スマートマシンがやってくる
情報過多時代の頼れる最強ブレーン

未 読
スマートマシンがやってくる
ジャンル
著者
ジョン・E・ケリー3世 スティーブ・ハム 三木俊哉(訳)
出版社
日経BP社
定価
1,728円
出版日
2014年07月22日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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情報過多時代の頼れる最強ブレーン
著者
ジョン・E・ケリー3世 スティーブ・ハム 三木俊哉(訳)
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出版社
日経BP社
定価
1,728円
出版日
2014年07月22日
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革新性
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レビュー

今やコンピュータやスマートフォンに触れない日はないくらいだが、果たしてマシンはこれからどこまで賢くなるのか。社会に必要とされる新しいテクノロジーや新しいコンピュータ活用法とは何か。本書ではIBMリサーチが取り組む「コグニティブコンピューティング」の研究を通じてこれらの疑問を紐解く。

コグニティブコンピューティングとは、機械がヒトのように考え、学習し、対話を行うようになる、というもの。本書の中心的な話題は、人工知能「ワトソン」がもたらす技術の未来像だ。自然な対話ができる、学習するコンピュータは、金融や医療、接客サービスなどに革新的な変化をもたらす可能性がある。さらに、五感を持つコンピュータにはなにが可能か、という点についても言及される。

一方、実現に至るまでのハードルとしてビッグデータとアーキテクチャ、プロセッサなどについての課題も詳細に語られ、IBMリサーチが今どのように対処しようとしているか過程も含めて明かされる。なお、これまでのIBMの取り組みで、行き詰まりがあったことも描かれており、苦労を偲ばせる。

全体を通して、統合的に捉えることが難しい、ソフトウェア、ビッグデータ、アーキテクチャといったテーマを「コグニティブコンピューティング」という軸で整理でき、IT技術の未来について考えられるようになる一冊だ。

著者

ジョン・E・ケリー3世
10カ国、12の研究所で3000人以上の研究者・技術者が働く、企業の研究組織としては世界最大級のIBMリサーチ担当のシニア・バイス・プレジデント。IBMリサーチ責任者としての優先課題は、ITの主要分野でイノベーションを促し、これを迅速に商品・サービス化することである。

スティーブ・ハム
ビジネス・技術系のジャーナリストをへて、IBMのライター、ビデオグラファーとなる。直近では『ビジネスウィーク』誌のシニアライターを務めた。 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本書の要点

  • 要点
    1
    クイズ番組で世界チャンピオンに勝利した「ワトソン」は自然言語処理や機械学習の研究の発展で生まれた。ワトソンは今、医療や教育、金融サービスなど様々な応用を目指して研究が続けられている。
  • 要点
    2
    ビッグデータは手を付けられていない天然資源のようなものだが、分析体制や方法が未整備だ。
  • 要点
    3
    プロセッサやアーキテクチャは物理的な限界点に到達しようとしており、全く新しい発想のシステムの開発が待たれている。
  • 要点
    4
    コグニティブコンピューティングは、公共的なテーマ、例えば都市の問題の解決にも大きな貢献をすると期待されている。

要約

【必読ポイント!】「対話し、学習するコンピュータ」という新しい概念

Djahan/iStock/Thinkstock
自然言語や機械学習の研究の末、開発された学習するコンピュータ「ワトソン」は医療等様々な分野での活用が検討されている

IBMのコンピュータ「ワトソン」はテレビのクイズ番組の過去のグランドチャンピオンを打ち負かし、一大センセーションを巻き起こした。人工知能や自然言語処理の研究成果をもとに生み出されたワトソンは、例えば医師による病気の診断と、患者に最も合った治療法の決定をサポートすることを目指し、今も野心的な研究が行われている。

期待されるところは、膨大な医療情報と患者情報を組み合わせて、医師が複雑な症状の治療法をもっと迅速かつ容易に判断できるよう、力を貸すことだ。こういった研究目標は、単なる計算やデータパターンの発見にとどまるものではなく、自ら感じ、学び、推論し、ヒトと自然にやりとりする、すなわちコグニティブコンピュータを開発しようというプロジェクトにほかならない。

真の目標は、ヒトとコンピュータを結びつけ、単独ではできなかった集合知を実現することだ。日々生み出されるビッグデータは天然資源のようなもの。これを活用するために、もっと人間らしく思考し対話するコンピュータが求められている。コンピュータがヒトに合わせて仕事をし、複雑性、客観性、専門性、創造力、感覚を備えるようになることが期待されている。

IBMリサーチは以前から人間とコンピュータの対決を前面に出して研究者の意欲をかきたて、人々の関心を集めてきた。1960年台からチェッカー、バックギャモン、さらにチェスと次から次へと挑戦していった。1997年にディープブルーというプログラムがチェスの世界チャンピオンに勝利し、その後のプロジェクトがクイズ番組だった。

この挑戦を通じて、幅広い用途に適用できる技術プラットフォームが開発された。データ分析のかっちりとしたルールを決めるのではなく、タスクに応じて足したり組み合わせたりできるシンプルなアルゴリズムを数多く使用。分野にかかわらずさまざまな根拠と結論を比較・評価する分析プログラムをつくり、特定分野の専門家がプログラムに知識を提供できるようにした。

IBMリサーチの次の目標は、ワトソンによる米国医師国家試験の学科テスト合格だ。出題科目は解剖学、薬理学、病理学、行動科学、遺伝学など。ワトソンは既に60万ページ相当の医学的エビデンス、42の医学誌および200万ページ相当の臨床試験のデータ、数千の病歴を読み込む等、学習を始めている。

ビッグデータがもたらした変化

NorthernStock/iStock/Thinkstock
ビッグデータは採掘されるのを待つ天然資源のようなものだ

取引記録から動画、音声、センサーデータなど、ありとあらゆるデータが流通するようになった。「モノのインターネット」の進展により、センサーで生成されてネットにとりこまれるデータ量も飛躍的に伸びている。たとえば、ICタグ、監視カメラ、ウェアラブルセンサーなど多岐にわたる入力源がある。それらの膨大な収集データのうち、分析されているものは1%にも満たない。

ビッグデータのために対応すべき事柄は4つのVに代表される。

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テクノロジー・IT
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