著者は本書を執筆するにあたり、若手を対象として、1on1に対する態度を調査した。対象は新卒から30代くらいまでの若手で、サンプル集団は47人だ。そして調査の結果、若手を「1on1の必要性」と「1on1への印象」という2つの軸から6タイプに分けた。
1つ目は1on1の必要性が高く、1on1への印象がポジティブな「積極志向」タイプ。1on1を積極的に活用しようと考える人たちだ。
2つ目は1on1の必要性が低く、1on1への印象がポジティブな「日常志向」タイプ。上司や先輩と普段から対話をしているため、1on1の必要性を感じていない。
3つ目は1on1の必要性が高く、1on1への印象がニュートラルな「合理志向」タイプ。業務伝達の場として、クールに1on1を見ている。
4つ目は1on1の必要性が低く、1on1への印象がニュートラルな「表面志向」タイプ。1on1は「冷静に考えて無駄」という態度だ。
5つ目は1on1の必要性が高く、1on1への印象がネガティブな「最低限志向」タイプ。「最低限必要なときだけやればいい」と考えている。なお、このタイプにとっての「最低限必要なとき」とは、業績・昇進・異動や、結婚・出産・介護による長期休みの希望など、同僚には聞かれたくない話をするときである。
6つ目は1on1の必要性が低く、1on1への印象がネガティブな「回避志向」タイプ。調査ではこのタイプに属する若手が最も多かった。このタイプはさらに「1on1という取組み自体が無駄だと感じているタイプ」と「1on1の時間をただただ恐怖だと思っているタイプ」に分けられた。
1on1の必要性が高く、1on1への印象がポジティブな「積極志向」タイプは、優秀で高く評価されている一方、あっさり退職してしまいがちだ。このタイプへの対応策を見ていこう。
「積極志向」の若手は、1on1を「上司や先輩がアドバイスをくれる成長の場」「やりたいことをアピールする場」「上司や先輩と仲良くなれる場」「困っていることや不平不満をぶつける場」と捉えている。
このタイプは上司や先輩から指導や助言を受けることを好む分、上司を厳しくジャッジしがちだ。課題や不平不満を相談された上司や先輩が的確にアドバイスできなかったり、課題を放置したりすると、相手に「残念」「無能」のレッテルを貼ってしまいかねない。
上司や先輩であるあなたが、すぐに解決できないような相談を受けたら、絶対に放置したり、笑って流したり、ごまかしたりせず、今のあなたができる限りの努力をしよう。それでもすぐに改善に向かわないなら、取り繕わず、そのまま部下に伝えるとともに、「この件は引き続き自分が預かり、今後もできることはしていく」と約束するべきだ。この「できる限りの行動」こそ、このタイプの若手が望むことである。
1on1の必要性が低く、1on1への印象がネガティブな「回避志向」タイプにとって、1on1に対する印象と評価は「上司のなかでの自分の評価(キャラ)が確定する場」「十分な『予習』をして臨む場」「忙しさをアピールする場」「がんばります風の姿勢を示す場」「期待値調整の場」である。
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