THE HOPE 50歳はどこへ消えた?

半径3メートルの幸福論
未読
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半径3メートルの幸福論
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出版社
プレジデント社

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定価
1,760円(税込)
出版日
2022年03月16日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

ひと昔前は、上場企業が早期退職者を募集すれば、それだけで社会的に大きなニュースになったものだ。ところがこの2年ほど、黒字リストラの話を聞いても驚く人はほとんどいないのではないか。会社は新型コロナウイルス感染症を隠れ蓑にしているが、著者によると、特に50歳前後のミドルの雇用をめぐるパラダイムはすでに大きくシフトしていたのだという。

「○○社の社員であること」を自身の第一のアイデンティティにする時代は終わりを告げたといえる。かわりに著者がすすめるのは、「半径3メートル世界のゆるいつながり」を大切にする生き方だ。家庭はもちろん職場や地域社会でもこうした生き方ができれば、役職定年や失職といった危機に遭遇しても良い意味づけを見出し、乗り越えられるだろう。

本書の主旨は、ミドルに向けた「変身 (transformation)のすすめ」であると要約者は理解した。その際の指針となるのが、幸せへの力=心理的ウェルビーイングの6つの思考だ。どの思考も本質的で大切にしたいものばかりだ。

著者の主張を裏づける研究結果が数多く紹介されていて非常にわかりやすい。また、著者自身がインタビューしてきた会社員の声はリアリティに富む。そこから見えてくるのは、挫折や試練は人を強くし、豊かにするという点だ。生き方や働き方に迷いがあるならば、ぜひ本書を読み、希望を取り戻していただきたい。

ライター画像
しいたに

著者

河合薫(かわい かおる)
健康社会学者(Ph.D.)、気象予報士。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。産業ストレスやキャリア発達、健康生成論の視点から調査・研究を進め、働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は約900人に上る。
著書には『コロナショックと昭和おじさん社会』『他人の足を引っぱる男たち』『他人をバカにしたがる男たち』(以上、日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    雇用をめぐるパラダイム・シフトにより、多くの会社員の足元が崩れ始めている。50歳前後のミドルにとって大事なのは、半径3メートル世界でゆるいつながりを実現することである。
  • 要点
    2
    心理的ウェルビーイングが高い人は、困難や危機に陥っても成長し、精神的・肉体的・社会的に健康で幸せな人生を歩むことができる。心理的ウェルビーイングは、自己受容をはじめとする6つの思考で構成される。
  • 要点
    3
    これからの時代に大切なのはHOPEの復興である。これは前向きに生きようとする意思であり、あきらめない力にほかならない。

要約

会社員をめぐるパラダイム・シフト

会社員崩壊

高度成長期において、会社員は安定した身分で幸せの象徴とされた。会社と社員との間に共通してあったのが「今よりもいい暮らしをしたい」という願いだ。

当時の日本企業の繁栄は、社員との心理的契約によって支えられていた。終身雇用に代表される人事制度と、社員の「会社のため」という組織へのコミットメントがかけ合わされた結果、「働きがい」という共通の目標が生まれ、心理的契約が成立したのだ。

こうした会社と社員との関係を一変させたのが、バブル経済の崩壊である。会社は、文化も習慣も成り立ちも違うアメリカ型経営を導入し、成果主義とリストラでコストを削減した。これは、会社からの心理的契約の一方的な放棄に等しい。こうして雇用のパラダイム・シフトが起きたのである。

そして今、新型コロナウイルス感染症を口実に、非正規雇用者を雇い止めし、正社員の希望退職の年齢を下げ、募集人数を拡大させている。黒字リストラが広がり、45歳定年制もにわかに現実味をおびてきた。

まさに「会社員崩壊」の瀬戸際である。にもかかわらず、能力主義社会を勝ち抜いてきたエリート会社員の多くが、このパラダイム・シフトから目を背けている。

心理的ウェルビーイング

半径3メートル世界
melitas/gettyimages

多くの会社員の足元が崩れ始めているなか、50歳前後のミドルはどうしたらいいのか。ポイントは半径3メートル世界における人とのつながりだ。

半径3メートル世界とは何か。これは、健康社会学者アーロン・アントノフスキー氏が定義した「生活世界 one’s internal and external environments」という概念を、著者なりに言語化したものだ。国家、社会、会社といった大きな環境ではなく、個人を取り囲む小さな環境を指している。家族との関わり、職場における人と人との温もりのある関わり、地域社会で共に暮らす人々とのつながりを含んでいる。半径3メートルの人々と良好な関係を構築できれば、大きな壁にぶつかっても、それを乗り越えやすくなる。私たちにはそのようなパワーが秘められているのだ。

ゆるいつながり

半径3メートル世界で、著者がすすめるのは「ゆるいつながり」である。ビジネスの世界では「弱いつながり weak ties」の有効性が知られているが、それとは違うものだ。

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要約公開日 2022.05.19
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