ある高級レストランに、伝説のシェフがつくるシンプルな卵料理があった。この卵料理は驚くほど高額だった。値段の理由を聞くと、シェフは答えた。「ただの卵を最高の味に仕上げるために、私は30年間修業を続けています」――。
このエピソードは、「価値」とは何かを示唆している。「値段に見合う価値があるか、ないか」というように、商品やサービスを購入するときに、私たちが判断基準にするのが価値だ。
価値は、私たちが仕事を通じて生み出そうとするものでもある。家族のために料理をつくることも価値の提供だ。「私が生きている意味は何か?」と、自分の価値について考えたことがある人も多いだろう。私たちは常に価値について考え、価値に影響を受けながら行動し、働き、生きている。
価値には3つの種類があると著者は説明する。1つは「既存価値」で、想定内の価値のことだ。2つ目は想定外の価値のことで、これを著者は「付加価値」と呼んでいる。
重要なのは、その価値が想定内か想定外かを決めるのは、価値を与える側ではなく、受け取る側であるということだ。例えば、電車が定刻で走ることや、飲食店に入るとおもてなしの一環で、おしぼりや水やお茶が出されることなどは、日本に暮らす人にとっては当然であるため既存価値と言える。しかし、外国人観光客にとっては想定外のことのため、付加価値になる。
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