『社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話』

未 読
『社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話』
ジャンル
著者
小林佳徳
出版社
定価
1,296円
出版日
2014年08月20日
評点
総合
4.0
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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『社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話』
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小林佳徳
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1,296円
出版日
2014年08月20日
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明瞭性
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革新性
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レビュー

ライブドアは一時期は8000億円にも到達する圧倒的な時価総額を誇り、「ホリエモン」の歯切れの良い物言いが注目を集め、インターネット業界だけでなくマスコミへの露出も多く、一世を風靡していた。

そんなライブドアに対し、有価証券報告書の虚偽記載の疑惑から東京地検特捜部によって強制捜査が行われる。同社の株式には売り注文が殺到し、取引件数の急増により東証の全銘柄取引が停止。所謂「ライブドアショック」により、一転して堀江氏とライブドアは世間からの大バッシングを受ける存在となった。

ところで、マスコミの報道から見たライブドアの印象は正しかったのだろうか。本書は、ライブドアに約6年間在籍し、急成長やライブドアショック、その後の再生も経験した著者が、内部から見たライブドアを表現し、そこから得られた学びをまとめた書籍である。社内から見た「ホリエモン」や、ライブドアの熱きDNAが鮮やかに描かれており、読者に「生の声に勝るものはない」と感じさせてくれる。

ライブドアショックやリーマンショックを経て、時代は再びベンチャー企業に対して追い風を与えている。2014年12月現在、毎日のようにベンチャー企業の資金調達のニュースが流れるだけでなく、大企業とベンチャー企業を繋ぐ取り組みを、官民がこぞって手掛けるようになった。こうした現代だからこそ、10年前の熱狂と挫折の歴史に触れることで、感じ取れるものが多いはずである。

著者の体験を通じて、急成長する組織のエネルギーに触れ、自分の周りで変化を起こすためには何が必要なのかが学べるのではないだろうか。

大賀 康史

著者

小林 佳徳(こばやし・よしのり)
1973年5月16日、山梨県甲府市生まれ。1998年に新潟大学大学院修了後、大日本印刷、ベネッセコーポレーション、ライブドアなど、大企業とベンチャーの6社を経験。一貫してインターネットビジネスの制作業務に従事した。また、ライブドア事件後には、管理部門にて会社の立て直しに参画し、人事制度の設計・導入や、コーポレート・採用全般などを経験。現在は、再びベネッセコーポレーションにてデジタル教材の開発にあたる。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

本書の要点

  • 要点
    1
    時価総額世界一の会社を目指し、一世を風靡していた堀江氏率いるライブドアは、有価証券報告書の虚偽記載の疑惑から東京地検特捜部の強制捜査を受け、一転して批判の的となった。
  • 要点
    2
    社員は昼夜を問わずサービスの制作に取り組み、「インターネットサービス」が心底好きな人の集まりだった。ライブドアショック後、様々な企業に人材が散って行ったが、今も活躍している人が多く、ライブドアは人材輩出企業だったと言える。
  • 要点
    3
    熱狂的な「ライブドア」という時代を生きたメンバーには「ライブドア魂」があり、今でもその体験がDNAとして刻まれている。

要約

ライブドアショックから学んだこと

運命の日

2006年1月16日、いつものライブドアの風景の通り、音楽を聴きながら仕事をする人、アロハシャツにサングラスの人、黒づくめのスーツを着ている人など、様々なスタイルで多くの人が働いていた。

そのような日常の中で、友人からメールが届く。「お前の会社、大丈夫か?」

フロアには報道部門のデスク周辺に人だかりができ、当時「美人広報」と有名になっていた乙部綾子氏が叫びながらやってきた。これはただごとではないという雰囲気である。

テレビ画面に目をやると、「ライブドア 強制捜査」の文字。世間を騒がせた「ライブドアショック」の始まりだ。

しばらくして、東京地検特捜部が強制捜査を開始。捜査に来たのは、スーツ姿の10数名のようだった。パソコンと携帯電話に触ってはいけないという指示だったが、24時間手作業が必要なニュースページの更新などはこっそりと作業を続けた。その時配信されたニュースには、「ライブドアへ強制捜査」というものまであったらしい。

強制捜査を受け、ライブドアの事業の中で特に広告事業に打撃が大きかった。努力を重ねて伸びていた広告出稿が、過去の9割減にまで落ち込んだのだ。直近で獲得していた、一流企業からの広告出稿に歓喜していた矢先の非常事態に、広告営業チームの悲しみは大変なものだっただろう。

時価総額世界一の会社を目指していたが
Onypix/iStock/Thinkstock

ライブドアは「時価総額世界一の会社を目指す」ことを目的として掲げていたため、メディアに取り上げられて有名になっても、気を抜くことは一切なかった。六本木ヒルズという場所に似つかわしくなく、寝袋で会議室に寝泊まりして、サービス開発に集中していた。連結社員数3000名にして、良くも悪くも中小ベンチャーのような雰囲気を保っていたのだ。

そのため、社内ルールや組織体制の整備は後回しにされ、現場は全力で働く異常な「躁」状態で、皆が疲労困憊でもあった。

ライブドアの社員は、会社で一生勤めあげると考えるのではなく、手に職をつける意識で働いていた。そのため、ライブドアショックの際も、各社員は自律的に動き、即座に運営が止まる訳ではなかった。

よく「ライブドアは虚業だ」「ネットビジネスという錬金術」と言われていたが、そのライブドアを実像以上に評価していたのは世間や市場である。「Google」「Facebook」「LINE」などの世界を代表するサービスもインターネットサービスであるし、仕組みそのものに価値があると言える。

社員は「インターネットサービス」が心底好きだったし、ユーザーからの支持を純粋に喜んでいた。しかし、外部からは不正を働いたとレッテルを張られ、創業経営者が姿を消した現状に、残った従業員はやりきれない気持ちで過ごしていた。

去りゆく者、残る者
Wavebreakmedia Ltd/Wavebreak Media/Thinkstock

2000年代前半には若者の挑戦意欲が溢れ、ベンチャー企業が伸びていた。そんな中で、ライブドアショックによって社会としての覇気がなくなり、気弱な雰囲気になっていったことに対して著者はもったいなさを感じていた。

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