ロボコン
イケてない僕らのイカした特別授業

未 読
ロボコン
ジャンル
著者
ニール・バスコム 松本剛史(訳)
出版社
集英社
定価
1,980円(税込)
出版日
2014年06月26日
評点
総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
4.5
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イケてない僕らのイカした特別授業
著者
ニール・バスコム 松本剛史(訳)
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集英社
定価
1,980円(税込)
出版日
2014年06月26日
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総合
4.5
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
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おすすめポイント

今や1800ものチームが参加する世界的なロボットコンテストとなった、FIRST。これは創始者である、ディーン・ケイメン氏が子どもたちに、知性を競うスポーツの場をつくることで、STEM(Science、Technology、Engineering、Math)を学び、世界の課題を解決できる科学者やエンジニアを育てたいという想いでスタートさせたコンテストだ。本書は、アメリカの普通の高校生たちがFIRSTロボットコンテストを通じて、劇的な成長を遂げる事実に基づいたドキュメンタリー物語である。

FIRSTのおもしろさは、ただロボットを作って競技するところだけではない。チームを作り、プロのエンジニアたちにコーチとしてサポートしてもらいながら、ロボットの設計、製造、プログラミング、組み立て、資金調達、プロモーションをすべて生徒がこなす。本書の舞台となっている「ドスプエブロス・エンジニアリング・アカデミー」も、教師のアミール氏が中心となり、最高学年のクラス全員に卒業制作の一環として、FIRSTに挑戦している。はじめはバラバラの31名が、徐々にチームとなり、人間関係のいざこざを乗り越え、マシントラブルや大会直前の集団感染などのハプニングを乗り越えながらロボットを制作していく。物語では生徒たち一人一人にもフォーカスされながら彼らの成長が表現されている。また、生徒たちが「アミール語録」といって記したアミール先生の言葉は、教育に関わる読者にとっても、生徒を育てる上でもとても示唆に富んでいる内容だ。

物語としても十分面白いのはもちろん、生徒たちのロボット開発プロセスが具体的に紹介されており、ロボット開発に使われているサイエンス・テクノロジーを知る入門書としても魅力的な本である。

著者

ニール・バスコム
1971年コロラド州デンヴァー生まれ。マイアミ大学で経済学と英文学を学ぶ。ロンドンやダブリンでジャーナリストとして働いた後、ニューヨークの大手出版社セント・マーティンズ・プレスの編集者となる。その後パリでコラムニストの生活を経て、ロサンゼルスタイムズ紙などに寄稿を続けている。邦訳には『パーフェクトマイル 1マイル4分の壁に挑んだアスリート』(松本剛史訳、ヴィレッジブックス)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    FIRSTとは子どもたちが知性を競うスポーツとして、ディーン・ケイメン氏によって設立され、1992年からスタートした高校生ロボットコンテストである。
  • 要点
    2
    アメリカでは、いま必要とされている新たな世代の科学者、エンジニア、数学者、技術者を育てるためにSTEMを提唱し、実践している。
  • 要点
    3
    FIRSTでは生徒たちがチームを組み、ロボットの設計、製造、プログラミング、組み立て、資金集め、プロモーションも含めて6週間で行なう。

要約

2009年FIRST開幕

創設者ディーン・ケイメン氏の想い
kirstypargeter/iStock/Thinkstock

「われわれが手にできるのは、われわれが称えるものだけだ」。FIRSTの創設者ディーン・ケイメン氏が試合の合間に言った言葉だ。

アメリカ文化が長年称えてきたものは、プロスポーツ選手や映画スター、もしくは最近まではウォールストリートの金融家たち。だとすれば、科学やテクノロジー、工学や数学を勉強し、将来その道に進もうと憧れをもつ子どもたちが少ないのもむりはないのかもしれない。しかし、この世界選手権FIRSTには、今シーズン4万2千人の高校生が、過去の常識とはまったく違う価値観を称えるために参加してきた。それは、工具ベルトとつなぎに身を固め、歯車比やコンピューターコードの話をし、自分たちのロボットが目の前のフィールドを動き回るたびに、笑い、泣き、ダンスを踊る。彼らの「発明」と「知性」を称えるという、アメリカの新しい〝クール〟な形が生まれつつある。

「高校生向けロボットコンテスト」FIRSTという新しい文化を生み出した、ディーン氏は、医療関係の機器を開発して巨額の冨を得たほか、DEKAという会社の経営者でもある。きっかけは、1989年の雨の日、彼が科学体験センターで直面した、子どもたちの科学への憧れのなさへの絶望であった。なにかやらなければならない。子どもたちに、頭を使って考えることが得意になりたいと思わせられるものを。科学や技術がどれほどすばらしいかを本当に教えられる、知性を競うスポーツを生み出さなければならない。それでいて、その世界なりのヒーローがいて、名選手の入る殿堂があり、ファンやコーチがいて、オリンピックもあるスポーツを。その後、ディーン氏はMITの機械工学の教授であるウッディー・フラワーズ氏と運命的な出会いを果たし、彼の「統合エンジニアリングとデザイン」という授業をヒントにし、1992年、FIRST第1回の競技会を開催したのだった。

それから2009年までの17年間で、FIRSTは大きな進歩を遂げた。第1回大会では参加チーム数が28チームだったのが、今では1800チーム近くにまで規模が膨らんだ。FIRSTに参加した高校生は、そうでない生徒よりも技術関連職業に就いた数が2倍近く、工学系の職業では4倍になったという実績もついた。受け身の「訓練」ではなく学んだことをどう利用するかを学ぶ「教育」をここでは体現しているのだ。

アメリカでは全体的に、Science、Technology、Engineering、Math(頭文字をとってSTEMと呼ばれる)分野に進む学生数があまり多いとはいえない。しかし、同時にこの分野に特に力をいれなければ、アメリカは二流の輸入国に成り下がってしまうという危機感をもっている。だからこそ、

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