書はタイトルのとおり「もしも徳川家康が総理大臣になったら」日本はどうなるかを描く、SFビジネス小説である。AIとホログラムによって歴史の偉人たちが現代日本に蘇り、最強内閣を発足。新型コロナ感染症で未曾有の大混乱にある日本の窮地を救う、という設定だ。この内閣、なにしろ最強内閣である。総理大臣は徳川家康、官房長官は坂本龍馬だ。さらに、経済産業大臣に織田信長、財務大臣に豊臣秀吉を迎える。また、天下の発明家、平賀源内がIT担当大臣に、米将軍・徳川吉宗が農林水産大臣に配置されていたりと、これだけでワクワクしてしまう。

本書はただの荒唐無稽な物語ではない。最強内閣が採る政策は、現代日本の政治と社会が抱える問題を浮き彫りにする。家康は、現代に蘇った自分たちの役目は「日本の仕組みを変えること」だと語る。日本の社会システムが限界を迎えていることはすでに指摘されているが、では具体的にどうすればいいのか、その正解を知る者は誰もいない。本書の最強内閣が示す方針はその答えの可能性のひとつとなるだろう。

政治や社会制度の思考実験として、本書は興味深い視座を与えてくれる。また、北条政子がSNS炎上事件を受けて演説を行ったり、新選組が給付金不正受給者を検挙したりと、誰もが知る偉人たちが現代日本で活躍する様子はエキサイティングで、読み物として惹きこまれる魅力がある。

日ごろから政治に関心がある人はもちろん、そうでない人も、本書を私たちの住む日本の「仕組み」について考えるきっかけにしてほしい。

ライター画像
千葉佳奈美

著者

眞邊明人(まなべ あきひと)
1968年生まれ。同志社大学文学部卒。大日本印刷、吉本興業を経て独立。独自のコミュニケーションスキルを開発・体系化し、政治家のスピーチ指導や、一部上場企業を中心に年間100本近くのビジネス研修、組織改革プロジェクトに携わる。研修でのビジネスケーススタディを歴史の事象に喩えた話が人気を博す。2019年7月には日テレHRアカデミアの理事に就任。また、演出家としてテレビ番組のプロデュースの他、最近では演劇、ロック、ダンス、プロレスを融合した「魔界」の脚本、総合演出をつとめる。尊敬する作家は柴田錬三郎。

本書の要点

  • 要点
    1
    新型コロナ感染症が拡大する中、日本の未曾有の危機を救うため、総理大臣・徳川家康をはじめとする歴史の偉人たちを蘇らせたAIによる最強内閣が発足した。
  • 要点
    2
    最強内閣は新型コロナ感染症への対策として、緊急事態宣言による罰則を伴う外出禁止令の発令と、全国民への50万円給付を決めた。
  • 要点
    3
    給付金の財源は国債であったが、その国債の引き受け先には日本銀行ではなく、民間企業が選ばれた。渋る民間企業を動かしたのは、経済産業大臣・織田信長の気迫であった。

要約

【必読ポイント!】 2020年、最強内閣、発足

国民の信頼を取り戻せ

新型コロナウイルスの大流行により、世界は混乱のただ中にある。日本は初期段階で感染封じ込めに失敗し、日本の総理大臣である原太郎も感染により命を落とした。後任は容易に決まらず、政治家や感染症の専門家などがめいめい勝手に意見を述べ、日本は国としての統率を失いつつあった。

そこで日本政府は最後の策を採った。過去の偉人たちを科学の力で現代に蘇らせ、その力によってこの窮状をしのごうとしたのである。

国の危機にこそ、国民からの「信頼」が必要である。感染症により、国が未曾有の危機に陥った今こそ、国民の信頼を取り戻すチャンスだと日本政府は考えた。偉人たちに託されたミッションは、「コロナを収束させ、国民の信頼を取り戻す」こと。

今、最強内閣が始動する。

最強内閣、最初の閣議
Nuthawut Somsuk/gettyimages

2020年4月1日。世界初のAIと最新ホログラム技術で復活した歴史上の偉人たちで構成された最強内閣が発足し、その最初の閣議が行われた。

それぞれ異なる時代からやってきた閣僚たちは、互いにどう向き合ってよいか、探りあうような雰囲気である。復活した偉人たちにはあらかじめ、同僚たちの経歴や事績、能力などがインプットされている。偉人たちの間には子供を殺されたり、子孫を滅ぼされたりと、様々な因縁がある。このような因縁については、歴史上の事実としての情報はインプットされているものの、それによって恣意的な思考や行動が生まれないようプログラミングされている。

総理大臣・徳川家康、官房長官・坂本龍馬が閣議を進める。まず議題となったのは、緊急事態宣言の発令である。幕末の天才医学者・緒方洪庵は、コロナそのものを今すぐに根絶することは現代医療をもってしても不可能だが、人流を抑制して感染者を減らすことができれば、医療崩壊を防げると語る。それを受け、厚生大臣・徳川綱吉はまずは病の勢いを止めることが肝要だと進言する。

緊急事態宣言発令へ

家康は緊急事態宣言の発令を決め、国民に1ヶ月間の外出禁止を命じる考えを示した。経済産業大臣・織田信長はこれに対して、たった1ヶ月の外出禁止にいかほどの効果があるのかと異議を唱える。

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要約公開日 2022.02.15
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