地球外生命 9の論点
存在可能性を最新研究から考える

未 読
地球外生命 9の論点
ジャンル
著者
立花隆 佐藤勝彦ほか 自然科学研究機構(編)
出版社
講談社
定価
990円(税込)
出版日
2012年06月21日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
3.5
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地球外生命 9の論点
地球外生命 9の論点
存在可能性を最新研究から考える
著者
立花隆 佐藤勝彦ほか 自然科学研究機構(編)
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ジャンル
出版社
講談社
定価
990円(税込)
出版日
2012年06月21日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.5
応用性
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おすすめポイント

この広い宇宙で、私たちは孤独な存在なのか。それとも地球のほかにも、私たちのような生命体はどこかに存在するのか――。

これは人類にとって永遠の問いのひとつだ。自然科学研究機構は2010年10月から「宇宙に仲間はいるのか」と題して連続シンポジウムを開催してきた。本書は、そのときの話をもとに、その後の最新の研究成果も交え、おもに『宇宙』の専門家である天文学者、『生命』の専門家である生物学者が、地球外生命の存在を議論するにあたって必要と思われる9つの論点を示し、読者がこの問題について考えてみるときの手がかりになることを目指して構成されている。

各章は、先鋭の研究者9人がそれぞれの立場から、地球外生命について「科学者」としてどのように考えているかを述べている。論点は大きくわけて「地球外生命体がいるとしたら、それはどのような生物か」「生命が誕生し、繁栄するにはなにが必要か」「宇宙空間に生命をさがす」と4つの部に分けられている。「最新研究」と書くと難しい内容と思われるかもしれないが、そんなことはない。むしろ知的エンターテイメントとして文系理系問わずに楽しめる一冊だ。

一般の方からすれば、地球外生命体と言われると映画『E.T.』に出てくるような宇宙人とか、『宇宙戦争』で地球を襲うタコのような宇宙人のイメージがあるかもしれない。しかし、今や地球外生命体は科学の最先端にある重要なテーマの一つとなっている。本書を開いて、夢物語だと思い込んでいたET(Extra Terrestrial)を探しにいこうではないか。

著者

立花 隆
ジャーナリスト。1940年生まれ。1964年、東京大学文学部仏文科卒業。2007年より東京大学大学院情報学環特任教授。『小林・益川理論の証明』(朝日新聞出版)、
『宇宙からの帰還』(中央公論社)など科学関連の著書も多数。

佐藤 勝彦
自然科学研究機構長。東京大学名誉教授。1945年生まれ。1974年、京都大学大学院理学研究科博士課程修了。宇宙創生を記述する「インフレーション理論」提唱者の一人。『インフレーション宇宙論』(講談社ブルーバックス)など著書多数。

自然科学研究機構
国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所の5つの大学共同利用機関で構成される大学共同利用機関法人。2004年に設立。

本書の要点

  • 要点
    1
    なぜ我々はまだ地球外生命体に出会えていないのか、それには科学者たちが大きく3つの答えをだしている。
  • 要点
    2
    地球外生命体に出会いたければ、重要なのは我々自身の文明を少しでも長く続かせることだ。
  • 要点
    3
    地球外生命体を探したければ、地球内部の「真の生命圏」の姿を知らなければならない。
  • 要点
    4
    海底下には地上の生物を遥かに超える量の微生物が存在していた。
  • 要点
    5
    木星の第2衛星エウロパでは、火山活動があり、海があるかもしれない。

要約

地球外生命体へのアプローチの歴史

科学の進歩とともに地球外生命体は「科学」ではなくなっていった
Lonely__/iStock/Thinkstock

夜空の星を見上げ、この星々のどこかに「生命体」が存在しているのではないか、我々が会いにいくのをずっと待っているのではないか、と思ったことはないだろうか。古の人々も同じように考えていたようだ。たとえば、古代ギリシャの数学者ピタゴラスは宇宙には地球と同じような世界がたくさんあり、それぞれの「住人」がいると弟子たちに語っていたという。日本人になじみ深い、日本最古の物語、竹取物語のエンディングでは月から使者が訪れてかぐや姫を迎えにくる。このように、古来より人間はおおむね地球外生命体の存在を自然なこととして考えていたようだ。

1543年にコペルニクスが「地動説」を唱えたことをきっかけに、この宇宙のなかで地球や人類は「特別な存在ではない」と多くの知識人が考えるようになっていった。中世の代表的な科学者ケプラーは、月には規則的な地形が観察でき、それは高度な文明をもった住人が建設したものだと述べ、宇宙人の存在について活発に議論されるようになっていった。

近代に入ると、もはや宇宙人の存在は常識とされ、実際にどのようにして彼らとコンタクトを取るかが議論されるほどであった。ところが、19世紀後半になると、天体物理学が発達するにしたがって、人々の宇宙への情熱は急速に冷めていく。開発された天体を分析する新しい手法によって映し出されたのは、極めて低温で真空の宇宙空間であり、大気や水の存在すら疑わしく、生命が存在するにはあまりに過酷な環境であった。こうして宇宙人の存在について悲観的に考える立場が支配的となるにつれ、科学者の中でも地球外生命体は「科学」ではなくなっていった。

なぜ我々は、「彼ら」にまだ出会えていないのか―科学者たちが考える3つの答え

しかし、20世紀半ばにはいって、地球外生命体について本気で考え始める科学者が現れた。それは、意外にも原子物理学を専門とし、ノーベル物理学賞を受賞していた物理学者フェルミであった。1950年、ロスアラモス研究所で同僚とランチをとっているときに、彼はこうつぶやいたという。「みんな、どこにいるのだろう」。フェルミは、何か未知の数値を限られた手がかりや論理から概算することを得意としていた。たとえば、「シカゴにピアノの調律師は何人いるのか」をシカゴの人口、1世帯あたりの人数、ピアノを所有している世帯の割合などから推定することができる。こうした手法は「フェルミ推定」と呼ばれ、近年ビジネスの現場でも応用されている。

フェルミは、宇宙の広大さ、宇宙の誕生から現在までの時間などを概算することで、知的な地球外生命体は必ず存在し、しかもすでに何度も地球を訪れているはずだと推定していた。それにもかかわらず、私たちはまだ一度も彼らに会っていない。「みんな、どこにいるのだろう」。フェルミが指摘した、地球外生命体が存在する可能性の高さと、私たちが彼らにまだ一度も遭遇したことがないという事実とのギャップは「フェルミのパラドックス」と呼ばれ、宇宙において我々は特別な存在なのか、あるいはありふれた存在なのかという問いを突きつけた。

科学者たちは、これに対して大きく3通りの答えを出している。

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