私もまだ、私を知らない

自尊感情を高める処方箋
未読
日本語
私もまだ、私を知らない
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自尊感情を高める処方箋
未読
日本語
私もまだ、私を知らない
出版社
定価
1,760円(税込)
出版日
2022年11月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

本書は、不安や憂鬱、自尊感情が低いといった心の状態を、脳科学と心理学の二つの道筋から説明し、少しでもよい方向へ進んでいけるようにアドバイスする。科学的知見を活かしながら心の問題に寄り添う書である。韓国で10万部超のベストセラーになっている。

サブタイトルにもある「自尊感情を高める」ということは、今、一種のブームのようになっており、関連本も多い。だが、高い自尊感情をもつためにさらに大きな願望をもつよう促すような風潮には、著者は釘を刺している。そもそも自尊感情は日々揺れ動くもので、その揺れをありのまま受け入れればいいと諭す。実際に悩みを抱える読者には、著者のこのような知的な整理が救いとなるように思われる。

本書は、具体的な「エピソード」とそれに対する「脳科学者の話」、「臨床心理学者の話」をワンセットとして構成されている。各エピソードにひそむ心の問題について、研究によって明らかにされていることを示しつつ、現在の状態は変えてゆける、と繰り返し導いてくれる。もし、「エピソード」に自分と似たケースを発見したら、本を通してカウンセリングを受けているように読めるだろう。

全体を通して、「あなたはあなたが思っているほど悪くはない」「もっと生きてもいい、もっと期待してもいい」というメッセージが貫かれている。ぜひ、著者のあたたかい励ましを受け取ってほしい。

ライター画像
小日向悦子

著者

ホ・ジウォン
高麗大学校心理学部教授。
精神病理および心理治療に関する研究を専門とし、研究内容を臨床でも適用する臨床心理の専門家。 高麗大学で臨床および相談心理修士学位を、ソウル大学で脳認知科学と博士学位を取得。2016年に大韓脳機能マッピング学会若手研究者賞、2020年には大韓神経精神医学会英文論文賞を受賞。臨床心理学者、脳科学者としてそれぞれ活発に研究成果を出している。 韓国臨床心理学会総務理事、韓国認知行動治療学会広報理事、大韓脳機能マッピング学会代議員および学術委員としても活動。

本書の要点

  • 要点
    1
    褒められたときに自然に受け入れてゆけば、自尊感情を得やすくなるように、脳をゆっくり変えていける。自尊感情が高い「ふり」をすることで、社会的圧力に対応できる効果的な「仮面」をつくれる。
  • 要点
    2
    完璧主義は憂鬱のような病理的症状と関係が深い。「これくらいでいいさ」と自ら不安のスイッチを切り、できることをした後は、自分なりの楽しみを大切にしよう。
  • 要点
    3
    私たちはまだ、自分のことをよく知らない。無意識-前意識-意識の構造の間にある記憶や感情のことは、まだはっきりと明らかになっていない。だから、自分を規定せず、自分の複雑性を受け入れていこう。

要約

【必読ポイント!】努力する。しかし、頑張らない。

エピソード:仮面をかぶって生きることに疲れた

Kは、自分の自尊感情はあまりにも低い、と繰り返す。周りから愛されたくて、会う人や場所ごとに、違う行動をとってしまう。すると、すべてが偽りで、自分がバラバラになっていくように感じられる。

母子家庭で育ったKは、一人で家事をこなし、自分と弟の面倒を見ながら学校に通っていた。母親に褒められたことは一度もない。それでも、頑張ってそれなりにうまくやっていた。だが、必要以上に自分を偽ってきたため、苦しむKの心に気づく人は、誰もいなかった。毎日仮面をかぶってお芝居をしながら生きることに疲れ、いっそ世の中から消えてしまいたいと思ってしまう。

脳科学者の話――高い自尊感情という幻
hannamonika/gettyimages

研究によると、自尊感情が低くなる理由はさまざまだが、とくによく挙げられるのは、主養育者の放任や無関心、虐待だ。個人としての達成度の低さや、攻撃をうけた経験なども、自尊感情を傷つける。すると、脳は十分に成長できず、場合によっては灰白質の体積が減ってしまうこともある。灰白質は情緒や意思決定など精神活動にかかわるため、被ったダメージが、再び多様な自尊感情の問題につながる可能性が高い。

アメリカ心理学の父と呼ばれるウィリアム・ジェームズ(William James)によって1890年代に初めて使われた「自尊感情」は、「成功の水準÷願望」と定義される。ウィリアム・ジェームズは成功の水準を低くする、自分への期待値を下げるのが賢いと説明していた。だが、時代とともに個人の自尊感情に過度の意味を与える風潮が広がり、現在では成功と失敗を個人の資質の問題として取り上げ、その人の自尊感情の問題と結びつけて考えるトレンドへと移り変わっていった。

ここではっきりさせておくべきことがある。絶対に高い、あるいは低い自尊感情など存在しない。自尊感情は日々上下に揺れ動くもので、「高い自尊感情」という枠組みは幻にすぎない。

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