社会の変え方の表紙

社会の変え方

日本の政治をあきらめていたすべての人へ


本書の要点

  • 障害を持つ弟とともに過ごした幼少期の経験が、著者に「冷たい社会への復讐」という原点の気持ちを生んだ。

  • 明石市長に就任した著者は「子どもを核としたまちづくり」を推進することで、衰退していたまちを活気あるまちに復活させた。

  • 明石市は障害者やマイノリティにもやさしいまちづくりを推進している。そこには、当事者とともに冷たい社会を変えていく姿勢がにじみ出ている。

  • 政治が変わらないのは行動しない私たちの責任でもある。自身の将来のためにも、政治をあきらめてはいけない。

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原点は、冷たい社会への「復讐」

貧困と差別 闘いの始まり

兵庫県明石市二見町。著者は瀬戸内海に面したこの小さな漁師町で生まれ育った。4つ下の弟が障害を持って生まれたときから泉家の闘いが始まる。当時、日本には「優生保護法」という法律があった。障害のある人には強制的に不妊手術や中絶を行い、これ以上障害者を増やさないことを目的とした差別施策だ。たった30年前まで、強制的に人の命を奪うとんでもないルールが日本にはあった。病院側は著者の弟を見殺しにする提案をしてきたが、両親の懇願によって命を取り留める。しかし、障害が残り「一生起立不能」という診断を受けた。小学校時代の著者は日中は健常者と、放課後は弟や障害のある子たちとともに過ごした。だが、居心地の良い多数派と窮屈な少数派を分断するいびつな社会に直面し、「何かがおかしい。何かが間違っている」と、子ども心に思えてならなかった。事実、弟が小学校に通う際には、「何があっても行政を訴えません」「送り迎えは家族が責任を持ちます」と誓約書を書かされた。冷たい社会への「復讐」、この言葉が著者の原点にある。

転機 恩師との出会い

DNY59/gettyimages

「自分が賢くなって世の中を変える」。そんな気概で人一倍勉強した著者は、東大へと進学する。その後、NHKへ入局しマスコミの道へと進んだ際、転機が訪れる。それは石井絋基氏の書いた政治家への決意表明の本との出合いだった。「政治をあきらめなければ日本は変えられる」、その熱い想いに感動した著者はすぐさま石井氏に手紙を出し、面会の機会を得る。石井氏から会ってすぐ「本気で選挙を手伝ってほしい」とストレートに頼まれ、気づけば「わかりました。私が必ず当選させます」と即答していた。

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要約公開日 2023.05.27
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