それでも、人を愛しなさい

生き方、働き方を教えてくれる26の言葉
未読
それでも、人を愛しなさい
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生き方、働き方を教えてくれる26の言葉
未読
それでも、人を愛しなさい
出版社
出版日
2014年11月29日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

みなさんは「座右の銘」をお持ちだろうか。著者は、若いときからずっと、自分を支え、励ましてくれると感じる先人たちの名言を、手帳に書き留めてきたのだという。本書は、その中の26の言葉を、著者自身の経験や歴史上の人物に関するエピソードを交えながら紹介し、仕事や人生におけるヒントを提示するものである。

著者は妻の肝臓病やうつ病、子供の自閉症を抱えながらも、懸命に働き、明るい未来を信じ希望を捨てなかった。そうした体験で培われた強くやさしい人格は著書ににじみ出ており、これまでの著書でも多くのビジネスパーソンを勇気づけてきた。苦しい時期を経験しているからこその著者の言葉には説得力があり、本書を読み進めていくと自然に気持ちが前を向く。

会社で自分と誰かを比較をして、その人を恨み、あら探しをする必要はない。誰もが得意不得意の分野があり、あなたは得意な分野で勝負をすれば良いのだから。人に理解されたいと、自分の思いを相手に押しつけてはいないだろうか。まずは相手を愛し理解することにより、人から感謝され大切だと思ってもらえる存在になれるのだ。このように漠然と理解している事柄でも、改めて「言葉」として目や耳に入れると、言葉が持つエネルギーの強さに気が付く。会社や家庭での毎日を、そして人生をより良いものにするために、是非本書を手にとっていただきたい。

著者

佐々木 常夫
株式会社佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表取締役
1944年、秋田市生まれ。69年、東京大学経済学部卒業後、東レ株式会社に入社。初めて課長に就任した84年に、妻が肝臓病を患い、その後、うつ病も併発し40数回の入退院を繰り返す。自閉症の長男を含む3人の子どももおり、すべての育児・家事・介護をこなすために、毎日定時に退社する必要に迫られる。家族の世話と会社の仕事との両立を図るために、「最短距離」で「最大の成果」を生み出す仕事術を極めるとともに、部下をまとめ上げるマネジメント力を磨き上げた。会社での仕事でも赤字の事業や会社を黒字にするなど多くの事業を成功に導く。
01年、同期トップ(事務系)で東レの取締役に就任。03年に東レ経営研究所社長になる。内閣府の男女共同参画会議議員、大阪大学客員教授などの公職も歴任。「ワーク・ライフ・バランス」のシンボル的存在である。
著書に『ビッグツリー』『部下を定時に帰す「仕事術」』『そうか、君は課長になったのか。』『働く君に贈る25の言葉』(以上、WAVE出版)、『「本物の営業マン」の話をしよう』(PHP研究所)、『ビジネスマンに贈る 生きる「論語」』(文藝春秋)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人は希望を捨てると生きる気力さえも失ってしまう。いかなる困難な状況に直面しようとも絶望せずに、常に前を向き夢と希望を持ち続けることが重要である。
  • 要点
    2
    人と違った意見を持つことをためらわず、独自の意見を持ち、人の意見も尊重しよう。自分自身の人格を磨き続けることで、運命も味方につけることができる。
  • 要点
    3
    人が不合理でわがままな生き物であることさえも肯定的に受け入れ、自ら人を愛することにより、理解しがたい人とも信頼しあえるようになる。

要約

自分自身と向き合う

悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである。【アラン(哲学者)】

この言葉はアランの著作『幸福論』で述べられている。

幸福は自らがつかみにいくものだが、不幸というのは勝手にやって来るものである。もちろん、不幸のなかには、たとえば両親の不仲に苦しんだり、会社の都合で仕事を辞めさせられたり、というような、自分に責任のない種類の不幸もたくさんある。しかし、不幸の種類は何であれ、嘆いてばかりいても状況は変わらない。状況を好転させ、幸福を手にするためには、自ら動くしかないのだ。

著者は妻が肝臓病に重いうつ病を併発し、2度3度と自殺未遂を繰り返した時が最大の苦境であったという。しかし、今の状況から絶対に脱してみせるという、強く楽観的な意志を持ち続けたことで状況は次第に好転していった。不幸や不運が続いても、楽観的な強い意志だけは失ってはならない。

自分よりも優れた人を称賛できる心。それが人間が持ちうる最も素晴らしい心である。【トーマス・カーライル(思想家)】
shironosov/iStock/Thinkstock

人は自分より優れた人を見ると、ほかの欠点を見つけたりして批判しがちである。そして、そうした気持ちは、とくに自分と年齢やポジションが近く、少しだけ自分より優れている人に向けられやすい。つまりそれは、自分の存在を脅かされるのを恐れる自己防衛本能なのである。

しかし、人の批判ばかりしていると自分の評価を落としてしまう。批判に流されるのは簡単だが、強い意志を持って、人の優れている点を受け入れ、ほめてみよう。そうすることにより相手も喜び、自分のことも認めてくれるようになる。それは相手との信頼関係構築や自分の自信につながるというメリットにつながる。自分より立ち位置の低い人に対しても同様である。一人ひとりの良いところを見つけてほめることにより、相手との連帯意識が生じ、自分も成長できるのだ。

相手を否定せず、ときに受け入れよ

弱い者ほど相手を許すことができない。許すということは、強さの証だ。【マハトマ・ガンジー(宗教家・政治指導者)】
mcmorabad/iStock/Thinkstock

ガンジーは、母国インドのイギリスからの独立運動に人生の多くを捧げた。運動には「非暴力、不服従」の考えを徹底し、多くの人が共感した。イギリスの警官が独立運動を抑えようと警棒を振り回しても、彼らは一切抵抗をせず、しかし決して逃げなかった。

ガンジーは、「目には目をという考え方では、世界中の目を潰してしまうことになる」という言葉を残している。非暴力によって、憎しみと暴力の連鎖を断ち切りたかったのである。それにはものすごい勇気と覚悟が必要であり、そのために「許す」ということが必要だった。

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要約公開日 2015.02.13
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