サイゼリヤの法則の表紙

サイゼリヤの法則

なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?


本書の要点

  • 「ミラノ風ドリア」を200円近く値下げすると、売上数量は約3倍に増えた。すでに何度も値下げと改善を経てきた人気商品をさらに安くおいしくするのは簡単ではなかったが、一番難しいことこそ、一番喜ばれるものだ。

  • 悩みのほとんどは、目の前にある現実を拒むことから生じる。「今、目の前にあるものが最高!」と自覚できれば、悩むことでエネルギーをロスせず、結果を出すことに集中できる。

1 / 4

【必読ポイント!】 利他

サイゼリヤの料理は、まずくて高い。

サイゼリヤの料理は、まずくて高い。あんなまずいものを出してしまって、お客様に申し訳ない。サイゼリヤの創業者である著者がそう言うと誰もが驚くが、著者は大真面目だ。著者が「サイゼリヤの料理は最高だ! 安くておいしくて申し分がない」と言ったら、何が起きるだろう。従業員たちは「もう努力しなくていいんだ」と考え、現状維持すらできなくなってしまうかもしれない。著者自身が、そしてサイゼリヤの従業員みんなが「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」と捉えているからこそ、より「安くておいしい」サイゼリヤへ近づくことができ、お客様を喜ばせられるのだ。「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」と言い続けていると、自然と欠点、問題、課題が見えてきて、どんどん進化していける。

一番難しくても、一番喜んでもらえることをしよう。

ARTindividual/gettyimages

サイゼリヤは、昔から「一番儲かることをしよう」ではなく「人に喜んでもらえることをしよう」という気概でやってきた。お客様の立場で考えたときに、一番喜んでもらえるのは「安さ」ではないだろうか。誰でもお財布を気にせず、お腹いっぱい食べて、仲間たちと語らって、「ああ、楽しかったな」と満足して帰ってほしい……。その思いから、サイゼリヤは断続的に値下げをしてきた。さほど売れないものを安くするのは、比較的簡単だ。一方で、すでに何度も値下げと改善を経てきた人気商品を、さらに安く、おいしくしていくのは簡単ではない。しかし、これが最もお客様に喜ばれるのだ。サイゼリヤで最も売れているのは「ミラノ風ドリア」だ。480円で販売されていた頃から大人気商品だった。そんなミラノ風ドリアを、1999年11月、上場を機に290円に値下げしたところ、さらに爆発的人気となった。原価率は上がり、客単価は下がるため、経営という観点からは、1つもいいことはない。だが、「お客様は必ず喜んでくれる」という確信があったから決断した。結果、売上数量は約3倍になり、お客様の数も激増したのだ。一番難しいことこそ、一番喜ばれるものだ。あなたの仕事で、一番喜ばれることは何だろう?

創業記念日は、誰も祝わない。

「より安く、よりおいしい料理を提供し、お客様に喜んでもらうこと」にすべてのリソースを投入してきたのがサイゼリヤだ。反対に言えば、この2つに関係のないことにはリソースを割かない。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2933/3929文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.06.10
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

タピオカ屋はどこへいったのか?
タピオカ屋はどこへいったのか?
菅原由一
レジの行列が早く進むのは、どっち!?
レジの行列が早く進むのは、どっち!?
サトウマイ
トークの教室
トークの教室
藤井青銅
ビジネス会食 完全攻略マニュアル
ビジネス会食 完全攻略マニュアル
yuuu(ユウ)
仕事の成果が上がる「自分ごと化」の法則
仕事の成果が上がる「自分ごと化」の法則
千林紀子
アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方
アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方
仲山進也
アンガーマネジメント大全
アンガーマネジメント大全
戸田久実
崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男
崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男
大田黒奉之(訳)レジー・フィサメィ

同じカテゴリーの要約

壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
とりあえずやってみる技術
とりあえずやってみる技術
堀田秀吾
無料
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
子どもが本当に思っていること
子どもが本当に思っていること
精神科医さわ
忘我思考
忘我思考
伊藤東凌
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
ハーバードの心理学講義
ハーバードの心理学講義
ブライアン・R・リトル児島修(訳)
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
榎本博明
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏