死なないやつら
極限から考える「生命とは何か」

未 読
死なないやつら
ジャンル
著者
長沼毅
出版社
講談社(ブルーバックス)
定価
972円
出版日
2013年12月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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死なないやつら
死なないやつら
極限から考える「生命とは何か」
著者
長沼毅
未 読
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ジャンル
出版社
講談社(ブルーバックス)
定価
972円
出版日
2013年12月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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レビュー

「生命とは何か」。本書の副題にもあるこの問いは、一見、単純な問いかけのように思えて、実はひどく厄介な質問だ。たとえば、国語辞典で【生命】を引くと、「生物が生物であり続ける根源」などと書いてある。そこで【生物】とは何かと見てみると、「生命をもつものの総称」とある。これでは堂々巡りで、何か別の言葉をもってこなければ、「生命」を説明したことにならない。

しかし、目の前にある「それ」が「生命」であるかどうかは、誰でも直感的にわかる。たとえば「キミに生命はある?」と聞かれれば答えは「イエス」だし、コップやハサミを指して「これは生命?」と問われれば「ノー」と答えられる。私たちは、「何が生命か」を、説明不要の自明なものとして知っているともいえる。

 それなのに、私たちは「生命とは何か」がわかった気がしない。この質問は、実のところ、「自分が生命だと思っているものの正体は何か」「私がこれを生命だと感じるのはなぜか」といった問いに置き換えられるのかもしれない。

著者は今、その答えを「現場」に求めている。深海・地底・南極・北極・砂漠などの極限環境で暮らす生き物たちに、「生命とは何か」を知るためのヒントが隠されているというのだ。彼らは、なぜそんな能力を身につけたのか。なぜそんなに巧妙にできているのか。そもそも、なぜこんなものが地球に誕生したのか――。本書には、そうした生物を研究することによって答えに近づこうとする、著者のこれまでの歩みが記されている。

著者

長沼毅
広島大学大学院生物圏科学研究科准教授。1961年4月12日、人類初の宇宙飛行の日に生まれる。1984年、筑波大学第二学群生物学類卒業。1989年、筑波大学大学院博士課程生物科学研究科修了。海洋科学技術センター(現・海洋研究開発機構)研究員、理化学研究所嘱託研究員、カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員を経て1994年より現職。専門は深海・地底・南極・北極・砂漠など極限環境の生物学、生物海洋学。『生命とは何だろう?』(集英社インターナショナル)、『私たちは進化できるのか』(廣済堂新書)、『形態の生命誌』(新潮新書)など著書多数。テレビ出演でも活躍中。

本書の要点

  • 要点
    1
    人間であればたちまち死んでしまう極端な環境で生きている極限生物は、地球生命という現象がぎりぎりどこまで成立しうるのか、その境界線を示してくれる。
  • 要点
    2
    進化を起こす遺伝子の「突然変異」は、目的なく完全にランダムに起こる。いま地球上に生き残っている生命のほとんどは「偶然の産物」といっていいだろう。
  • 要点
    3
    地球の歴史を46億年前からもう一度やり直したとして、そこに生命をつくるのに必要な物質がすべて揃っていても、生命が誕生する確率はきわめて低いと生物学者は考えている。

要約

「生命とは何か」とは何か

メタバイオロジーの問い

「生命とは何か」とは何か、というように、いわば二段構えの構造をもつものを、「高次の〜」「〜を含んだ」を意味する接頭語「メタ」をつけて呼ぶことがある。この種の言葉でもっともよく使われるのは、おそらく「メタフィジックス」であろう。「フィジックス(物理学)」にメタをつけた「メタフィジックス」は「形而上学(けいじじょうがく)」と訳されている。物理学が物質やエネルギー、力などの自然界の現象からこの世界の成り立ちを理解しようとするのに対して、形而上学では、それらが「なぜ存在するのか」を考えるのだ。

これと同様に、生物学(バイオロジー)が「生命とは何か」を探求するのに対し、「生命とは何か――とは何か」という問いを考える分野が「メタバイオロジー」である。

物理学は、自然界が「なにで」「どのように」できているのかを問うので、研究者の頭の中にあるのは「What?」と「How?」である。生物学者が探求するのも、同様に、生命や生物の「What?」と「How?」にほかならない。

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それに対してメタレベルの学問が問うのは「Why?」である。形而上学が考えるのは、物質や人間やこの世界が存在する「背景」や「意義」、そして「理由」。メタバイオロジーも、それと同様に「なぜ生命が存在するのか」を考えるのだ。著者は、自分が幼いときに抱いた「なぜ自分はここにいるのか?」という疑問は「なぜ生命が存在するのか」という問いと一体であると考えている。「『生命=自分自身』の存在に対する根源的な『なぜ』があるからこそ、私たちは『生命とは何か』を知りたくなる」のではないだろうか。

地球生命の不思議さ
cowboy5437/iStock/Thinkstock

このようなメタバイオロジーの視点も意識して「生命とは何か」と考えてみよう。すると「生命」という言葉は、概念として存在する「抽象的な生命」と目の前にある「具体的な生命」という二つの意味を持つことになる。

高名な物理学者シュレーディンガーは、著書『WHAT IS LIFE』の中で生命を次のように定義した。「生命とは、負のエントロピーを食って構造と情報の秩序を保つシステムである」これは、筆者によれば「生命とはエネルギーを食って構造と情報の秩序を保つシステムである」と言い換えることができる。

ただ、それだけでは「個体」や「細胞」のレベルでの生命を語れるとしても、具体的な「地球上の生命」について語ったことにはならない。

地球生命とは、物質的にみるとほとんど水であるが、水をのぞくと、基本的には炭素でできている。ただし、これはとても不思議な状況だ。この宇宙で炭素が安定的に存在できる状態は、メタンか二酸化炭素かのいずれかの状態しかなく、それ以外の炭素化合物はどれも不安定な状態にあるはずなのだ。

この状態のまま、地球生命という総体は40億年も途絶えることなく存在してきた。ある現象がそれほど長く続くことはきわめて稀で、いったいなぜ……と誰でも「Why?」が浮かんでくるのではないだろうか。「生命とは何か」を考える上では、現実の現象に根差した具体的な地球生命こそ、より深い謎をはらんでいるように思われる。

【必読ポイント!】極限環境生物からみた生命

地球生命という現象の境界線

地球生命がこんなに長く続いてきた謎に迫ろうとしても、生物は多種多様で、生命についての本質的なことを見出すにはどれから手をつければいいのかわからなくなりそうだ。そこで手がかりとなるのが「極限生物」だ。 

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極限から考える「生命とは何か」
著者
長沼毅
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講談社(ブルーバックス)
定価
972円
出版日
2013年12月20日
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サイエンス
著者
長沼毅
出版社
講談社(ブルーバックス)
定価
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2013年12月20日
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