「なまけもの」のやる気スイッチの表紙

99%が知らない「行動」を科学する

「なまけもの」のやる気スイッチ


本書の要点

  • やる気を出すためには、お腹を空かせることが有効だ。お腹が空けば貪欲になり、食べ物以外の欲求も高まる。

  • 限界は自分が作り上げている。「自分には絶対にムリ」と考えずに挑戦すれば、案外あっさりと限界を超えられるものだ。

  • 目標に対する努力を継続させるには、ルールを守れない日もあることを予想しておく。継続できない日があっても、それを許容することで挫折することなく、やる気を持続させることができる。

1 / 4

【必読ポイント!】すぐに押せる「やる気スイッチ」

空腹のときに行動する

現在の日本は豊かになり、食べ物に困って飢えるということはほとんどなくなった。それは喜ばしいことだが、困った一面もある。それは、お腹がいっぱいだとやる気が出にくいという点である。

動物は空腹になると、エサを得るために行動する。しかし、常にお腹が満たされている動物園の動物は、動かずにダラダラとしている。人間も同じで、お腹が満たされていると動こうという気になりにくいのだ。

これは食べ物に限ったことではない。人は空腹になることで、貪欲に何かを求めるようになり、食べ物以外の欲求も高まるのである。

ミネソタ大学のアリソン・シューは、大学の食堂で次のような実験を行った。これから入ろうとしている空腹の人と、食事を終えて出ようとしている満腹の人に、商品の好ましさについて評価してもらった。対象とした10個の商品は、食べ物が5つ、食べ物以外が5つという内訳だ。

その結果、空腹の人は食べ物だけでなく、食べ物以外の商品についても「ほしい」と思う度合いが高かった。逆に満腹の人は、満ち足りた気持ちになって「もういらない」と感じやすかった。行動を起こすには、前者の状態のほうが適していると言える。

本気の力を出したいときは、あえて食事を抜いてみるのも一つの手だ。きっとモチベーションの向上につながるはずである。

すぐに「ご褒美」をもらえるようにする

kazoka30/gettyimages

「ご褒美」でやる気を上げたいなら、すぐにもらえるようにしておくことが重要だ。お給料であれば、最もやる気が出るのは日給制だ。1日働いてすぐにお金をもらえると思えば、仕事も苦にならないだろう。一方で、お給料をもらうまでに時間がかかると、働くことが億劫になってしまう。

シカゴ大学のケイトリン・ウーリーは、新年に目標を立てた人200人に対し、2か月後に「決めたことをいまも実行しているかどうか」を確認した。また、その行動後に「すぐにご褒美をもらえるかどうかも尋ねてみた」。その結果、目標を続けていた人は、ご褒美を「すぐに」もらえるようにしていたことが明らかになった。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3207/4079文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.06.04
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

医者が教える疲れない人の脳
医者が教える疲れない人の脳
有田秀穂
最新科学が教える「決断疲れ」をなくす習慣
最新科学が教える「決断疲れ」をなくす習慣
堀田秀吾
得意なことの見つけ方
得意なことの見つけ方
澤円
習慣化は自己肯定感が10割
習慣化は自己肯定感が10割
中島輝
言葉にならない気持ち日記
言葉にならない気持ち日記
梅田悟司
誰にも何にも期待しない
誰にも何にも期待しない
長倉顕太
とにかく早起き
とにかく早起き
高田晃
先延ばしグセ、やめられました!
先延ばしグセ、やめられました!
中島美鈴

同じカテゴリーの要約

いいことが起こる人の習慣
いいことが起こる人の習慣
内藤誼人
頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
頭の中がどんどん言葉になる瞬間言語化トレーニング
荒木俊哉
すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法
すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な”方法
菅原洋平
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
なぜ働く?誰と働く?いつまで働く?
有山徹
無料
精神科医が教える 休みベタさんの休み方
精神科医が教える 休みベタさんの休み方
尾林誉史
なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣
なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣
藤本梨恵子
「自分には価値がない」の心理学
「自分には価値がない」の心理学
根本橘夫
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
決定版 アドラー心理学がマンガで3時間でマスターできる本
吉田浩岩井俊憲 (監修)
そろそろ論語
そろそろ論語
浅田すぐる
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
榎本博明