あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣

未 読
あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣
ジャンル
著者
原貫太
出版社
定価
1,540円(税込)
出版日
2021年12月16日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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著者
原貫太
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定価
1,540円(税込)
出版日
2021年12月16日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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レビュー

スマートフォン、ファストファッション、牛丼やハンバーガー。こうした私たちの生活に欠かせないさまざまなものが、実は途上国の社会問題と深く関わっていることを、本書は柔らかい語り口で教えてくれる。

本書のタイトルにもあるSDGsの取り組みは、企業だけでなく小中学校の研究課題にも頻繁に取り上げられるほど、私たちの生活に普及してきている。しかし、もしその取り組みに自発的な意思が欠けているとすれば、それは本質的な社会貢献とは呼べないのではないだろうか。著者の課題意識はそのようなところにある。内から湧き出るような意思を育むためにも、まずはSDGsの背景にある社会課題と私たちの生活をつなぐ真実を知ろう、というのが本書の主旨である。

本書の特長としては次の2点が挙げられる。1つ目は、著者自身が途上国の援助の現場に身を置いてきた経験からくる強い説得力である。そして2つ目は、データとファクトに対するこだわりだ。後者については、『FACTFULNESS』の著者ハンス・ロスリング氏を範にしているという。

著者はフォロワーの多いユーチューバーでもある。重くなりがちなテーマを、明るく、わかりやすく解説した内容ばかりで、著者の正義感の強さがひしひしと伝わってくる。そんな著者の使命感が込められた本書は、「データを基に世界を正しく見る習慣」を身につけ、実践していく際の道しるべになってくれるだろう。

ライター画像
しいたに

著者

原貫太(はら かんた)。
1994年生まれ。フリーランス国際協力師。早稲田大学卒。
フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに、学生時代から国際協力活動をはじめる。これまでウガンダの元子ども兵や南スーダンの難民を支援してきた。大学在学中にNPO法人コンフロントワールドを設立し、新卒で国際協力を仕事にする。出版や講演、ブログを通じた啓発活動にも取り組み、2018年3月小野梓記念賞を受賞した。大学卒業後に適応障害を発症し、同法人の活動から離れる。半年間の闘病生活を経てフリーランスとして活動を再開。現在はウガンダのローカルNGOと協働し、北東部で女子児童に対する生理用品支援などに従事。他にも講演やブログ、YouTube、オンラインサロンの運営にも携わるなど、「フリーランス×国際協力」という新しい働き方を追求している。著書『世界を無視しない大人になるために』

本書の要点

  • 要点
    1
    私たちの善意の寄付が、途上国の人たちの自立する力を奪い、貧困からの脱却を妨げる原因になっている。
  • 要点
    2
    日本では一人当たり年間8着以上もの衣料が、誰の手に渡ることもなく廃棄されている。
  • 要点
    3
    食肉をつくるには大量の土地と水が必要であり、それが森林破壊などの環境破壊の原因にもなっている。
  • 要点
    4
    スマートフォンには、アフリカの武装勢力の資金源であるレアメタルが使われている可能性が高い。私たちの生活と途上国の問題は密接に関わっており、こうした社会問題に関心を持ち続けることが重要だ。

要約

善意が妨げるアフリカの発展

大量の古着の辿り着く先
claudio.arnese/gettyimages

自分や家族が着なくなった古着を、リサイクルやチャリティの名目で自治体や企業に提供したことのある人も少なくないだろう。先進国で集められた大量の古着が最終的に辿り着くのは途上国であり、その多くがアフリカである。

貧しい国に暮らす人たちは服に困っているのだから、中古の物品を送ってあげることはウィンウィンで、正しいことに思えるだろう。しかし、善意のつもりの寄付が途上国の人たちの自立する力を奪い、いつまでも貧困から脱却できない原因になっているという不都合な事実がある。

アフリカの多くの国々では、ミシンを使って服を生産したり繊維工場を経営したりすることで生計を立て、自立した生活をめざす人たちがいる。しかし、そうした人々がいくら努力しても、国外からタダ同然で入ってくる古着には太刀打ちできない。現に地元の衣類製造工場が閉鎖に追いやられ、繊維産業に携わっていた地元民の多くが失業していった。

もし現地の人たちが地元で生産された服を購入していれば、地域の経済が回り、雇用が増え、先進国からの「お下がり」に依存しない自立した経済体制を構築できていたはずだ。さらに、大量の古着は、アフリカの国々で廃棄や埋め立てという環境問題も引き起こしている。ゴミを処理するのは現地の人たちであるため、処理のコストや時間がかかってしまう。

本来あるべき寄付や援助とは、現地の人たちの環境を整え、彼らが持つ力が十分に発揮でき、未来をつくるための力を取り戻せるようにサポートすることだ。

【必読ポイント!】 私たちの生活と途上国の問題

アパレルに見る大量廃棄の課題

恵方巻きが大量廃棄されているといったニュースをきっかけに、日本でも「食品ロス(フードロス)」の問題がクローズアップされるようになった。

その一方で、大量の衣服が廃棄されている「衣料ロス」の問題はあまり知られていない。そこで、アパレル業界を取り上げ、大量生産・大量廃棄の問題について考えていきたい。

日本では1年間で供給される新しい衣服の量が約38億点。それに対して、消費者が購入するのは約20億点と言われている。差し引きで18億点、少なくとも年間10億点以上という大量の衣料が、誰の手に渡ることもなく新品のままで廃棄されている。人口で割ると、一人当たり年間8着以上にのぼる。

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