挑戦
常識のブレーキをはずせ

未 読
挑戦
ジャンル
著者
山中伸弥 藤井聡太
出版社
定価
1,694円(税込)
出版日
2021年12月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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常識のブレーキをはずせ
著者
山中伸弥 藤井聡太
未 読
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定価
1,694円(税込)
出版日
2021年12月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
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おすすめポイント

どんな業界であっても、その世界の第一人者の話は面白い。まして、本書は天才二人の対談をまとめたものだから間違いない。

将棋界の最年少記録を幾度も塗り替えた天才、藤井聡太氏。iPS細胞を発見し、その技術を独占せずに少しでも多くの患者に届けようと行動するノーベル賞受賞者、山中伸弥氏。二人の年齢は40歳離れているが、それを感じさせない小気味よい二人の掛け合いは、藤井氏がすごいのか、それとも山中氏の人柄ゆえか。

専門分野が異なる二人の話は、意外なほど通じるところがあるし、当然違うところもある。例えば、棋士の実力のピークは20代半ば、研究者の発想力や柔軟性のピークも20歳頃がピークだという。しかし、研究者はそこに経験値や判断力が加わり、総合して40歳がピークになるが、将棋は常に局面が変わるため過去の経験はあまり役に立たないと言う。

二人の意見が共通し、本書内でも多く語られているのがAIの活用だ。将棋界ではAIを使った研究や新たな戦法の評価が活発になっている。科学や医療の世界でも、ビッグデータの活用などでAIは欠かせない存在だ。AIを上手に操り、人とAIが共存していけるようになるだろうという点で、両者の考えは一致している。

コロナ禍で暗い話題が多い中、藤井氏の快進撃は日本を明るくしてくれた。山中氏は最先端の研究を続け、苦しむ多くの人を救おうと力を尽くしている。果敢に攻め、挑戦を続ける二人の対談録、ぜひ幅広い層の方々に読んでいただきたい。

ライター画像
島田遼

著者

山中伸弥(やまなか しんや)
京都大学iPS細胞研究所所長。一九六二年、大阪市生まれ。神戸大学医学部卒業、大阪市立大学大学院医学研究科修了(博士)。米国グラッドストーン研究所博士研究員、京都大学再生医科学研究所教授などを経て二〇二一年四月から現職。二〇一二年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。二〇二〇年四月から公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団の理事長を兼務。

藤井聡太(ふじい そうた)
棋士。二〇〇二年、愛知県瀬戸市生まれ。小学四年生で奨励会に入会。二〇一六年一〇月、史上最年少の一四歳二カ月で四段昇段・プロ入り。以降、プロデビューから無敗のまま二九連勝で歴代最多連勝記録を更新。二〇二〇年七月、棋聖を獲得し史上最年少タイトル、二〇二一年一一月には竜王を獲得し史上最年少四冠を達成するなど数々の最年少記録を更新中。杉本昌隆八段門下。

本書の要点

  • 要点
    1
    新型コロナウイルスのワクチン開発に関し、欧米は専門外の研究者が自身の研究を活かせないかと考える柔軟性があったと、山中氏は言う。日本の研究者はフレキシブルな思考に欠け、ワクチン開発に遅れを取った面もあるだろうと指摘する。
  • 要点
    2
    負けた対戦や、失敗した研究をどう次に活かすか、負けから何を学べるか。それが成功を生むカギになる。
  • 要点
    3
    将棋も科学や医学も、AIの活用は必須だ。人がAIに使われるのではなく、AIを使いこなし、決定は人が行う。それが人間社会の幸せにつながる。

要約

今できるベストを尽くす

見直すチャンス

新型コロナパンデミックの中、藤井聡太氏の快進撃は目を見張る快挙だった。本人は最年少記録を意識していなかったというが、三冠時点の最年少記録は羽生善治氏の記録を3年以上更新している。将棋界を代表する棋士となった今は、より良い将棋をさしたいという気持ちが強くなったそうだ。

コロナの影響は将棋界にも及んでいた。2020年4月と5月は対局できない状態が続いた。藤井氏はその期間に自分の将棋を見つめ直した。将棋ソフトの検討、そのソフトとの対戦、そして息抜き。1日平均6時間から7時間を将棋に費やし、それまで取れなかった空いた時間を研究に充てることができた。

山中伸弥氏が所属するCiRA(サイラ・京都大学iPS細胞研究所)も同時期の2カ月はほぼ活動を停止していた。以降も出勤を半分にしてオンライン会議や在宅を活用した。実験は研究所で行う必要があるが、働いている人の密度を半分くらいにしても8割程度の研究ができると想定し、データ整理は在宅で行うようにした。

文句を言っても雨はやまない
aywan88/gettyimages

パンデミックは個人の力で変えることはできないし、社会全体で取り組んでも短期間で終息しない。村上春樹氏は今の状況を「雨に文句を言っても仕方ない」と言った。誰に文句を言ってもウイルスは消えない、だから今できるベストを尽くすと山中氏は言う。

ワクチンが普及してもすぐに終息はしないだろう。不自由や制限があることは受け入れ、前向きにできることは何かを考えて過ごしている。

山中氏は日本の研究者には柔軟性が足りないと指摘する。元々欧米には感染症やワクチンの研究者は多くなかった。しかし、専門外の研究者が自身の研究をコロナ対策に生かせないか、一斉に動いた。その結果がワクチン開発の圧倒的な差だ。欧米の科学者は、自分で限界を決めずに高い柔軟性を持っている。

その姿勢に対し、日本の科学者は遅れを取った面もある。日本の縦割り構造は平時には有効かもしれないが、非常時は弊害になる。限界を決めずにフレキシブルな思考を持つ人材や力を備えることが、日本の課題だ。

限界を決めず、可能性を広げる

発想と経験のバランス

藤井氏が将棋を始めたのは5歳の頃。

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