キャリアを切り開く言葉71の表紙

キャリアを切り開く言葉71

「自分の強み」に磨きをかける


本書の要点

  • なにかを持ち続ける力としての「握力」をキープするのに重要なのが「好き」という軸である。握力は、いい時も悪い時も、最後まであきらめない理由となる。それは、合理だけからは生まれない。

  • 次も会いたいと思われる人は、「内容のチラ見せ」すなわち「期待値」を発生させるのが上手い。これはWEBサービスやマーケティング活動においても同様である。

  • 経営戦略において組織文化は一番重要である。文化を作るためにはトップを巻き込み、「言語化」し「行動する」ことで、組織文化を「耕す」ことが重要である。

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【必読ポイント!】 マインド

賢者は歴史に学ぶ

deimagine/gettyimages

本書は、著者がコミュニティのメンバーに発信してきた「応援歌」としてのメッセージを厳選したものである。要約では、そのなかからいくつか紹介する。まずは「アブダクション」についてだ。これは著者がよく使っている思考法である。アブダクションは「仮説提起的な発見的思考」とも呼ばれるが、「A→Bという方程式が成り立つならば、Bが起きているということはきっとAがあるはずだ」と考える筋道のことだ。したがってその価値は、「個別具体の事例から『未来を予測できること』」である。一方で、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉もある。ビジネスとはほとんどが「人の事」であり、かつての戦国武将や将軍が悩んだのも「(天下統一)事業」と「人」のことである。新しい理論を生み出す際にはアブダクションが有効であるが、経営やビジネスなど、「同じことの繰り返しの場」においては、過去からの学びが多い。『貞観政要』という中国の古典には、「三鏡」という話がある。三鏡とは、「銅の鏡」「歴史の鏡」「人の鏡」を指す。銅の鏡は自分を見直すためにあり、歴史の鏡は過去の失敗や成功から学ぶためにある。そして人の鏡は、部下の厳しい直言など、「最も耳が痛い事実から学ぶこと」を意味している。「成功者は未来に学ぶ」と著者は付け加える。孫正義氏のタイムマシン経営はその好例だ。不確実で根拠のない未来に向かって勝負を仕掛けるには、その未来を「信じること」が大切になる。

諦めずにつかみ続ける

すごい経営者ほど、どこかのタイミングで大きくお金を使うのだという。著者は、「身銭を切って体験すること」を重要視している。それだけの真剣さを持ってお金を使うことは、「意地でもその投資分を回収しよう」というインセンティブにつながる。それは、成長機会も拡げてくれる。「長く愛されていてその上で高いもの」には、学びが隠れている。素人な領域でこそ身銭を切り、その投資分を「回収しにいく過程で価値に気づく」ケースもあるのだ。

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要約公開日 2024.02.20
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