本書の要点

  • 手放すことが難しいコンプレックスを、簡単に克服する方法がある。それは分魂(ぶんこん)という考えを身につけることだ。分魂とは、人間はたった一つの大いなる存在から分け出でたものであること、その存在を示す言葉である。

  • 幸せも不幸も自分が勝手に作り上げた幻想だ。幸せと不幸を分けるのは自分の心である。

  • 著名人や有名人の発言に限らず、伝え聞いた情報や本の情報は話半分に聞く。しかし、情報はできるだけ幅広く収集する。そして、情報に対して自分の理性と直感のバランスを取り判断する。

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【必読ポイント!】 持たない

物を持たない——必要な物、不要な物の分類から始めよう

現代の私たちは物を買い、物に囲まれた生活こそが、豊かで幸せであると思ってしまいがちだ。しかし、物が増えれば暮らす面積が減り、自由に動けるスペースがなくなってしまう。

いかに多くの物に囲まれていようとも、人はいつか死に、あの世に何一つ持っていけない。唯一持って行くことができる財産は、この世でのエピソードだけだ。生まれてから死ぬまでに経験した出来事、それに対する感情や反省など、人生はエピソードがすべてだ。

物には様々な思い出が詰まっているから、全てを捨てることは難しいだろう。それでも、必要な物と不要な物の分類からでも始めてみてはどうだろうか。

物を手放すことは執着との闘いだ。しかし、これを乗り越えなければ、未練を残したままこの世を去ることになる。「もう不要だ」と思えるものからまず手放してみる。これを定期的なサイクルで行えるようになるとよい。

コンプレックスを持たない——人は皆、もとは一つの魂

tampatra/gettyimages

持たないに越したことはないが、簡単に捨てることができないものは私たちの心の中にもある。それはコンプレックスだ。コンプレックスは、自分と他人を比べ、自分にないものを持っているのが悔しい・腹立たしい・悲しいと思うマイナスの感情からできている。

このコンプレックスを克服する方法がある。それは、「分魂」という意識を身につけることだ。分魂とは、神道の世界では「分け御霊」ともいうが、人間はたった一つの大いなる存在から分け出でたものであること、その存在を示す言葉だ。つまり、私たちはもとを辿れば、同じ一つのものに行き着く。そこから魂として分かれて生まれ、それぞれ自身の人生を送るのが人間なのだ。

言い換えると、私たちは、皆仲間であり、同じ存在であると同時に、異なる存在なのだ。この世では異なった顔・性格などをまとっているが、それは学びを得るために必要な方便にすぎない。

人の活躍を聞くと、嫉妬心や悔しさが芽生えることがある。しかし、皆同じ存在だと思えば、「自分のできないことを、あの人が代わりにやってくれた」と素直に拍手を送り、自分のフィールドで生きることを楽しめるようになる。

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要約公開日 2022.02.22
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