人の顔した組織

あなたの会社は、賢い人を集めた愚かな組織? 凡人ばかりでも優れた組織?
未読
日本語
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人の顔した組織
出版社
東洋経済新報社

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定価
2,200円(税込)
出版日
2021年12月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

企業の人事部で長年人材育成を担当していた要約者は、著者福澤氏の人材育成に関する書籍を繰り返し読んでいたことがある。同氏が「組織」にまつわる本を書かれたということで、心して拝読した。内容はきわめて深く、期待を超えるものだった。

本書では、ビジネスの文脈で「組織」を語るときに、考えるべきテーマや重要な知見が、凝縮されている。さらには、トヨタ自動車、良品計画、イトーヨーカ堂とセブン―イレブン・ジャパン、ホンダ、ヤマト運輸、ユニチャームといった名だたる企業の組織能力開発に関する事例も多く、大変興味深い。

大手企業の人材育成や組織の能力開発を支援に30年近く携わってきた著者は、機械やデジタル技術、AIに支配されてしまう組織ではなく、人の顔をした有機的な組織であることの重要性を説く。そうした組織でなければ、これからの環境変化に対応できず、また個の力を存分に発揮できない組織になってしまうと警告する。

では、どのようにして「組織能力」を上げ、戦っていくべきなのか。アカデミックな研究成果を踏まえた説得力ある考え方やメソッドは、きっと参考になるだろう。ぜひみなさん自身の組織能力開発に活かしていただきたい。

ライター画像
たばたま

著者

福澤英弘(ふくざわ ひでひろ)
上智大学経済学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。富士銀行、コーポレイト ディレクションを経て、グロービスの設立に参加。創業時より企業向け人材・組織開発部門の責任者を務めた後、2007年に株式会社アダットを設立。主に大手企業に対して、戦略意図に沿った組織能力を開発することを支援。主な著書に『人材開発マネジメントブック』(日本経済新聞出版社)、『図解で学ぶビジネス理論 戦略編』(日本能率協会マネジメントセンター)、『定量分析実践講座』(ファーストプレス)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    有機的組織は、柔軟なネットワークを形成し、構成員の相互依存関係を結ぶ。
  • 要点
    2
    日本人は個と個の関係性を重視する。このような「小集団」組織は、他者への共感をベースとする自己観と親和性が高い。
  • 要点
    3
    組織の進化には、成功体験を捨て去り、経営の仕組みそのものを変えるダブルループ学習が求められる。
  • 要点
    4
    対話を進めるには、異なる考え方を受け入れなければならない。持論に固執せず「場」に寄り添う自己を前面に出すべきだ。

要約

組織を有機体として考える

有機的組織の2つの特徴

組織について語るとき、空回りしてしまうことは往々にしてある。それは人によって組織の見え方が異なるからだ。噛み合った議論をするためには組織を語る際に、「どんなレンズを通して見ているか」という観点と、「どの立ち位置から見ているか」という視点を合わせる必要がある。

具体的には、人事制度や組織構造といった「ハード」の方法論によるアプローチがある。一方、モチベーションやリーダーシップ、またコミュニケーションや育成といった、組織内の個の生産性を高める「ソフト」のアプローチがある。世の中の流れはハードからソフトへ移行してきている。

本書では、組織を生態系や生理学の観点で捉え、生きているオープンシステムとして考えることで、情報の流れとプロセスに焦点を当てていく。

生命体になぞらえられる「有機的組織」は、自らも成長しつつ、柔軟なネットワークを形成し、構成員の相互依存関係を結ぶ。また、常に情報を外部から取り入れ、それをリアルタイムで処理し反応するシステムであるということに特徴があると考えることができる。

個と集団の関係
gmast3r/gettyimages

社会人類学的には、欧米人の社会学的単位は「個人」である一方、日本人は5~7人程度の「小集団」であるといわれる。オープンシステム観に基づく有機的組織を考えた場合、個と個の関係性から生まれる成果を重視する考え方が、日本人の精神構造に合致しそうだ。

こうした組織観と親和性の高い「自己」とはどのようなものだろうか。それはいわゆる「利己的な経済人」ではなく、利他性や他者への共感をベースとする相互協調的な自己観であるといえるだろう。

では、これらのマインドをもった個と個は、どのように信頼関係を構築するのか。人は信頼されたと感じると、脳内にオキシトシンという神経物質を合成する。この物質が合成されると、人は受けた信頼に応えようとする。こうした信頼を信頼で返すメカニズムがあるので、互いが信頼し、個々人よりも組織全体の意向に沿うことができるのだ。

つまり、この利他性と信頼のメカニズムをよりしっかりと持った集団のほうが、生き残る可能性が高いということになる。

関係性が作り出す価値とは

人と人とのつながりである関係性には3つの種類がある。市場における独立した個の利己性に基づく自由なつながり、上意下達の指示やルールによって合理的に動くつながり、そして信頼や共感をベースとした相互依存関係によるつながりである。

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