社会の変え方

日本の政治をあきらめていたすべての人へ
未読
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著者
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社会の変え方
著者
出版社
出版日
2023年01月31日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

「冷たい社会への復讐」これが本書の著者で明石市長を務めた泉房穂氏の原点だ。

暴言問題を重く受け止め2023年春に市長を退任したが、彼の残した功績は偉大なものといえる。「18歳までの医療費無料化」といった、子どもを対象とした全国初の5つの無料化を実施。くわえて児童扶養手当の毎月支給などの子どもに寄り添う施策、犯罪被害者や障害者に手を差し伸べる条例など、ここで紹介しきれないほど多くの施策を実施してきた。結果、衰退していた明石市の財政を立て直し、明石市は「本当に住みやすい街大賞2022in関西」で堂々の1位に選ばれるほど輝きを放っている。

著者には「自分が寝ている間にも、苦しんでいる市民がいると思うと寝ていられない。だから、寝るのは死んでからでいい」という思いが常にあるそうだ。このような強烈な志はどこからくるのだろうか。それは、著者が幼少期に感じた社会への怒りと、自分が変えなくてはという使命感からくるのだろう。

本書では、著者の生い立ちや明石のまちづくり、そして私たちが政治を変えるために何をすべきかが、情熱をもって語られる。希望に満ちた政治や社会に向けてどんなアクションがとれるか、今一度考えてみてはいかがだろうか。

著者

泉房穂(いずみ ふさほ)
前明石市長
1963年 明石市二見町生まれ
1982年 県立明石西高校を卒業
同年 東京大学文科二類入学
1987年 東京大学教育学部卒業
同年 NHKディレクター
1997年 弁護士
2003年 衆議院議員
2007年 社会福祉士
2011年~2023年4月末 明石市長
「5つの無料化」に代表される子ども施策のほか、高齢、障害者福祉などに力を入れて取り組み、市の人口、出生数、税収、基金、地域経済などの好循環を実現。人口は10年連続増を達成。柔道3段、手話検定2級、明石タコ検定初代達人。Twitter:@izumi_akashi

本書の要点

  • 要点
    1
    障害を持つ弟とともに過ごした幼少期の経験が、著者に「冷たい社会への復讐」という原点の気持ちを生んだ。
  • 要点
    2
    明石市長に就任した著者は「子どもを核としたまちづくり」を推進することで、衰退していたまちを活気あるまちに復活させた。
  • 要点
    3
    明石市は障害者やマイノリティにもやさしいまちづくりを推進している。そこには、当事者とともに冷たい社会を変えていく姿勢がにじみ出ている。
  • 要点
    4
    政治が変わらないのは行動しない私たちの責任でもある。自身の将来のためにも、政治をあきらめてはいけない。

要約

原点は、冷たい社会への「復讐」

貧困と差別 闘いの始まり

兵庫県明石市二見町。著者は瀬戸内海に面したこの小さな漁師町で生まれ育った。4つ下の弟が障害を持って生まれたときから泉家の闘いが始まる。当時、日本には「優生保護法」という法律があった。障害のある人には強制的に不妊手術や中絶を行い、これ以上障害者を増やさないことを目的とした差別施策だ。たった30年前まで、強制的に人の命を奪うとんでもないルールが日本にはあった。

病院側は著者の弟を見殺しにする提案をしてきたが、両親の懇願によって命を取り留める。しかし、障害が残り「一生起立不能」という診断を受けた。小学校時代の著者は日中は健常者と、放課後は弟や障害のある子たちとともに過ごした。だが、居心地の良い多数派と窮屈な少数派を分断するいびつな社会に直面し、「何かがおかしい。何かが間違っている」と、子ども心に思えてならなかった。事実、弟が小学校に通う際には、「何があっても行政を訴えません」「送り迎えは家族が責任を持ちます」と誓約書を書かされた。

冷たい社会への「復讐」、この言葉が著者の原点にある。

転機 恩師との出会い
DNY59/gettyimages

「自分が賢くなって世の中を変える」。そんな気概で人一倍勉強した著者は、東大へと進学する。その後、NHKへ入局しマスコミの道へと進んだ際、転機が訪れる。それは石井絋基氏の書いた政治家への決意表明の本との出合いだった。「政治をあきらめなければ日本は変えられる」、その熱い想いに感動した著者はすぐさま石井氏に手紙を出し、面会の機会を得る。石井氏から会ってすぐ「本気で選挙を手伝ってほしい」とストレートに頼まれ、気づけば「わかりました。私が必ず当選させます」と即答していた。

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要約公開日 2023.05.27
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