リクルート・イズム

イノベーションを起こした25人の軌跡
未読
リクルート・イズム
リクルート・イズム
イノベーションを起こした25人の軌跡
未読
リクルート・イズム
出版社
出版日
2014年11月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

2014年10月、東証一部へと時価総額1兆9000億円にも上る大型上場を果たしたリクルートホールディングス。リクルートでのキャリアを経て、その後ビジネスの世界で活躍するOB・OGの多さから、同社は「人材輩出企業」といわれている。彼らは、「リクルート・イズム」ともいうべき精神を、どのように受け継ぎ、新たな挑戦の糧にしているのだろうか。その秘訣をインタビューにより生き生きと描き出したのが本書である。第一章では、リクルート出身者に脈々と流れるリクルート・イズムそのものに迫り、第二章では、リクルートで培った経験をもとに新境地を開拓し、優れた経営者・リーダーとして活躍する25人の軌跡を追っていく。

「社内でのキャリアに納得がいかない」、「残業ばかりで成績が上がらない」、「部下の育成に困っている」。成長の過渡期やキャリアの節目で、こんな壁にぶつかっている人にこそぜひ読んでほしい。また、就職活動中の学生にもお勧めする。25人の経営者やリーダーたちが歩んできた道を知ることで、働くことへの覚悟や自分自身のキャリア観を問い直し、自然と問題解決のヒントを得られるはずだ。「自分らしい働き方・生き方」が豊富に盛り込まれた本書から、読者は自分の目指す姿に近いロールモデルを発見できるのではないだろうか。何より、彼らのリアルな体験談に心が揺さぶられ、将来のビジョン実現に向けて行動しようというやる気に火がつくことは間違いない。

ライター画像
松尾美里

著者

経済界特別編集部
株式会社経済界は、経営者の人物像に鋭く迫る雑誌『経済界』の発行、書籍刊行のほか、経済界倶楽部などの異業種交流会の運営を行い、企業経営者、経営管理層が真に求める情報を発信している。

本書の要点

  • 要点
    1
    リクルートは人材の採用と研修に力を注いでおり、経営者に必要な能力を身につけられるようなユニークな制度や仕組みが用意されている。
  • 要点
    2
    リクルートは社内外の人とのコミュニケーションを重視しており、「社外とのパイプ」がリクルートを卒業した人たちのキャリアを支え続けている。
  • 要点
    3
    リクルートのOB・OGたちの多くが、自分自身がしたいことを問い続け、当事者意識を持つリクルートの風土に影響を受けており、場所が変わってもそうした精神を大切にしている。

要約

【必読ポイント!】 リクルート・イズムとは?

「社員皆経営者主義」の風土を育てる仕組み
vaeenma/iStock/Thinkstock

リクルートは、起業志向の強い人材が集まり、若いうちから経営の勉強ができる会社と評されている。リクルートの人事採用は、人事部に一番優秀な人材を配属させるほど、多大なパワーをかけている。採用で重視するポイントは、「自分より優秀な人物かどうか」、「自分が一緒に働きたいと思うかどうか」の2つであるという。

とはいえ、優秀な人材が勝手に育つわけではない。経営者に必要な能力を身につけられるように、ユニークな仕組みが用意されている。

代表的な制度は、社内に小規模な経営単位をつくり、その長が経営者のように運営するという「PC(プロフィットセンター)制度」である。PC長は、営業の売上げ数字だけでなく、人件費やフロアのスペース代に至るまで管理を任され、PC同士の熾烈な競争に勝ち抜かねばならない。

また、社内有志が部署を超えて新規事業などの提案を行う「RING(リクルート・イノベーション・グループ)」という制度も経営の視点を養うのに一役買っている。(現在はIT関連の新ビジネスモデル開発を目的とした制度になっている。)マーケティングや原価計算、売上げ予測、事業計画への落とし込みなど、経営に付随する作業を積み重ねていくため、「社員皆経営者主義」の風土が醸成される。自分たちの提案を経営陣の前でプレゼンし、その遂行を任せられる可能性に、多くの社員が大きな魅力を感じて参加し、この制度を通じて「ゼクシィ」「Hot Pepper」などのサービスが続々と生み出された。

また、自己評価と周囲の評価のギャップを明らかにし、フィードバック・ミーティングを行う「ROD(ロッド)」という社内研修が、新入社員から取締役にまで徹底されて行われていたのも特徴的である。

このように、経営者となるための訓練を十分積むことができ、それが奨励される仕組みを用意しているのがリクルートなのだ。

社内外のコミュニケーションを促す
IPGGutenbergUKLtd/iStock/Thinkstock

リクルートは社内外の人とのコミュニケーションを大事にしている。創業者の江副氏は社外の人との会食の機会を意識的に持つように呼びかけていたし、社外の勉強会・講演会への参加も奨励していた。普段から、営業はクライアント先におせっかいなまでに入れ込み、濃い関係をつくっている。こうして作られた「社外とのパイプ」がリクルート卒業後のキャリアを支えると同時に、巣立ったOB・OGがリクルートの次世代の経営者・リーダーを支え続けている。

また、「仕事を好きになるには仕事を知ることが前提」という考えから、会社全体の状況についての情報は常に開示されている。取締役会の内容の伝達だけでなく、自由闊達な社内コミュニケーションが促進されていた。「かもめ」や「週刊リクルート」といった社内報は、社員の成果を讃えて鼓舞するという役割を担っていた。

イノベーションを起こしたリーダーたちの教え

偶然の連続である人生を楽しむ(田中和彦氏)
Ronnachai Palas/iStock/Thinkstock

採用・教育研修・モチベーション戦略のコンサルティングを展開する株式会社プラネットファイブ代表取締役の田中和彦氏。

リクルートでのスタートは人事部だった。起業精神や独立志向が強い学生を口説くために全国をめぐった。また、人事部には全社員の3割以上を異動させるといった、数値目標が課されていた。「人を入れ替えないと組織は活性化しない」という江副氏の強い意志があったためだ。仕事に慣れた頃に異動させられると、努力して前進するしかないため、「新しい挑戦」への度胸がついていくのだという。

しかし、田中氏自身はコピーライター志望だったのに人事課長になるという自分のキャリアにモヤモヤを抱えていた。

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要約公開日 2015.02.27
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