「本当の自分」がわかる心理学

すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある
未読
「本当の自分」がわかる心理学
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「本当の自分」がわかる心理学
出版社
出版日
2021年10月25日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「本当の自分」とはどんな存在なのかと考えたことがある人は多いだろう。しかし、明確な答えが出ないまま、仮面をかぶって日常生活を生きているケースもあるのではないだろうか。また、罪悪感を抱いてしまい親密な人間関係を築くのが難しいといった悩みを抱えている人もいるのではないか。

実のところ、人間の行動は「無意識」の部分から生まれており、「無意識」は幼少期に形成され、個人の考え方や行動を大きく左右している。思考・行動パターンをリセットし、人生の悩みを解決していくための方法を体系的に示したのが、世界150万部超えのベストセラーである本書だ。

著者は、「無意識」のなかにある「内なる子ども」の存在に目を向けることが大事だという。どんな人も子ども時代に何かしらネガティブな刷り込みを受け、傷を負っている。それが後の人生で自分の成長や他者との関係を妨害するのである。その傷を受け入れ、ある程度癒すことができれば、自己理解が進み、「内なる子ども」を心のよりどころにできるという。

心理学者であり心理療法士として活躍してきた著者は、そうしたメカニズムとともに、過去の自分を癒してより良く生きていくための方法を優しく語ってくれる。仕事や人間関係の悩みを抱えている方、「自分を変えたい」と思うすべての方に手にとっていただきたい一冊である。

ライター画像
河合美緒

著者

シュテファニー・シュタール
心理学者、心理療法士。約30年間の心理療法士、心理学者としての経験、および家庭裁判所鑑定人としての経験にもとづいて、「人とつながることに対する不安」「自己価値観」「内なる子ども」に関する数多くの書籍を執筆。わかりやすく読者の心に寄り添うように書かれた著書の多くがベストセラーになっている。膨大なカウンセリング経験と長年の研究から生み出された、心を改善する著者独自の手法は具体的かつ実践的でもあるため、専門家の間でも絶賛されている。ドイツのみならず他国でもセミナーを開催。専門家としてのテレビ、ラジオ出演、雑誌の寄稿も多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    本書では、人間の心の構成を、「陽気な内なる子ども(日向子)」「傷ついている内なる子ども(影子)」「大人の自分」の3つととらえる。この「内なる子ども」は無意識の中に存在し、私たちの思考や行動を大きく左右する。
  • 要点
    2
    基本的な欲求とは、「結びつき欲求」「自由欲求」「快感欲求」「承認欲求」の4つである。問題に直面したとき、どの基本的欲求が満たされていないのかを考えることで、解決策が見つかりやすくなる。
  • 要点
    3
    「あなたの幸せの責任はあなた自身にある」と思えるような心の状態にしていくことが大切である。

要約

意識と無意識

心の構成

人の心は「子どもの人格である部分(内なる子ども)」と「大人の人格である部分(大人の自分)」で構成されている。「内なる子ども」とは、子ども時代につくられた意識されていない部分の喩えであり、ネガティブで悲しい面とポジティブで幸せな面を持つ。それに対し、もう一つの人格部分である「大人の自分」は合理的で理性的である。物事を予測し、リスクを検証し、「内なる子ども」をコントロールするという意識的に行動する存在だ。

人格をいくつかに分けて考えることは、ジークムント・フロイトが初めて提唱した手法である。世の中には人格をさまざまに分類した心理療法があるが、本書では簡素化するために「陽気な内なる子ども(日向子)」と「傷ついている内なる子ども(影子)」「大人の自分」の3つとする。

著者は心理療法士としての長年のキャリアを通じて、この比喩を用いることでほぼ全ての問題を解決する手法を開発した。ここで「ほぼ」とあるのは、病気や死別、戦争などといった自らコントロールできない問題は除外されるからである。ただし、そうした運命的な問題をどうやって克服するかという局面に関しても、本書のアプローチが有効な場合がある。なぜなら本書のアプローチがもっとも役に立つのは、「自分自身で問題をつくってしまっている人」だからだ。自分の責任の範囲内にある問題は解決できるのである。

内なる子どもについて
portishead1/gettyimages

子どもの頃の経験の多くが無意識のもとに保持される。私たちの行動のうち70〜80%が無意識によって決定されていることが科学的に証明されている。

誰しも無意識の中に「日向子」と「影子」が存在する。だが、子ども時代につらい経験が多かった人は、日向子をなかなか表に出せなくなっている。また人間関係において繰り返し問題を起こすのは影子の部分である。傷ついている影子の部分をケアしないと、問題が起きやすくなるのだ。

日向子と影子の人格の大部分は、生まれて6年間でできあがる。この時期に脳の構造がほぼ完成するのである。

どのような親であっても完璧ではない。それゆえ、どの人も子供時代に何かしら心に傷ができ、「自分はダメだ」という信念を持つ影子が生まれる。そして誕生後の2年間で、親との関係において基本的信頼感が育まれなかった人は、意識の深いところで不安定になり、まわりの人にも不信感を抱きやすくなるのだ。

【必読ポイント!】 影子について

影子の持つ信念

人間の心理的な基本的欲求は歳を重ねてもあまり変わらない。基本的な欲求とは、「結びつき欲求」「自由欲求」「快感欲求」「承認欲求」の4つである。これらの欲求が一つ以上充足しないと、ストレスや苦しみ、怒り、不安を感じることとなる。

問題に直面したときに、どの基本的欲求が満たされていないのかを考えることで、問題の解決策が見つかりやすくなる。自分がどの基本的欲求にひどくこだわっているのか。それには幼少期のどのような体験が影響しているのか。それらを考えることで、自己認識と問題解決が進んでいく。

基本的欲求のどんなところが満たされないことが多かったか、あるいはその際にどのように周囲に扱われたかといったことの影響を受けて、「内なる子ども」は「信念」をつくり出す。信念とは、自己価値や他者との関係に関する、心の奥深くにある確信だ。たとえば、「私は歓迎されている」、「私は雑に扱われる」などである。

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要約公開日 2022.02.20
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