静かに退職する若者たち

部下との1on1の前に知っておいてほしいこと
未読
静かに退職する若者たち
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部下との1on1の前に知っておいてほしいこと
未読
静かに退職する若者たち
出版社
出版日
2024年02月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

部下が突然退職したいと伝えてきた。いつも前向きに頑張ってくれていたし、先日の1on1で「困っていることはない?」と聞いたら「特にないです」と言っていたのに。寝耳に水とはこのことだ――。上司や先輩の立場にある人の多くは、このように若手の「静かな退職」に首をひねった経験があるのではないだろうか。そんな経験のある人が本書を読むと、「静かな退職」の謎が解けるに違いない。

著者の金間大介氏は金沢大学の教授として、日常的に現代の若者たちと接している人物だ。専門とするイノベーション論やマネジメント論の分野では、教育や人材育成の業界との連携も多いという。「いい子症候群」の若者たちを分析した著書『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』は大きな話題を呼んだ。

そんな金間氏は本書で、若手人材の1on1に対する態度を分析して6タイプに分類したうえで、上司・先輩に向けて、若手人材との1on1をより効果的なものにするとともに「静かな退職」を防ぐためのアドバイスをまとめている。

要約者にとって特に衝撃的だったのは、6タイプのうち最も多く存在するのは、1on1の必要性が低く、1on1への印象がネガティブな「回避志向」タイプだということだ。もしあなたが「自分の部下は1on1を必要としているし、毎回楽しんでくれている」と無邪気に信じているなら、その認識を疑ってみたほうがいいかもしれない。部下や後輩がいる人はもちろん、若手人材の離職を防ぎたい経営者や人事担当者にも読んでほしい一冊だ。

著者

金間大介(かなま だいすけ)
金沢大学 融合研究域融合科学系 教授
東京大学 未来ビジョン研究センター 客員教授
一般社団法人日本知財学会 理事

北海道札幌市生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科物理情報工学専攻(博士)、バージニア工科大学大学院、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、文部科学省科学技術・学術政策研究所、北海道情報大学経営情報学部、東京農業大学国際食科情報学部、金沢大学人間社会研究域経済学経営学系、2021年より現職。博士号取得までは応用物理学研究室に所属し、表面物性の研究に従事。博士後期課程中にバージニア工科大学へ渡米し、新規開講科目だったイノベーション・マネジメントに魅了され、それ以来イノベーション論、マーケティング論、産学連携論等の研究を進める。また「イノベーションのためのモチベーション」研究も遂行しており、教育や人材育成の業界との連携も多数。主な著書に、『モチベーションの科学 知識創造性の高め方』(創成社)、『イノベーション&マーケティングの経済学』(共著、中央経済社)、『イノベーションの動機づけ:――アントレプレナーシップとチャレンジ精神の源』(丸善出版)、『先生、どうか皆の前でほめないで下さい:いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    若手人材の1on1に対する態度は、「積極志向」「日常志向」「合理志向」「表面志向」「最低限志向」「回避志向」の6タイプに分けられる。このうち最も多いのは、1on1の必要性が低く、1on1への印象がネガティブな「回避志向」タイプである。
  • 要点
    2
    今の若者たちに共通するのは「自分で決めたくない」という心理だ。
  • 要点
    3
    若手人材への理想的なフィードバック例は「さっき会議で出してた資料の頭のところ、私としては読みやすくてすごく良かったと思う。あれ、誰かに教わったの? それとも自分で考えたの?」だ。

要約

若者たちと1on1

6タイプに分けられる若者たち
maroke/gettyimages

著者は本書を執筆するにあたり、若手を対象として、1on1に対する態度を調査した。対象は新卒から30代くらいまでの若手で、サンプル集団は47人だ。そして調査の結果、若手を「1on1の必要性」と「1on1への印象」という2つの軸から6タイプに分けた。

1つ目は1on1の必要性が高く、1on1への印象がポジティブな「積極志向」タイプ。1on1を積極的に活用しようと考える人たちだ。

2つ目は1on1の必要性が低く、1on1への印象がポジティブな「日常志向」タイプ。上司や先輩と普段から対話をしているため、1on1の必要性を感じていない。

3つ目は1on1の必要性が高く、1on1への印象がニュートラルな「合理志向」タイプ。業務伝達の場として、クールに1on1を見ている。

4つ目は1on1の必要性が低く、1on1への印象がニュートラルな「表面志向」タイプ。1on1は「冷静に考えて無駄」という態度だ。

5つ目は1on1の必要性が高く、1on1への印象がネガティブな「最低限志向」タイプ。「最低限必要なときだけやればいい」と考えている。なお、このタイプにとっての「最低限必要なとき」とは、業績・昇進・異動や、結婚・出産・介護による長期休みの希望など、同僚には聞かれたくない話をするときである。

6つ目は1on1の必要性が低く、1on1への印象がネガティブな「回避志向」タイプ。調査ではこのタイプに属する若手が最も多かった。このタイプはさらに「1on1という取組み自体が無駄だと感じているタイプ」と「1on1の時間をただただ恐怖だと思っているタイプ」に分けられた。

「積極志向」の若手への対応

1on1の必要性が高く、1on1への印象がポジティブな「積極志向」タイプは、優秀で高く評価されている一方、あっさり退職してしまいがちだ。このタイプへの対応策を見ていこう。

「積極志向」の若手は、1on1を「上司や先輩がアドバイスをくれる成長の場」「やりたいことをアピールする場」「上司や先輩と仲良くなれる場」「困っていることや不平不満をぶつける場」と捉えている。

このタイプは上司や先輩から指導や助言を受けることを好む分、上司を厳しくジャッジしがちだ。課題や不平不満を相談された上司や先輩が的確にアドバイスできなかったり、課題を放置したりすると、相手に「残念」「無能」のレッテルを貼ってしまいかねない。

上司や先輩であるあなたが、すぐに解決できないような相談を受けたら、絶対に放置したり、笑って流したり、ごまかしたりせず、今のあなたができる限りの努力をしよう。それでもすぐに改善に向かわないなら、取り繕わず、そのまま部下に伝えるとともに、「この件は引き続き自分が預かり、今後もできることはしていく」と約束するべきだ。この「できる限りの行動」こそ、このタイプの若手が望むことである。

「回避志向」の若手への対応

1on1の必要性が低く、1on1への印象がネガティブな「回避志向」タイプにとって、1on1に対する印象と評価は「上司のなかでの自分の評価(キャラ)が確定する場」「十分な『予習』をして臨む場」「忙しさをアピールする場」「がんばります風の姿勢を示す場」「期待値調整の場」である。

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要約公開日 2024.04.16
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