稲盛和夫伝

利他の心を永久に
未読
稲盛和夫伝
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利他の心を永久に
著者
未読
稲盛和夫伝
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出版社
定価
1,650円(税込)
出版日
2022年12月16日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「ど真剣に生きてみろ」。帯に書かれたこの言葉が、心に突き刺さってくる。稀代の経営者であった故・稲盛和夫氏。京セラのカリスマ創業者にして、松下幸之助氏と並ぶ「経営の神様」だ。稲盛氏の功績は枚挙にいとまがない。京セラの躍進だけでなくKDDIをはじめとする数々の新事業参画、「奇跡の再生」と注目されたJAL再建、さらには稲盛財団の立ち上げ、児童養護施設・乳児院の設立、盛和塾を通じた若手育成。こうした多種多様な形で、世の中に大きな影響を与え続けた。

著者は評伝の執筆を生業とし、数々の偉人の生涯に光を当ててきた人物だ。偉人の人生をたどることで、人生の意味や生きる目的が見出せるのではないか。要約者も、本書を通じて稲盛氏の人生を追体験するかのような気持ちで「崇高な魂の軌跡」にふれ、心がふるえた。

稲盛氏はこう語った。「成功するには一定のルールがある。それは徹底的に企業経営を考え、その向こうにある人間というものを考えに考え抜いた結果到達した境地なのだ」。このルールをひとことで表すと、「利他の心」であるという。利他の心に反するものはやがて滅ぶ運命にある。社会をかえりみないビジネスに未来はないのだ。

これは昨今注目されているESG投資や人的資本経営とも重なる部分がある。昭和の時代と比べて働き方は大きく変わった。だが、組織を動かしているのは人であり続ける。「ど真剣に生きる人」の輝きは今も昔も変わらない。

著者

北康利(きた やすとし)
昭和35年12月24日愛知県名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業後、富士銀行入行。資産証券化の専門家として富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長等を歴任。平成20年6月末でみずほ証券退職。本格的に作家活動に入る。
著書に『白洲次郎 占領を背負った男』(第14回山本七平賞受賞)、『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず』『吉田茂 ポピュリズムに背を向けて』『佐治敬三と開高健 最強のふたり』(以上、講談社)、『陰徳を積む──銀行王・安田善次郎伝』(新潮社)、『松下幸之助 経営の神様とよばれた男』(PHP研究所)、『西郷隆盛 命もいらず名もいらず』(WAC)、『胆斗の人 太田垣士郎──黒四(クロヨン)で龍になった男』(文藝春秋)、『乃公出でずんば 渋沢栄一伝』(KADOKAWA)、『本多静六──若者よ、人生に投資せよ』(実業之日本社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    稲盛和夫氏は、受験の失敗、就職活動の挫折を経て、松風工業で渦の中心となって懸命に働いた。その思いの強さはフィロソフィとして語られ、周囲の魂を揺さぶり、伝播していった。
  • 要点
    2
    京セラ創業後は、アメーバ経営、京セラ会計学を生み出し、世界の京セラへの道を開いた。
  • 要点
    3
    KDDIの設立、JAL再生。稲盛は一貫して大義のためにチャレンジを続けてきた。その根底にあるのは、人として正しいことをしようという「利他の心」だった。

要約

鹿児島で育った「ごてやん」

泣き虫がガキ大将になるまで

1932年、鹿児島市薬師町。稲盛和夫氏(以下、稲盛)は、印刷業を営む父と家を切り盛りする母との間に、7人兄弟の次男として生まれた。言い出したら聞かない泣き虫で甘えん坊の「ごてやん」だった。だが、鹿児島に伝わる郷中教育や風土が、彼を反骨心旺盛な少年へと変えていく。成長するにつれてたくましくなり、自他ともに認めるガキ大将となった。

1944年の春、稲盛は名門校である鹿児島一中(旧制中学)を受験。しかし、結果は不合格となり、西田国民学校高等科へ進んだ。悔しさから、翌年には旧制鹿児島中学を受験し、見事合格を果たした。

その後終戦を迎えて学校制度が変わり、稲盛は父に高校進学を嘆願。進学を果たし、家計の足しにしようと紙袋の行商を思いつく。この行商経験が、稲盛の事業の原点となった。

受験の失敗、就職の挫折
Chepko/gettyimages

稲盛は、友人が読んでいた受験雑誌『螢雪時代』に衝撃を受け、大学進学を考え始めた。薬学の研究を志し、「人の二倍は努力する。人が二倍だったら五倍する」と心に決め、粘った。受験校は先生の勧めもあり、大阪大学医学部薬学科に。結果は不合格だったが、地元の鹿児島県立大学工学部(現 鹿児島大学工学部)を滑り止めで受験し、合格した。

応用科学科に進み、製薬に携われる有機化学を専攻。就職では絶対に自分の夢を叶えようと猛勉強した。ところが、当時の就職環境は最悪の状況だった。不況が深刻化し求人は減る一方。そこで稲盛はあまりに狭き門の薬品会社への就職は諦め、石炭・石油などの資源エネルギー産業に的を絞るも、ことごとく不採用だった。

運命の扉が開いた無機化学への転向

働きたいのに働く場所がない。思い詰めていた稲盛に、大学の恩師から声がかかった。京都の老舗碍子会社の松風工業が採用してくれるかもしれないというのだ。聞いたことのない名前だったが、頭を下げてお願いした。

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要約公開日 2023.04.01
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