部下のやる気はいらない

「一歩踏み出す」からはじめるコーチング
未読
部下のやる気はいらない
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「一歩踏み出す」からはじめるコーチング
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部下のやる気はいらない
出版社
日本能率協会マネジメントセンター

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定価
1,815円(税込)
出版日
2022年09月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

やる気のない部下や主体的に行動しない部下に悩む人は多いだろう。本書を読むと、その悩みが解決に近づくはずだ。

著者は新卒でリクルートに入社し、大手法人営業や新規事業立ち上げなどを歴任したのち、法人向けコーチング会社を設立した。上長から「やる気がない」と言われていた人にコーチングをして、「大きく変わった」という評価を得ることも珍しくないそうだ。そんな著者が経験した1000回以上のコーチングセッションを分析し、そのノウハウをまとめたのが本書である。

本書によると、部下が行動しないのは「やる気がないから」ではない。現代日本においては、昔に比べて経験の量が減っており、経験に裏打ちされた成功・失敗の情報が少ないため、どうしても「まずやってみよう」という精神状態に向かいづらいのだ。

そこで見出したのは「やる気に依存しない」コーチングテクニックだ。その真髄は、対話によって行動のきっかけをデザインすることにある。部下のモチベーションを上げようとするのではなく、「やらない理由」を排除し、「やる理由」を作り出すのだ。要約者自身、本書で紹介される問いかけを見ていると、内省が進み、一歩を踏み出したくなるように感じた。

管理職の立場にある方はもちろん、「なぜ周囲からやる気がないように見られてしまうのだろう?」と悩む「部下」の方にも本書をお勧めしたい。相手との信頼関係が強固になるとともに、業務がうまく回り始めるに違いない。

著者

岩崎徹也(いわさき てつや)
株式会社PABLO代表取締役
慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科修了。2013年新卒で(株)リクルートホールディングス入社、(株)リクルート住まいカンパニーにて大手法人営業/新規事業立ち上げなどを歴任。その後起業して法人向けコーチング会社を設立。当初は自身の経験になぞらえ「モチベーション」が高まるコーチングを実施していた。しかし不動産投資会社や外資系生命保険会社の若手営業パーソンへのコーチングからモチベーションが高まることや中長期の目標を設定する以上に「まずやってみる」ことや「やってみたことにエンジョイメントを感じる」ことが大切だと気づく。その後1000回以上のコーチングを分析して独自のコーチング理論を構築。現在、約100名のプロコーチャーを抱え、主にミドルマネジメント向けに毎月300回以上のコーチングセッションを実施している。

本書の要点

  • 要点
    1
    飢えた人に対して「すぐに魚を釣ってあげる」が「ティーチング」、時間はかかるが、次の発展性を意識して「やり方を一緒に考える」が「コーチング」である。
  • 要点
    2
    コーチングを始める際、まずすべきことは「コーチングレディ(コーチングや業務に前向きな状態)」を作ることだ。
  • 要点
    3
    コーチングレディが完了したら、経験する→振り返る→教訓を引き出す→応用する、の4つのステップから成る「経験学習サイクル」を繰り返す。このサイクルを回すことで、コーチングの相手は「経験から学び、自立自走できる状態」に近づく。

要約

コーチングとは何か

「ティーチング」と「コーチング」の違い

「コーチング」は「coach」という言葉から来ている。coachはもともと「大切な人を目的地まで安全に送り届ける」ことを意味し、現代では「人の目標達成を支援する」という意味で使われるようになった。

では、コーチングはティーチングとどう違うのか。飢えた人に対して「すぐに魚を釣ってあげる」が「ティーチング」、「少し時間はかかるが、魚の釣り方を教えてあげる」が「コーチング」である。

これまでの新人教育では、ティーチング思考が強く、「言われた通りに仕事をしろ」というスタンスの企業も多かった。一方、令和においては、誰もが正しい答えなど持っておらず、一人ひとりが考えて動かなければならない。そんな時代だからこそ、「言われた通りに仕事をしろ」ではなく「一緒に考えよう」というコーチングの姿勢が求められているのだ。

短期的に見ると、代わりに魚を釣ってあげた方が楽だろう。だがそれでは、上司が毎回魚を釣ることになってしまう。

部下が釣り方を覚えてしまえば、上司の手は必要なくなる。それどころか、上司よりもうまく魚を釣れるようになるかもしれない。

【必読ポイント!】コーチングレディ:部下が一歩前に踏み出す準備をする

コーチングレディのゴール
fizkes/gettyimages

部下にコーチングをしようとしても、部下は「なんでこんなことをやらなきゃならないんだ」「忙しいのに仕事を増やして」などと思っているかもしれない。そこでまず上司がやるべきは、コーチングを受けるための適切な状態を作ること、「コーチングレディ(コーチングの準備)」だ。

コーチングレディのゴールは、コーチングされる側が「とりあえずやってみよう」と一歩前に踏み出すことに前向きになっている状態である。そのときに重要になるのが「やらない理由」をなくすこと。「8つの問いのフォーマット」を用いて「やる理由」を徹底的に深掘りし、明確にしていく。

8つの問いとは「なぜやるのか」「何をやるのか」「いつやるのか」「どこでやるのか」「どうやってやるのか」「誰とやるのか」「誰にやるのか」「どちらをやるのか」だ。相手に問いかけ、明確な回答を引き出すことで、はじめの一歩を踏み出せる状態に近づいていく。

STEP1:信頼関係を構築する
fizkes/gettyimages

コーチングレディな状態を作るためのステップ1は「相手との信頼関係を構築すること」だ。上司の自己開示→部下の自己開示→環境認識の確認という3つのステップによって、相手との信頼関係を構築する。

まずは「上司の自己開示」だ。相手のことを知るために、まずは自分の自己開示から始めよう。上司の自己開示は、次の4つの流れで進めるとよい。

1つ目は、返報性の法則を利用すること。相手から聞きたい情報があるなら、まずは自分がそれを伝えよう。例えば相手の趣味が知りたいなら「趣味は何ですか?」とストレートに聞くのではなく、「自分は最近こういうアニメにハマっているんだよね。マンガとかアニメとか観ます?」と聞いてみる。

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