やりたいことが見つからない。新しいことをはじめるのが苦手な上、はじめても長続きしない――。このような悩みを抱えている人は多いかもしれない。
著者自身、何も長続きしない、一貫性のない人生を送ってきた。習い事は続かず、部活は入ってすぐに幽霊部員化。大学受験に失敗し、仮面浪人をするも挫折。レコード会社の起業と経営、生体材料の研究、広告制作、育休取得と家事への専念、ベンチャー支援、起業家養成……。こうした経歴から脈絡や関係性、つながりを読み取ってくれる人はほとんどいないだろう。
だがあるとき、ふと気づいた。やってきたことに一貫性がないからといって、信念がないわけではないのだ。この気づきにより、「一貫性のなさの呪縛」から解放された。
何もやってこなかった人生などない。自分の中に確固たる意志や思想があり、それに基づいて行動してきたはずだ。それなのに、行動に一貫性がないと捉えられ、誤解されてしまうのはつらいものだ。
本書では、人生に作戦名をつける作業を通して、自分の中に眠っている一貫性を見出していく。作業に取り組むうちに、大切なものが見えてくるはずだ。
作戦名の検討は「振り返る・思いを馳せる」「再整理」「結晶化」の3ステップで進んでいく。まずはステップ1、9マス思考法を使って行う「振り返る」について説明しよう。
9マス思考法は、時間を示す「過去」「現在」「未来」の横軸と、経験を示す「きっかけ」「行動」「学び」の縦軸で構成される。この思考法を使い、これまでの経験を振り返るとともに、未来に思いを馳せて、自分の軸を可視化する。
A4の紙を3つ折りにして、下から順に、1つの経験の「きっかけ」「行動」「学び」を書き出そう。2段目の「行動」欄では、左に「何をしたのか」を、右に「その行動を行っていたときの心境」と「行動の結果」を書く。
規模の大小や期間の長短などは関係なく、思い出深い行動や分岐点とも呼べるような出来事をとにかく書き出すのがポイントだ。著者の場合、「広告会社でコピーライターになる」「獣医志望と受験失敗、仮面浪人へ」「育休取得と見える世界の変化」といった行動が並んだ。
行動と合わせて、「エピソード」とでも呼ぶべき小さな行動を書き出すのもいい。1つのイベントに複数のエピソードが紐づいているイメージだ。「広告会社でコピーライターになる」というイベントに付随して、「打ち合わせ当日は朝6時に出社し、コピーを清書した」「自分と犬の話をラジオCMにしたら評判がよかった」などといったエピソードを書き添える。
過去から現在までの行動を書き出したら、「きっかけ」欄と「学び」欄にも記入しよう。A4用紙に直接記入するのではなく、付箋にメモ書きをしてどんどん貼るといい。書いては貼る、書いては貼る、を繰り返して、自分と向き合っていく。
振り返りの最後に、書き出した行動の中から自分にとって大切だと思えるものを選ぶ。ここでは2つの選択基準を参考にしてほしい。
1つ目の基準は、人生の節目になるような大きな行動である。「この行動は自分にとって、やっぱり外せないよね」という出来事だ。
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