「もっと部下が思った通りに動いてくれれば……」「どうすればチームがまとまるんだろう?」「指示を出さなくても、人が自然と動いてくれるリーダーになりたい」などと、伝え方に悩むリーダーは多いものだ。一方、ごく一握りだが、部下のやる気と能力を見事に引き出しているリーダーもいる。
悩むリーダーとうまくいくリーダーの違いは特別な能力や実績、カリスマ性ではない。「人をやる気にさせ、能力を引き出す話し方」をしているかどうかだ。
「相手の自己肯定感を満たせばうまくいく」と思っている人もいるかもしれないが、自己肯定感を満たすだけでは部下は動かない。意識すべきは「自己重要感」だ。
自己肯定感と自己重要感はどう違うのか。自己肯定感は、その人自身が自分の存在を肯定する感覚のこと。自己肯定感の高い人は、社会的立場や実績とは関係なく、自身の存在を肯定できる。
一方、自己重要感は、社会での立ち位置や実績があってこそ満たされるものだ。「大きな仕事を任された」「ポジションが1つ上がった」「何かで一等賞を取った」「すごい人から目をかけられている」「組織で期待されている」などといった感覚に基づくものである。
ひと言で表現すると、自己肯定感は安心感、自己重要感は特別感だといえる。うまくいくリーダーや慕われるリーダーは、話し方を通して部下やメンバーたちの特別感を高めているのだ。
相手の自己重要感を高める話し方を、著者は「フォーユートーク」と呼ぶ。フォーユートークのポイントは7つある。
1つ目は、「あなたは~」と、相手を主役にして話すこと。誰しも自分自身に一番興味があるため、自分を主役にして話してくれる人に心をひらくものだ。
2つ目は、相手に疎外感を与えないこと。優秀なリーダーは、常に目の前にいる人と関係のある話をする。自分の話や、相手とかけ離れた立場にある人の話ばかりを続けていては、相手は疎外感を覚えて心の扉を閉じてしまうからだ。
3つ目は、相手を否定しないこと。ダメ出しされると、人は自分の存在を全否定された気分になる。相手と良好な関係を構築したいなら、まずは相手の考えや気持ちを受け入れよう。
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