最高のチームはみんな使っている

心理的安全性をつくる言葉55

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心理的安全性をつくる言葉55
出版社
出版日
2022年08月14日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

仕事をする上で、言葉をまったく使わない日はないだろう。だが私たちは、自分が発している言葉にどのくらい気を配っているだろうか。

本書はチームの心理的安全性を高めるための本だ。著者によれば、心理的安全性とは「誰もが率直に思ったことを言い合える」こと。変化の激しい時代において、チームで力を合わせて最高の成果を出すためには、心理的安全性が欠かせないという。

では、どうすれば心理的安全性を確保できるのか。著者の答えは「言葉を変えること」だ。すなわち、あなたも今この瞬間から、チームの心理的安全性を高めるための取り組みを始められるということだ。

本書では、すぐに使える「心理的安全性を高める言葉」が55種類掲載されている。そのうちのひとつが、チャレンジフルなチームをつくる言葉として紹介されている「〇〇さんのチャレンジをシェアさせてください」だ。この言葉は、チャレンジした人を称賛・承認できるだけでなく、挑戦を歓迎する文化を根づかせるためにも有効である。リーダーを中心にこうした声かけを続ければ、挑戦へのハードルが下がるとともに、挑戦を称賛するチームになれるだろう。

その意味を理解し、正しい文脈で使うならば、誰もがチームを変えられる――。本書を読んで、言葉の持つ可能性を感じつつ、「心理的安全性をつくる言葉」を積極的に使ってチームの絆をより強いものにしてほしい。

ライター画像
池田明季哉

著者

原田将嗣(はらだ まさし)
株式会社ZENTech シニアコンサルタント。心理的安全性を軸にした組織づくりの実践家。前職スターツグループでは、幅広く営業・人事・コンプライアンス部門を経験。営業部門では、最優秀営業に贈られる金賞受賞。営業マネジャーとして成果の出るチームづくりに尽力する。
2020年プロフェッショナルコーチとして独立。ZENTechでは心理的安全性を切り口にコンプライアンス意識の浸透・ダイバーシティの醸成や、デジタルトランスフォーメーションの土台となる組織づくりを支援。特に「組織・チームで使う言葉」をテーマにした研修はそのわかりやすさと実用性が好評を博す。本書が初の著作となる。

石井遼介(いしい りょうすけ)
株式会社ZENTech取締役。一般社団法人日本認知科学研究所理事。慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究所研究員。東京大学工学部卒。シンガポール国立大学 経営学修士(MBA)。神戸市出身。研究者、データサイエンティストとして心理的安全性の計測尺度・組織診断サーベイを開発すると共に、経営者・コンサルタントとしてビジネス領域、スポーツ領域で成果の出る組織づくりを推進。
書籍『心理的安全性のつくりかた』(日本能率協会マネジメントセンター)は読者が選ぶビジネス書グランプリ「マネジメント部門賞」、HRアワード2021 書籍部門 「優秀賞」を受賞し、10万部超のベストセラーとなっている。

本書の要点

  • 要点
    1
    心理的安全性が確保されたチームは、目指すべきゴールや成果のために「健全な意見の衝突」ができる。
  • 要点
    2
    心理的安全性は「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」という4つの因子によってつくられる。それぞれの因子を強める言葉を適切に使えば、チームの心理的安全性を高めることができる。
  • 要点
    3
    改善の提案があったとき、発案者に担当を押しつけてしまうと、次第に改善案が出なくなっていく。改善の提案があったときは「ナイスアイデア! どう分担していこうか」と返すとよい。

要約

心理的安全性って何?

理想は「健全な意見の衝突」が起きるチーム

会議で意見を募っても、誰も発言してくれない。ミスを隠す部下がいる。役割分担がうまくいかず、チームの人間関係が崩壊。自分のグループだけ業績が低迷している――。こうした「ひと」と「チーム」の問題を解決するキーワードが「心理的安全性」だ。「心理的安全性」とは、おおまかに言えば「誰もが率直に、思ったことを言い合える」ことである。つまり、チームの目標や大切にしていることに向かって、健全な意見の衝突(ヘルシーコンフリクト)が起こせる状態を指している。

心理的安全性が確保されていると、「ミスをしてしまった」などといった言いにくいことも迅速に共有できたり、新しいことに挑戦しやすくなったりする。もちろん、結果としてチーム全体の成果も上がるだろう。

では、心理的安全性を確保するために何から手をつければいいのか。もっともシンプルで効果的な方法は、職場で使う言葉を変えることだ。大胆な改革もコストをかけた投資も必要ない。心理的安全性の高いチームは、日ごろ使う言葉を変えるだけでつくれる。

心理的安全性を高める4つの要素
Edwin TaEdwin Tann/gettyimages

著者がシニアコンサルタントを務めるZENTechは、独自の検証に基づき、心理的安全性を高めるために重要な4つの因子を見出した。それは「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」だ。

「話しやすさ」因子とは、さまざまな情報を臆せず共有できることだ。話しやすさ因子があるチームでは、言いにくいけれど仕事を前に進める上で大切なことが臆せず発言され、共有される。

「助け合い」因子は、お互いに助け合える環境のことだ。リーダーや同僚と気軽に相談でき、ミスやトラブルの解決・改善に向けて建設的な対話ができる状態であれば、この因子があると言っていいだろう。

「挑戦」因子は、結果にかかわらず、挑戦を歓迎できる環境を意味する。挑戦因子が高いと、アイデアや企画が生まれやすくなる。

「新奇歓迎」因子は、社会や業界の常識にとらわれず、メンバー一人ひとりの強みや個性、新しい視点、発想を受け入れる環境のことだ。新奇歓迎因子のある環境では、一見まとはずれなアイデアも歓迎される。

あなたのチームでは、これら4つの因子がそろっているだろうか。ここからは、それぞれの因子を強め、心理的安全性を保つフレーズを紹介する。

会議を活性化させる言葉

「この場の心理的安全性は、私が担保します」(話しやすさ因子)

会議で「なんでもいいのでどんどん意見を出してください」と投げかけるだけでは、話しやすさ因子は向上しない。話しやすい場をつくりたいなら、リーダーが会議の冒頭で「この場の心理的安全性は、私が担保します」と宣言しよう。

ポイントは、繰り返すことだ。行動の継続を通じて、リーダーの本気はメンバーに伝わる。オフィスや会議室の壁に「心理的安全性」と書いた紙を貼るなどして、心理的安全性の重要性を浸透させるのも効果的だ。

「少し時間をとるので、いったん書き出してみよう」(話しやすさ因子)

会議で「当てていくので、ひとり1アイデア話してね」と言っても、全員が活発にアイデアを出す場にはなりにくい。

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要約公開日 2022.09.05
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