「価格上昇」時代のマーケティング

なぜ、あの会社は値上げをしても売れ続けるのか
未読
日本語
「価格上昇」時代のマーケティング
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なぜ、あの会社は値上げをしても売れ続けるのか
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「価格上昇」時代のマーケティング
出版社
定価
1,023円(税込)
出版日
2022年09月08日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

物価高が止まらない。消費者としても深刻な問題だが、「コストを下げろ」の大号令に「これ以上は無理」と頭を痛めている人も多いことだろう。「利益確保のためには、もはや値上げはやむを得ない。だが、顧客離れにつながりかねない」。多くのビジネスパーソンが、そう考えているのではないだろうか。

そんな価格上昇時代に「値上げをしてもむしろ顧客を増やせるマーケティング手法」を説くのが本書である。著者は「感性と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、全国に広め続けている小阪裕司氏。主宰する「ワクワク系マーケティング実践会」の多くの会員企業は、この価格上昇局面でも売上を伸ばし、顧客を増やしているという。

本書には、著者が得たそうした実例がいくつも紹介されているのだから、説得力がないわけがない。「顧客は何にお金を払うのか」、「そもそも値付けはどのようにすべきなのか」、そして「どうすれば、うまく値上げができるのか」という「価格上昇時代のマーケティング」の要諦が、具体的な事例とともに綴られる。

「我慢するビジネス」から、「良いものを提供し、適正な価格をいただくビジネス」への回帰。そこに通底する「お客さんにとって入れ替えのきかない、自分の存在意義」を問う著者の主張は、正鵠を射たものだ。「価格」から逃れられないすべてのビジネスパーソンが読むべき一冊である。

ライター画像
山下愛記

著者

小阪裕司(こさか ゆうじ)
オラクルひと・しくみ研究所代表。博士(情報学)。九州大学招へい講師、日本感性工学会理事。山口大学人文学部卒業 (専攻は美学)。1992年オラクルひと・しくみ研究所を設立。「感性と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法を研究・開発し、2000年からその実践企業の会であるワクワク系マーケティング実践会を主宰。現在、全都道府県・海外から約1500社が参加。近年は研究にも注力し、2011年、博士(情報学)の学位を取得。産官学にまたがり、年間数多くの講演・講義も行う。2017年からは、この理論と実践手法を全国の企業に広める事業が経済産業省の認定を受けている。
『日経MJ』紙に14年に渡りコラム「招客招福の法則」を連載した他、著書は『「顧客消滅」時代のマーケティング』『「感性」のマーケティング』(以上、PHP研究所)、『価値創造の思考法』(東洋経済新報社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    価格上昇時代を生き残るには、まず「値上げは悪」という固定観念から解き放たれることだ。
  • 要点
    2
    値付けは、原価や仕入れ値にとらわれずに顧客の心の中の比較対象から考えること。そして何度か試して収益最大化ポイントを見つけ出そう。
  • 要点
    3
    値上げをする時は、その理由をはっきりと伝えること。提供する商品やサービスに、楽しさと体験を加えていくことで、高い価格を喜んで払ってもらえるようにするのが値上げの作法だ。
  • 要点
    4
    マスターとして新しい世界を示すことができれば、値段を気にせず、顧客に愛され、喜ばれるビジネスを営んでいけるだろう。

要約

「安さこそが価値」からの脱却

意味のあるものが選ばれる
AlpamayoPhoto/gettyimages

コロナ禍の影響で価格高騰の波が一気に押し寄せてきた。しかし、多くの企業やお店は値上げに踏み切ることができないでいる。「値上げは悪」「1円でも安く」という固定観念の呪縛から解き放たれなければ、価格上昇時代に生き残ることはできない。

理解しておくべきは、消費者は「どうでもいいものにはお金を使わないが、自分にとって意味があると思ったら、惜しみなくお金を使う」ということだ。著者はこれを「意味合い消費」と呼んでいる。

例を挙げて説明しよう。都内でレストランを経営する「ティナズダイニング」はその運営店舗で、人気漫画『ゴールデンカムイ』に出てくる「チタタプ」という料理を再現した「アイヌジビエコース」を出している。お客さんがその場で「チタタプ、チタタプ」と唱えながら肉を叩いて作るユニークなもので、値段は8580円とかなりの高額だ。

だが、客には「アルバイト代を貯めて来た」という若いカップルも来るらしい。生活必需品への出費を切り詰めて、このレストランでの食事に「予算」を「配分」したのだ。

コロナ禍により、誰もが「限りある自分たちの時間やお金を何に使うか」を深く考えるようになった。だからこそ「意味のある」ものが選ばれる。「価値をしっかり伝えれば、価格維持どころか、価格を上げても売上が落ちることはない」。

「価格」は「価値」に従う

価値を語れば価格は消滅する

お客さんがものを買うまでには、「買いたいか、買いたくないか」と、「買えるか、買えないか」の「2つのハードル」があるが、2つ目の価格のハードルは意外と低い。

東京都板橋区主催の「ワクワク系の店づくり実践講座」に参加した惣菜屋の「おかずや」は、自慢のビーフシチューを800円で売っていた。他店と比べて高額なため、なかなか売れなかったという。それもそのはず、「ビーフシチュー 800円」としか書かれていなかったPOPは、「買いたい」という1つ目のハードルを越えられていなかったのだ。

そこで、「大きなお肉をじっくり煮込み余分な脂をとりのぞき、三日がかりで作りました、当店のおすすめです」と書き換え、その価値を伝えることにした。売上は一気に例年の2倍になった。

ビジネスにおいて、主役は「価格」ではなく「価値」なのだ。

そうして「買いたい」のハードルを越えれば、あとは「買えるか、買えないか」だ。ここに関与してくるのが予算の「配分」である。買おうとしている商品・サービスが自分にとって意味のあるものと感じれば感じるほど、その商品・サービスへの配分は多くなり、「買えない」のハードルは下がることになる。

つまり、「価格」は「価値」に従うのである。商品の価値を伝えていくことに、じっくりと取り組む。「価値」あるものになれば、「価格」は消滅する。

「値付け」の作法

顧客本位で価格を付ける
IvelinRadkov/gettyimages

価格を原価から決める方法は大量消費時代のやり方であり、現代にはそぐわないし、「作り手本位」「売り手本位」だ。同業他社の価格と横並びか、少し安い価格を付けようとすることも間違いである。「安くないと売れない」という古い常識に縛られている。ではどうやって「値付け」をすればよいのか。

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