シン・営業力

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出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2022年02月21日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

営業の理想形はどのようなものか。本書では「到達すべき理想」として「営業しない営業」を掲げている。つまり、こちらから売り込まなくても、お客様から「あなたにお願いしたい」と声をかけてもらえる人になることだ。

本書の著者は、本人の言葉を借りれば“とにかく稼げる会社”、キーエンスで、18年間にわたって営業の仕事をしてきた。新卒研修中のロープレでは脂汗をかき、ガタガタ震えてしまうなど、「恥ずかしいくらい営業としてダメダメだった」そうだ。しかし少しずつ経験を積み、新人ランキング1位を獲得できるまでになった。

本書では、そんな著者の経験をもとに編み出された、「営業しない営業」になるための考え方やメソッドが語られる。ポイントは「観察眼」と「戦略眼」、そして「情報力」。この2つの眼をもち、徹底的に情報を集めて「法人のなかの個人」と関係を築くことで、先方の担当者にファンになってもらえる。その結果、「紹介したい人がいる」「次はこんな案件を考えているんだけど、いい商品はあるかな?」などと声をかけてもらえるようになり、「営業しない営業」に到達できるのだという。

本書を読む限り、「営業しない営業」に至るまでの道のりは、決して平坦なものではなさそうだ。だが、努力を続け、一度サイクルを作ってしまえば、あとは自動的に案件が舞い込んでくるのだろう。人間関係構築の基本を学ぶために、営業職以外の人にもぜひ読んでほしい。

著者

天野眞也(あまの しんや)
株式会社FAプロダクツ 代表取締役会長
1992年、キーエンスに新卒1期生として入社。工場の自動化に関わるセンサーやカメラの提案に従事し、入社1年目で同期の中で営業ランキング1位、入社2年目以降もランキング上位の成績をあげる。グループ責任者、営業所長を経て社長直轄の海外営業・重点顧客プロジェクトの初代リーダーに抜擢される。売上数百億円から2000億円の企業へと成長するまでの期間、営業として第一線でけん引する。キーエンスで築き上げた自動車・食品・半導体などのあらゆる業界の生産現場を見てきた経験と、顧客と共に海外を含む新工場プロジェクトを成功に導いてきた実績を基に、2010年に起業。東証一部上場企業など、メーカー数十社の営業・販売支援/コンサルティングを担った。現在はFAプロダクツほか複数社の代表を兼任し、製造業のDXから生産ラインの開発・実装までを包括的に支援するコンソーシアム「Team Cross FA(チームクロスエフエー)」ではプロデュース統括として旗振り役を務める。

本書の要点

  • 要点
    1
    「営業」とは「お客様が事業・ビジネスを進める第一歩目をつくる仕事」である。「自社商品を買ってもらえること」だけでなく「お客様の役に立てること」が喜びになると、営業の仕事はもっと楽しくなる。
  • 要点
    2
    法人営業で重要なのは、「法人のなかの個人」の考えや欲求を知ることだ。「法人の利益」と「法人のなかの個人の利益」の両方を満たすと、格段に商談が成立しやすくなる。
  • 要点
    3
    営業で成果を出すには、「観察眼」と「戦略眼」、そして「情報力」が必要だ。

要約

「営業する前」に読んでおきたい原理原則

「口下手な人=営業ができない人」ではない

「営業ができる人」というと、おそらく多くの人が「トーク」や「プレゼンテーション」のうまい人をイメージするだろう。だが、必ずしも「話がうまい人=営業がうまい人」というわけではない。

キーエンス時代、著者の部下に、口下手だが実直な性格の「カワちゃん」という人物がいた。あるときカワちゃんは、お客様に寄り添って信頼を得られるだろうという理由で、超重要案件の営業担当者に抜擢された。「なぜ彼を担当にするのか?」という意見もあったが、カワちゃんは見事、お客様から契約をいただいた。しかも、競合の見積もりのほうが安かったにもかかわらず、お客様はキーエンスを選んでくれたのだという。

カワちゃんがお客様からの信頼を勝ち得たのは「相手の話を聴ける人」だったからだろう。口下手を自覚していたカワちゃんは、徹底して「聴きに行く」姿勢をとっており、お客様から課題を聞き、解決のための最適な提案を積み重ねていた。

お客様の話に誠実に耳を傾けられれば、口下手であっても営業はうまくいく。むしろ、話すことが得意なのに成果が出ないのならば、まずは聴くことを意識してみよう。

「営業」とは何か
maruco/gettyimages

あなたは、営業という仕事の意味を考えたことはあるだろうか。単に「営業=自社の製品・サービスを売ること」とせずに、視座を高めて営業の仕事を捉え直してみよう。

著者は営業の仕事を「お客様が事業・ビジネスを進める第一歩目をつくる仕事」と定義している。たしかに「製品やサービスを売ること」は必要だ。だがそれだと主語が「自分」であるため、目標達成のために無理矢理売り込みを行う、不要なオプションをつけて売上を伸ばそうとするなど、独りよがりな行動をとってしまいがちだ。

一方で、主語を「お客様」にすると、営業としての姿勢が変わってくる。お客様はどのようなビジネスをしていて、今後どうなりたいのか。お客様のビジョンを実現するために、自社製品・サービスはどのように貢献できるか。そうしたことを踏まえて動けるようになるはずだ。

「お客様が自社商品を買ってくれたら嬉しい」のは当然のこと。「お客様のビジネスの成長に役に立てて嬉しい」と思えたら、営業はもっと楽しくなるだろう。

「法人」を理解する

法人営業をするなら、営業先である「法人」を正しく理解しておく必要がある。ここでは、2つのポイントを押さえよう。

1つ目は、法人の存在理由。法人は、利益を出すために存在している。

2つ目は、法人が製品やサービスを購入する理由。法人は、その製品やサービスが会社の利益につながるから購入する。つまり「利益を出すための投資」として、製品やサービスを購入しているのだ。

この2つのポイントを踏まえて、提案時には「投資対効果を証明すること」を意識しよう。投資対効果のある提案をするためには、何より先にお客様の「課題(困りごと)」や「どうしていきたいか」を聞くこと。その上で、あなたが提案する製品やサービスがどう役に立てるか、どのような利益をもたらせるかを伝える。そうすると、お客様は前のめりに話を聞いてくださるはずだし、安易な値引き合戦から抜け出せるだろう。

ポイントは、

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要約公開日 2022.05.17
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